Albert Camus レビュー一覧

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  • アルベール・カミュに、その代表的な著作であり、出世...

    投稿日:2009/12/18

    アルベール・カミュに、その代表的な著作であり、出世作でもある『異邦人』を朗読したCDのあることは、20年ほど前、私がまだ仏文科のバカ学生だった頃から知っていたし、実際所有もしていた。(たしか仏AdesのCDだったはず。)ところがこのたび、探してみたものの一向に見つからない。どうやら、友人か先生にあげてしまったようだ。代りにネットで検索してヒットしたのがこれ。早速入手して、びっくりしたのだけれど、CD3枚分、第二部、第5章までちゃんとある。えっ、ってことは、本一冊、まるまる朗読してるのか?うーん、何とも暇なことだなぁ。ちなみに、カミュは確か役者もやっていたはずで、語りは明瞭そのもの、って言うか、逆に、ほとんど思い入れや熱意が感じられない。そこらのおっさんが淡々としゃべっている感じ。その乾いた感じは、作風と似通っているかも。(と言っても、聞いて内容が分かるほど仏文力はないけど。)さすがに最終章くらいになると、語りに自然と熱が入ってくるが、誰だって2時間以上も朗読していれば、最後はそうなるだろう。内容も内容だし。とある陽射しの強い日に、窓を開けて、これを聴きながら原文を繙(ひもと)けば、アルジェの乾いた風が吹いてくる(わけないか)。持っているだけで価値がある、箔がつく、そういうCDは少ない。音楽だけでなく、文学にも興味がある。あるいは有り余るほどお金があって、知恵と暇を持て余している。そういう人には、あえてお勧めしておきたい。 なお、私が学生だった頃、カミュの『異邦人』って、サルトルの『嘔吐』や、ランボーの詩集等と並んで、仏文では、最もかっこいい本の代名詞だったんだけど、今はどうなんだろ。今回、この文章を書くに当たり、改めて『異邦人』を日本語訳の文庫本で読み返してみたんだけど、アルジェの強烈な「光(太陽)」の、細密な情景描写に感嘆すると共に、現代の日本で、「人間がこんなに簡単に死刑が宣告され、執行されるわけがない。」という非現実感(リアリティーのなさ)と、「人間が(簡単に会社を解雇され、)自ら死を選択せざるを得ない(不条理な)状況に置かれている。」という現実感、言い換えれば、ムルソー(主人公)の問題の「遠さ」と「近さ」を同時に感じて、とても興味深かった。昔読んだ時は、ただ、ムルソーの衝動的な言動に、刹那的な美学を感じていただけだったが。 余談だが、CDのブックレットの裏面の宣伝によると、先ごろ物故された構造主義の祖であり、フーコーやブーレーズの師匠筋に当たるレヴィ=ストロース先生のCDも出てるらしい。(対談のようだ。)面白い国だなぁ、フランスは。日本でも、芥川龍之介あたりの声の入ったCDでも出たら、真っ先に買うんだが、私は。 (芥川也寸志先生が自作を振ったCDなら持っているんだけど。実は、一番好きな日本の作曲家なのだ。武満さんには、会ってサインを貰ったこともあるので、心苦しいんだが・・・)

    鯖太郎 さん

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ありがとうございました

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