アラビックなギターと変拍子パーカッションが交錯したミニマル・インスト・ロック!
現在もっとも精力的にリリースを繰り広げているワールド・ミュージック系レーベルとして知られるドイツ・Glitterbeatレーベルから、ジャンルを超越した注目作が発表されました。聴きようによってはワールド・ミュージックにもジャズにもロックにも、さらにはニューエイジやアヴァンギャルドにも解釈できそうな多面性を持つ音楽で、ハッキリ言って掴み所が無いのが、その最大の特徴と言えます!
2012年にニューヨークで結成された75・ダラー・ビルは、6弦/12弦のエレクトリック・ギターを中心に演奏するチェ・チェンと、様々な創作打楽器などを駆使し複雑なリズム・パターンを演奏するリック・ブラウンがその中心的メンバーです。チェ・チェンはモーリタニアのアラビック・モード(マカーム)に大変造詣が深く、ここではアラブ系の音楽や砂漠のブルース風のフレイズなどを、やや歪んだ音色のエレキギターを用いてエキゾティックに繰り返し演奏しています。そしてペットボトルのキャップをいっぱい詰め込んだ箱を振って奏でる独自のシェイカーなどユニークな打楽器を演奏するリック・ブラウンは、トルコ民謡などで聴かれるような変拍子ビートを巧みに操り、呪術的ともいえそうなリズム・アンサンブルを構築。さらにホーンなども加わり、より複雑かつ重厚なサウンドをアルバム全体で楽しませてくれます。
全体の印象としてロック・ギタリストのジェフ・ベックが80年代に残した名作インスト・アルバム『ギター・ショップ』のようなソリッドなテイストも感じますが、加えて“イギリスのライ・クーダー”ことジャスティン・アダムズが目指しているような北アフリカ〜サハラ砂漠の音楽を基盤としたアラビックなブルース系の音楽、さらにトルコ民謡やミニマル・ミュージック、現代音楽などの要素が入り交じり、なんともカオスなインストゥルメンタル・ミュージックを形成しています。なかなか文字だけでは理解し難いかもしれませんが、これらの音楽に少しでも興味を感じる方であれば、必ずや楽しんで頂けると思います。
さすがGlitterbeat、目の付け所が他と違います!
(メーカー・インフォメーションより)