誘蛾灯 二つの連続不審死事件 講談社プラスアルファ文庫

青木理

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784062816397
ISBN 10 : 4062816393
フォーマット
出版社
発行年月
2016年01月
日本
追加情報
:
512p;15

内容詳細

上田美由紀、35歳。小柄で肥満、鳥取のスナックのホステス。彼女の周りで6人の男が死んだ。この事件の背景には、木嶋佳苗事件とは別の深い闇がある。
――美由紀に騙されていたのは、あなただったかもしれない。

2009年秋、30代の太った女二人が、それぞれ男と関係を持ち、カネを貢がせ、死に追いやっていた――。木嶋佳苗事件との共通項の多さから、世間の話題を集めた鳥取連続不審死事件。筆者は鳥取に通い、上田美由紀と面会し、彼女に騙された男たちに取材を重ね、二つの事件は似て非なるものだと確信する。
鳥取の事件の背景にあったのは、日本の地方をじわじわと覆う闇――人が減り、町が廃れ、仕事を失い、生活が立ちゆかなくなった田舎で生まれる、弱者が弱者を食い物にする状況――だった。

木嶋佳苗が獄中ブログを始めるきっかけとなり、「私の事件を取材してくれていたら…と思い続けたジャーナリスト」と言わしめた一冊が、大幅加筆のうえ、文庫化!

2009年秋、当時35歳の木嶋佳苗の周囲で、複数の男性が不審死した事件が話題を集めていた。同時期、別の連続不審死事件が浮上する。現場は鳥取、主役は上田美由紀、スナックのホステスだった。
二つの事件には驚くほど共通点があった。主役はどちらも30代半ばの小柄な肥満体型の女で、亡くなった男たちと肉体関係を持ち、多額のカネを貢がせていた。美由紀に惚れ込んだ男たちのなかには、刑事や新聞記者もいた。
しかし、二つの事件の背景はまったく異なるものだった。佳苗が高級マンションに住み、外車を乗り回し、セレブ相手の料理教室に通い、婚活サイトを利用して男を物色していたのに対し、美由紀は過疎の進む鳥取で5人の子どもとボロ家に住み、場末のスナックでターゲットを探していたのだ。
筆者は、事件現場、スナックに通い、裁判を傍聴する。美由紀に惚れ、貢ぎ、騙された男たちをみつけ、話を聞く。そして、拘置所にいる美由紀とも面会を重ねる。
そうして、木嶋佳苗事件からは決して見えてこない、この事件の深層――地方の貧困との関係があらわになっていく。人が減り、町が廃れ、仕事を失い、生活が立ちゆかなくなる。そこで生まれる、弱者が弱者を食い物にする犯罪。それは、いまの日本社会に覆いかぶさろうとしている闇だ。

【著者紹介】
青木理 : 1966年、長野県生まれ。ジャーナリスト、ノンフィクションライター。慶應義塾大学卒業後、共同通信社に入社。警視庁公安担当、ソウル特派員などを務めた後、2006年に退社、フリーに。テレビ、ラジオのコメンテーターとしても活動している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • ケイ さん

    「場末のバーみたいな…」と言う時の「場末感」を初めて体感した気がする。これほどのものとは。被害者の男たちのいた世界は、そこではなかった。しかし、彼らは自らの世界ではすでにはぐれていて、だからこそ罠にかかったのではないか。そしてそこに居場所を求めた。愛していると熱を込めて言われ、全身で頼られることは人生にそうはない。だからそんな言葉にすがり付く男や女がいるのだろう。美由紀はオンナ女衒だ。最後の、木嶋佳苗も含めた3人の応酬は醜い。作者が最後にそれに気付くのが救い。命の価値が分からなくなる生活の荒みが凄まじい。

  • yumiko さん

    2009年鳥取で発覚した男性ばかり6人の連続不審死事件。同時期に逮捕された木嶋佳苗の影に隠れ、正直似たような事件との印象だった。性悪女に騙された馬鹿な男達の話かと、半ば決めつけていたところもあった。しかしこの一冊を読む限り、闇の深さは想像を超えるものだった。男と女、都市と地方、富者と貧者…決して紋切り型の対比として書かれているわけではない。けれど自分の知る世界とのあまりの落差に、眩むほどの恐ろしさを感じてしまった。おそらく真実は永遠に分からない…底なし沼を覗き込むような、得体の知れない気味の悪さが残った。

  • きょちょ さん

    同時期に起きた連続不審死事件の、鳥取の上田美由紀の方。東京の木嶋佳苗との共通点は、ブ〇・デ〇・金の亡者・嘘つきといったところか。異なるのは、著者の言う「鳥取というかなり閉鎖的社会」で、酒とセックスしか楽しみがない男たちが被害者ということか?しかし、木嶋の被害者も実人生に不満足な点で言えば同じかもしれない。でもまあ、何でこんな女に数百万からそれ以上もつぎ込むかね?いや、大昔、北新地の変な姉ちゃんに毎日のように通った私にはそんなこと言う権利はないわな。嫁さんにこの感想読まれないことを祈る( ´∀` )。★★★

  • ひねもすのたり さん

    本書はいわゆる首都圏連続不審死事件と同時期に発覚した鳥取連続不審死事件を取材したルポルタージュ。 二人の容疑者の容姿から似た事件と思われがちですが、全く異なる要素を持っています。父親の違う5人の子供、ゴミ屋敷・・男たちはなぜ異界に住む女に近づき騙されたのか?そのあたりは消化不良の感が否めません。 ただ逆の言い方をするなら読者はそれぞれに自分の推論を差し挟む余地があるということです。 事件のきっかけとなった魔窟のデブ専スナック。ドアを開けヤバい!と思った瞬間、男たちは異界に取り込まれたようにも思います。★4

  • 緋莢 さん

    ある一人の女性の周りで複数の男が死んだ。しかも、死んだ男たちはその女性に金を貸す、貢ぐなどしていた。こう聞くと木嶋佳苗の事件を思い浮かべますが、この本で取り扱っているのは鳥取で起きた「鳥取連続不審死事件」です(木嶋佳苗の方は首都圏連続不審死事件)。この事件で逮捕された上田美由紀は際立って美しい容姿の持ち主でない、というのも木嶋佳苗の方と共通します。6人の男性との出会いとその後 どのように死んだのかが書かれていますが、1人目の新聞記者、3人目の刑事に関しては、その職業にまず驚きました(続く

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青木理

1966年生まれ。共同通信記者を経て、フリーのジャーナリスト、ノンフィクション作家。取材と思索、緻密な文体によって時代の深層に肉薄する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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