日本の建築 岩波新書

隈研吾 (建築家)

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784004319955
ISBN 10 : 4004319951
フォーマット
出版社
発行年月
2023年12月
日本
追加情報
:
270p;18

内容詳細

この国の建築家たちは、西欧の様式建築やモダニズム建築と出会ったあと、日本建築をどう捉え、表現してきたのだろうか。本書は彼らの葛藤や迷い、そして挑戦を読み解き、さらに社会を映す鏡として建築を見つめる。反建築の時代を超えて描かれるその歴史は、弱さや小ささを武器とする日本建築の未来と可能性を教えてくれる。

目次 : はじめに 死体ではなくナマモノとして/ 1 日本という矛盾―構築性と環境性(はじまりの木箱/ タウトvs.フォルマリズム ほか)/ 2 革命と折衷―ライト、藤井厚二、堀口捨己(ライトによる転倒/ 浮世絵と庇との遭遇 ほか)/ 3 数寄屋と民衆―吉田五十八、村野藤吾、レーモンド(吉田五十八、村野藤吾と戦後/ 西欧による挫折と数寄屋の近代化 ほか)/ 4 冷戦と失われた一〇年、そして再生(日本の敗戦と日欧の均衡の崩壊/ 冷戦が要請した、建築を媒介とする日米和解 ほか)

【著者紹介】
隈研吾 : 1954年、神奈川県生まれ。東京大学大学院建築学専攻修了。コロンビア大学建築・都市計画学科客員研究員などを経て、1990年、隈研吾建築都市設計事務所設立。現在、東京大学特別教授、名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • trazom さん

    何とも刺激的で抜群に面白い。隈先生独自の視点で様々な二項対立が浮き彫りになる:桂離宮と東照宮、モダニズムと伝統建築、形態の建築と関係性の建築、書院造と数寄屋造、吉田五十八先生と村野藤吾先生、バウハウスとレーモンド氏、吉村順三先生と丹下健三先生、そして、有名な「伝統論争」での縄文と弥生。様々な相克を経て、隈先生が、学生時代に敵対視していた鈴木成文先生と内田祥哉先生に目覚める展開は感動的でさえある。檮原で、「頭で設計する」のではなく「モノから考える」方法に到達された道筋がとてもよく理解できる。素晴らしい一冊。

  • けんとまん1007 さん

    ここ10年ほど前から、建築というのは何なのかと思うようになっている。そこに人が暮らすということを考えた時に、どうあるとよいのだろうかと。もちろん、建築は、住まいとしてだけではないことも頭の中にあるが、どこかで分けて考えている。そんな建築の歴史。その価値を見出す、革新をもたらすのは、国籍に関係がない。伝統は革新の連続であるという言葉を想い出す。このあと、どんな風に変わっていくのだろうか。

  • うえぽん さん

    自身の経験を補助線に、複線的で偶像破壊的に書かれたと著者が言う日本建築論。モダニズム対古い日本建築と言った二項対立を超え、内外の影響が交錯する建築史として、一般読者にも興味深く読める。筆者がより注目していると思われるのは、数寄屋や公営住宅標準設計51C型に典型的に見られる「小さな建築」と、和紙や「細い木造」に見られる弱く、しなやかな物質である。硬直的、権威主義的、恒久的かつ構築的な建築よりも、開放的で自然や環境との関係性を持つ建築に親近感を覚えた。多湿な災害大国に適合した柔軟な建築を追求すべきなのだろう。

  • 藤井宏 さん

    欧州の近代アートの世界での日本の役割については知っていたが、建築の世界でも日本の建築が20世紀の建築の流れに影響を与えていたのがよくわかる書でした。堀口捨己(すてみ)作の紫えん荘のいうかやぶき屋根と四角い箱との組み合わせが面白そう、見に行きたいなと思ったら焼けちゃって今はないんですね。著者の学生時代の設計課題の逸話も面白かったです。

  • ろべると さん

    日本の建築には伊勢神宮のような力強く土着的な縄文派と、桂離宮のような貴族的で女性的な弥生派の争いがあったそうで、高度成長期に丹下から黒川・磯崎に繋がるコンクリート建築(安藤もそうだ)が優位となった。日本古来の木造建築は押し込まれていたが、時代の終わりとともに、木造本来の柔らかさを活かした空間構成にこそ、日本建築の将来があるという著者の主張につなげている。ほとんど同意だが、建築物が過激に主張するあまりに、伝統的な日本の景観を著しく阻害している状況に何の配慮もなされないことには非常に不満を覚えているところだ。

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