「僕ら」の「女の子写真」から わたしたちのガーリーフォトへ

長島有里枝

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784908465116
ISBN 10 : 4908465118
フォーマット
出版社
発行年月
2020年01月
日本
追加情報
:
412p;20

内容詳細

一九九〇年代に若い女性アーチストを中心として生まれた写真の潮流―同世代の多くの女性に影響を与え、一大「写真ブーム」を巻き起こしたムーブメントを、木村伊兵衛写真賞受賞作家自らが問い直す。

目次 : 序章 当事者から、異議を申し立てます。/ 1章 「女の子写真」を振り返る/ 2章 未熟さと処女性―一九九〇年代初頭の「女性写真家」の言説/ 3章 レベル・ガールズ、革命のきざし/ 4章 「僕ら」のアイコン、ヒロミックスの言説/ 5章 「女の子写真」とミソジニー/ 6章 ガーリーフォトと木村伊兵衛写真賞/ 7章 なぜ「女の子写真」ではいけないのか/ 8章 「ヘアヌード」写真ブームへの異議申し立て/ 9章 ガーリーフォト、新しいフェミニズム/ 10章 自分のために「声」をあげる

【著者紹介】
長島有里枝 : 1973年、東京都生まれ。1993年、武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科在学中に「アーバナート#2」でパルコ賞を受賞しデビュー。1999年カリフォルニア芸術大学Master of Fine Arts写真専攻修了。2001年『PASTIME PARADISE』で第26回木村伊兵衛写真賞受賞。2010年、短編集『背中の記憶』で第23回三島由紀夫賞候補、第26回講談社エッセイ賞受賞。2015年武蔵大学人文科学研究科社会学専攻前期博士課程修了。早稲田大学、東京大学などで写真を教えながら、ジャンルの枠を超えた表現活動を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 望月衣塑子そっくりおじさん・寺 さん

    1990年代、この著者やヒロミックス、蜷川実花などといった若い女性のカメラマンが世に出て一世を風靡した。しかし男性批評家たち(特に飯沢耕太郎)が、その写真を「女の子写真」と呼んでトンチンカンな批評を繰り広げてきたかを、評された著者が綿密に検討し、丁寧に批判する。同時にあの当時の「ヘアヌード」ブームも批判。確かにその通りである。社会への反逆で、自分のチン毛を写すなら勝手だが、女性を裸にして威張っていたのだから、やはり男社会のダメさはアート界にも蔓延していたのだ。優れた表現者に男も女も無いのだ。良い本でした。

  • ぐうぐう さん

    目が覚めるような評論だ。1990年代に起こった若い女性アーチストを中心とした写真の潮流、いわゆる世間では「女の子写真」と名付けられたムーブメントへの当事者による再検討である。まさしく長島有里枝は、その潮流のど真ん中に存在した写真家であり、当事者であるがゆえに、不本意な形で批評され、カテゴリに組み込まれ、理不尽なポジションを強いられてきた経験から、例えば、ブームの舞台裏を暴露するスタンスで鬱憤を晴らすことも可能だったはずだが、(つづく)

  • tom さん

    長島有里枝さんは、2001年に木村伊兵衛写真賞を受賞した写真家。受賞後、評論家の飯沢耕太郎は、彼女の写真を「女の子写真」と命名した。「つたなさ」「視野の狭さ」「センセーショナルなセルフヌード」が理由。中島さんは、自分の真摯な仕事を「女の子写真」という言葉でまとめられたことに怒り、構築主義を武器にして批判しようとした。男優位の思考の結末に「女の子写真」がつながる、男の優越感には、どうしようもないものがあると述べる。私も、中島さんに同意します。はてさて飯沢さん、彼女の主張にどう応答しますか。とても興味がある。

  • kentaro mori さん

    反省させられ通しの読書体験となった。これは全男性必読。芸術を見る際の態度を大きく改めさせられる。

  • 綿 さん

    「女の子写真」は当人らを無視し、他者によって貼られたラベルだった。新しい女性写真家の台頭に脅威を感じた男性らが、おのれの持つ発言力を行使して、使うカメラもコンセプトもそれぞれの個性豊かな写真家を「女の子」というひとつの枠のなかに括って安心するための檻だった。女性が男性社会の写真という職場において、どういう立場に置かれるのかを念頭に置いた上で、個々の作品を語ることと、それはまったく別のこと。

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