背徳のクラシック・ガイド 新書Y

鈴木淳史

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784862484161
ISBN 10 : 4862484166
フォーマット
出版社
発行年月
2009年10月
日本
追加情報
:
18cm,190p

商品説明

背徳のクラシック・ガイド
鈴木淳史 著

怪しげでブチ切れた異様な雰囲気のクラシック音楽が放つ奇想天外なオーラ! 新書・192ページ

【第一部】 演奏篇
●異界へと誘う凄演
 ブラームス/交響曲第一番ハ短調
  ヘルマン・アーベントロート指揮バイエルン国立管弦楽団
  精神性をありがたがらず異界へ一直線

 ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第二三番へ短調《熱情》
  スビャトスラフ・リヒテル(pf)
  強打が導く異界の炎を聴け

 シューベルト/後期ソナタ集
  ヴァレリー・アファナシエフ(pf)
  日常の裏側に潜む死の手触り

 ベートーヴェン/交響曲第九番二短調《合唱付き》
  ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮バイロイト祝祭管弦楽団
  名盤の衣を剥いだときに見える異界

 ベートーヴェン/交響曲第九番二短調《合唱付き》
  サイモン・ラトル指揮ウィーン・フィルハーモニー
  ヒューマニズムという妖怪

 サラサーテ/ツィゴイネルワイゼン
  ミッシャ・エルマン(vc)
  異次元の時間感覚が映し出す異界の風景

 シューマン/交響曲第四番二短調
  ハンス・クナッパーツブッシュ指揮ウィーン・フィルハーモニー
  伝統こそが放つ異界の磁場

 ベートーヴェン/バガテル《エリーゼのために》
  アナトール・ウゴルスキ(pf)
  醒めた狂気の異界
 
 ベートーヴェン/チェロ・ソナタ第二番、第五番ほか
  パブロ・カザルス(vc)、ミエスチラス・ホルショフスキ(pf)
  異界のオーラが風格となって出現する

 J・S・バッハ/ゴルトベルク変奏曲
  カール・リヒター(cemb)
  満身創痍のスプラッター・バッハ

 ムソルグスキー/組曲《展覧会の絵》
  ニコライ・ゴロワノフ指揮モスクワ放送交響楽団
  野獣キャラ萌えで異界に参入

 R・シュトラウス/楽劇《エレクトラ》
  ゲオルク・ショティ指揮ウィーン・フィルハーモニー
  断末魔の叫びに誘われし異界

 ショパン/二十四の前奏曲
  アレクサンドル・タロー(pf)
  交差するエロスとタナトスの情景

 チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第一番変ロ短調
  ホロヴィッツ(pf)、ジョージ・セル指揮ニューヨーク・フィル
  格闘する二人の怪物が開く異界の扉

●ねじれ演奏の愉しみ

 モンテヴェルディ/聖母マリアの夕べの祈り
  ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮ザグレブ・フィル&放送合唱団ほか
  ねじれがもたらすロマンティックな芳香

 シベリウス/交響曲第五番変ロ長調
  ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー指揮モスクワ放送交響楽団
  北欧を蹂躙するロシアン・パワー

 シューベルト/歌曲集《冬の旅》
  ルネ・コロ(T)、オリバー・ポール(pf)
  ジークフリートのリートへの旅

 J・S・バッハ/無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ集
  天満敦子(vn)
  純和風バッハの試み

 ベートーヴェン/交響曲全集
  デイヴィッド・ポルセリーン指揮タスマニア交響楽団
  南半球のご機嫌なベートーヴェン

 デュカス/交響的スケルツォ《魔法使いの弟子》
  ジャン・フルネ指揮オランダ放送フィルハーモニー
  北半球のいかめしいデュカス

 ショパン/ピアノ協奏曲第一番ホ短調
  クラウディオ・アラウ(pf)、オットー・クレンペラー指揮ケルン放送響
  ブラームスすぎるショパン

 ショパン/ピアノ協奏曲第一番ホ短調
  クリスティアン・ツィメルマン(pf/指揮)、ポーランド祝祭管弦楽団
  ピアノすぎるオーケストラ

 チャイコフスキー/交響曲第六番ロ短調《悲愴》
  レナード・バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルハーモニック
  一体化というゆがみの形

 マーラー/交響曲第七番ホ短調
  ガブリエル・フェレツ指揮シュトゥットガルト・フィルハーモニー
  ゆがみにはゆがみを!

 ショパン/スケルツォ第一番ロ短調ほか
  ジョン・コウリ(pf)
  オリジナル楽器のねじれた快楽

 モーツァルト/ピアノ・ソナタ第一一番《トルコ行進曲付き》
  ジークベルト・ランペ(cemb)
  行き過ぎた正当性がもたらすねじれ

●快楽&遅演―テンポの魔力

 ベートーヴェン/交響曲第六番ヘ長調《田園》
  ポール・バレー指揮デトロイト交響楽団
  疾走する体育会系田園の風景

 ベートーヴェン/交響曲第九番二短調《合唱付き》
  ヘルマン・シェルヘン指揮スイス・イタリア語放送交響楽団
  精神はかくも瞬時に思考する

 グリンカ/歌劇《ルスランとリュドミラ》序曲
  ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルハーモニー
  圧縮された情報の速度

 ブルックナー/交響曲第七番ホ長調
  上岡敏之指揮ヴッパタール交響楽団
  迷っても安心な森の楽園

 J・S・バッハ/無伴奏チェロ組曲第六番ニ長調
  アレクサンドル・クニャーゼフ(vc)
  スローなバッハに溺れて

 ドビュッシー/前奏曲集第一巻+クラム/マクロコスモス第一番
  エンリコ・ベッリ(pf)
  一人になるとヘンなやつ

 ベートーヴェン/交響曲第九番二短調《合唱付き》
  マクシミリアンノ・コブラ指揮ヨーロッパ・フィルハーモニア・ブダペスト管弦楽団
  遅さへの挑戦

●背徳の迷演

 ブラームス/交響曲第一番ハ短調
  千秋真一指揮R☆Sオーケストラ
  「おまえはすでに老いている」

 ショパン=ゴドフスキー/練習曲集
  ミヒャエル・ナナサコフ
  自動ピアノは名園の夢を見るか

 ショスタコーヴィチ/交響曲第七番《レニングラード》
  キム・ホヨン指揮朝鮮国立交響楽団
  偉大なる朝鮮国立交響楽団の革命音楽万歳!

 「人間の声の栄光????」
  フローレンス・フォスター・ジェンキンス(s)、コスメ・マクムーン(pf)
  財力とど下手―神の与えた二物

 「最後のカストラート」
  アレッサンドロ・モレスキ(カストラート)
  最後の去勢歌手のほんとうの実力

 ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ大二九番《ハンマークラヴィーア》
  M・ガーディナーとJ・ラタルタラによるピアノとコンピューター編
  世界の缶詰としてのベートーヴェン

【第二部】 作品篇
●ディープ系クラシックへの誘い

 『臀上の音楽』
  グレゴリオ・バニアグア(監修)アトリウム・ムジケー
  下半身のためのクラシック

 ジェズアルド/聖務週間日課のためのレスポンソリウム
  ヒリヤード・アンサンブル
  鬱のなかに湧き出る甘美

 ボッケリーニ/交響曲ハ短調《悪魔の家》
  イル・ジャルディーノ・アルモニコ
  古典派ホラー・ハウス

 ハイドン/交響曲第六〇番ハ長調《うかつ者》
  アーノンクール指揮ウィーン・コンツェルトゥス・ムジクス
  交響曲によるバカっぽさの表現

 コレット/コミック協奏曲集
  アンサンブル・ストラディヴァリア
  一八世紀パリのサウンドスケープ

 ランゴー/昆虫館
  ロサリン・ベヴァン(pf)
  一寸の虫にも五分の音楽

 オルフ/時の終りの劇
  ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ケルン放送交響楽団ほか
  カラヤンが愛したバーバリズム

 シュニトケ/聖しこの夜
  ギドン・クレーメル(vn)、エレーナ・クレーメル(pf)
  禁断のクリスマス・ミュージック

 フェルドマン/弦楽四重奏曲第二番
  フラックス・クァルテット
  何も起こらない六時間の快楽

●有名作曲家のもうひとつの顔

 J・S・バッハ/カンタータ《鎮まれるアイオルス》
 ニコラウス・アーノンクール指揮ウィーン・コンツェルトハウス
 オペラティック・バッハ

 モーツァルト/カノン《俺の尻をなめろ》
  ザ・ソングス・カンパニー
  スカトロは天才の証か

 ベートーヴェン/交響曲《ウェリントンの勝利》
  トマス・ダウスゴー指揮スウェーデン室内管弦楽団
  素朴すぎるベートーヴェンはイタい

 ブラームス/アルト・ラプソディ
  オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団
  ストレートなブラームスはお好き?

 ショパン/《ボレロ》ハ長調
  スホーンデルヴルト(pf)
  右手はスペイン、左手はポーランド

 ブルックナー/ヘルゴラント
  ダニエル・バレンボイム指揮ベルリン・フィルハーモニー
  ブルックナーの最後の完成作は活劇風

●イカれたタイトルで聴くクラシック

 マレ/膀胱結石手術図
  パオロ・パンドルフォ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
  タイトルだけで痛い音楽

 クープラン/酔っぱらいと猿と熊たちによってひき起こされた一座の無秩序と混乱
  オリヴィエ・ボーモン(cemb)
  バロック音楽の洗練された騒々しさ

 シューベルト/骨壺に近づくな
  ルチア・ポップ(s)、ゲオルク・フィッシャー(pf)
  俺を死なせた女へ

 サティ/干からびた胎児
  ジャン・ジョエル・バルビエ(pf)
  胎児は何度も死んでいる

 ヴォルフ/私を紐で縛ろうとするのか
  ドン・アップショウ(s)、ヘルムート・ドイチュ(pf)
  私をタイトルで縛ろうとするのか

 シチェドリン/モスクワのゴキブリ
  ミッシャ・ラフレスフキ指揮クレムリン室内管弦楽団
  ロシアのゴキブリは優雅である

 レイボヴィッツ/マリファナ―不真面目な変奏曲
  ワルター・ナスバウム指揮アンサンブル・アイステーシス
  トロンボーンは麻の味

 モロソフ/鉄工場
  エフゲニ・スヴェトラーノフ指揮ソヴィエト国立交響楽団
  鉄は熱いうちに聴け!

 一柳彗/東京1969
  NHK電子音楽スタジオ
  七〇年前夜の東京の音のコラージュ

●ヘンテコなジャポニズム

 サン=サーンス/歌劇《黄色い女王》
  フランシス・トラヴィス指揮スイス・イタリアン・オーケストラほか
  あこがれの国、ニッポン

 サリヴァン/喜劇《ミカド》
  イシドア・ゴドフリー指揮ドイリー・カート歌劇団
  何でもありのドタバタの国、ニッポン

 マスカーニ/歌劇《イリス》
  バタネ指揮ミュンヘン放送管、トコディ(s)、ドミンゴ(T)ほか
  貞操と太陽の国、ニッポン

 マデトヤ/バレエ・パントマイム《オコン・フオコ》
  アルヴォ・ヴォルメル指揮オウル交響楽団
  萌えの国、ニッポン

 ペンデレツキ/広島の犠牲者にささげる哀歌
  クシシトフ・ペンデレツキ指揮ポーランド放送交響楽団
  原爆の国、ニッポン

 ホヴァネス/管弦楽のためのバラード《浮世》
  チュン・パク指揮フロスト交響楽団
  日本オタクが描いたニッポン

 ジョリヴェ/2台ピアノのための《パチンコ》
  ジュヌヴィエーヴ・ジョワ、ジャクリーヌ・ロバン=ボノー(pf)
  遊戯の国、ニッポン

●マイナー・オペラの深すぎる世界

 ハイドン/歌劇《月の世界》
  アンタル・ドラティ指揮ローザンヌ室内管弦楽団ほか
  月世界旅行詐欺

 ドニゼッティ/歌劇《吉外のふりをする人たち》
  カルミナーティ指揮ベルガモ・ドニゼッティ歌劇場
  上演禁止のフリをする人たち

 ショスタコーヴィチ/歌劇《鼻》
  ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場
  鼻はどこへ行った

 ヒンデミット/オペラ三部作
  ゲルト・アルブレヒト指揮ベルリン放送交響楽団ほか
  エロ・グロ・ナンセンスそろい踏み

 プーランク/歌劇《ティレジアスの乳房》
  小沢征爾サイトウ・キネン・オーケストラほか
  男も子供を生みましょう
 
 アダムス/歌劇《ドクター・アトミック》
  ローレンス・レネス指揮ネーデルランド・フィルハーモニーほか
  アメリカ人が描いた原爆オペラ

●編曲の奇妙な冒険

 J・S・バッハ/無伴奏チェロ組曲(ウクレレ版)
  ジョン・キング(ウクレレ)
  バッハのミニアチュール
  
 フランク/ヴァイオリン・ソナタ(コントラバス版)
  ゾラン・マルコヴィチ(cb)
  搾り出す高音の快感と哀愁

 フランク/ヴァイオリン・ソナタ(口笛版)
  ハンス・マルティン・ヴェルナー(口笛)、マルティン・シュメディング(org)
  限局を量がする口笛とオルガンの心地よさ

 ショスタコーヴィチ/交響曲第五番二短調《革命》(古楽合奏版)
  アンサンブル音楽三昧
  この過激な発想はどこから?

 シェーンベルク/グレの歌(ピアノとチェロ版)
  デュオ・サラサーテ
  過剰と極小の経済原理

 ストラヴィンスキー/バレエ《春の祭典》(ギター版)
  ラリー・コリエル(g)
  ジャズ界からの衝撃、極小版《春の祭典》

 ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第二九番《ハンマークラヴィーア》
  ワインガルトナー指揮ロイヤル・フィルハーモニック
  チャレンジャーか腹芸か?

 スメタナ/弦楽四重奏曲第一番《我生涯より》(管弦楽版)
  ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団
  名指揮者の名編曲ここにあり

 シューベルト/歌曲集《冬の旅》(室内楽伴奏版)
  ツェンダー指揮アンサンブル・モデルン、ブロヴィッツ(T)
  現代人のための失恋悪夢

 ユリ・ケイン『原光(ウルリヒト)』
  ユリ・ケイン・アンサンブル
  マーラーの発想の『原光』

 『エジプトのモーツァルト』
  ユーグ・ド・クールソン製作
  中東の壁がモーツァルトを逆照射する

【鈴木 淳史プロフィール】 1970年、山形県生まれ。売文業。著書に『背徳のクラシック・ガイド』『愛と妄想のクラシック』『クラシック悪魔の辞典』(いずれも洋泉社)、『不思議な国のクラシック』(青弓社)など。♪方向性が定まらないまま、すでに5号目。次号ではマニアックな特集で、さらにアサッテの方角を目指します。

内容詳細

キワモノと呼ばれる音楽や演奏から得られる快楽には何物にも代え難い極上の味わいがある。ありきたりの規範的価値観や名曲名盤主義では語れない、逸脱と驚異の様々な形を提供し誘う、背徳と異端のガイドブック。

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  • ぷるぷる さん

    普通の名曲、名演奏の紹介ではなくて、著者のちょっと変わった視点によるクラシック名盤ガイド。著者による一線を越えたレベルの名盤揃いである。熱くなりすぎたり、入れ込みすぎたり…すなわちバカにならなきゃこんな芸術は存在し得ないということなんでしょう。分かる気がする。各盤著者が面白可笑しく紹介しているが、そこにあるのは深い愛情である。「芸術とは心を落ち着けるものではなく、心を揺り動かすものである」この一言がグッときた。幾つか聞いてみたいのがあるが、YouTubeで聞けてしまうわけで音楽のあり方も変わったもんだ。

  • オールド・ボリシェビク さん

    2009年10月刊行。この著者の、斜に構えた、異端的なクラシック批評が面白くて、クラシックを本格的に聞き始めた2000年代にはよく読んだものだ。最近はあまり、この著者の名を目にしないが。この本は買い求めたまま、積読になっていた。なかなかに面白そうな、狂った曲や変な演奏が紹介されている。けれども、いまさら、ディスクを買って聞きたいとまで思うのは少ないな。

  • ジャッキー さん

    迷演ばかりを取り上げた本。クラシックを面白がれる程、聞いてみたいと思った。

  • 勝浩1958 さん

    気になった作品はYOU TUBE でチェックしました。

  • まさむね さん

    クラシックは地味で重苦しいものばかりではない。世の中の「ゲテモノ」クラシックのレビュー本。前半は「ヘンな演奏」後半は「ヘンな楽曲」を収録。前者では、タスマニア交響楽団のベートーヴェン、めちゃくちゃ遅いマクシミリアン・コブラの「第九」、北朝鮮オケのショスタコが聴きたくなった。

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鈴木淳史

1970年、山形県生まれ。音楽評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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