基本情報
内容詳細
ヒト・モノ・情報の交通網が整備され、「知」をめぐる新たな局面が形成されつつあった近世日本。出版文化の隆盛とともに、それまで権威とされてきた「教養」が、さまざまな回路を通して庶民層へと「浸透」していった。和歌・漢詩文を中心として、歴史・思想・宗教・科学といった諸分野にまたがる基礎的知識が磁場としてきわめて強力に働き、日本の文化と文学の根幹が形作られたのである。「知」の形成と伝播は如何になされたのか。「図像化」「リストアップ」「解説」という三つの軸より、近世文学と文化の価値を捉え直す。
目次 : 1 教養を図像化する(古歌の図像化と画賛―藤原定家詠「駒とめて」歌を中心に/ 立圃の俳画―教養を楽しむということ/ 古典文学と浮世絵―国芳「百人一首之内」シリーズを例に/ 教養の桃源郷―見立絵本『風流准仙人』/ 絵入り百科事典の工夫―『訓蒙図彙』と『和漢三才図会』/ 『江戸名所図会』にみる“教養”の伝達)/ 2 教養をリストアップする(謡講釈の世界―近世謡曲享受の一側面/ 林羅山『巵言抄』遡源―一体、何が「浸透」したのか/ 俳諧の歳時記―四季の風物と暮らしの教養の集大成/ 啓蒙的医学書/ 『伽婢子』の仏教説話的世界―教養としての儒仏思想の浸透/ 日用と教養―「年代記」考/ 近世節用集における教養と浸透―頭書と付録を中心に)/ 3 教養を解説する(教養と秘伝と―有賀長伯の歌学書出版をめぐって/ 万葉歌を解説する―賀茂真淵『万葉新採百首解』をめぐって/ 教養の翻訳と伝達―漢文訓読の変遷と道春点/ 『日本外史』の体裁と「源氏論賛」―歴史の図式的把握と解説/ 教養と娯楽化する―『五節供稚童講訳』の挑戦)
【著者紹介】
鈴木健一 : 1960年生。学習院大学教授。専門は近世文学、詩歌史、古典学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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