「戦争」が生んだ絵、奪った絵 とんぼの本

野見山暁治

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784106022135
ISBN 10 : 4106022133
フォーマット
出版社
発行年月
2010年11月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
142p;21

内容詳細

「戦争」を生きぬいた画家たち。彼らは如何に戦い、「画」に昇華させえたか。一方、描きたい、描き続けたい志を果たせなかった戦没画学生たちの無念は…。彼らの作品を豊富に取り上げ、内なる叫びに耳を傾ける。

【著者紹介】
野見山暁治 : 1921年、福岡県生れ。43年、東京美術学校(現・東京芸術大学)油画科卒業。58年、安井賞受賞。78年、『四百字のデッサン』(河出書房新社)で日本エッセイスト・クラブ賞受賞。81年、東京芸術大学教授を退官。92年、芸術選奨文部大臣賞受賞。97年、毎日芸術賞受賞。2000年、文化功労者。画家、エッセイスト

橋秀文 : 1954年、兵庫県生れ。84年、早稲田大学大学院博士課程を経て、神奈川県立近代美術館に勤務。現在、同館専門学芸員

窪島誠一郎 : 1941年、東京生れ。印刷工、酒場経営などを経て、64年、小劇場「キッド・アイラック・ホール」を設立。79年、夭折画家の作品を展示する「信濃デッサン館」を設立。97年、戦没画学生慰霊美術館「無言館」を設立、その活動は野見山暁治とともに、2005年、菊池寛賞受賞。「無言館」「信濃デッサン館」各館主(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 更紗蝦 さん

    この本に収録されている作品は、どれも奇跡的にこの世に存在しているものばかりです。戦争を生き延びた人が戦後に制作した作品は「生き延びる」という奇跡がなかったら残らなかったわけですし、戦争で没した画学生が遺した作品は、保管する遺族がいなければ世に出なかったのですから。作品の中に作り手の想いが込められているのはもちろんですが、保管する遺族がいなかったり、絵葉書などの荷物を積んだ連絡船が沈没したり、空襲で焼けてしまったりして世に残らなかった作品の「無念」をも、世に残った作品は背負っているのではないかと感じました。

  • kamakama さん

    読み友さんのレビューを拝見して読みたくなりました。彼らが残した彫刻や絵は、むしろ言葉よりずっと饒舌です。彼らの心が伝わってきます。将来の希望を理不尽に摘み取られ、最前線に送り出され、人として扱われず、為政者の理不尽な政治に振り回された彼らが気の毒でなりません。どんな事があっても戦争だけはしてはならない、と強く強く思わされる1冊です。彼らと私の舅が同世代ですが、舅はほとんど戦争の話をせずに亡くなりました。「なぜ自民党がいつも選挙に勝つんだ!」とよく怒りながら言っていたのを思い出します。

  • 袖崎いたる さん

    香月泰男さんに関する情報が必要だった。とはいえ本書に行き当たったのは野見山暁治さんへの興味であった。そしてなんとこの本を手に取ってみると野見山暁治が香月泰男について書いているではないか。野見山さんの筆力がまた「実存の根底を揺さぶる云々…」の謂いを想わせるようなパワーであるからして酔っぱらっちゃう。香月さんは芸術とトラウマ的体験の兼ね合いを考えさせられる。この場合のトラウマとは一義的に固着させられた情緒の染み付きのような意味。もちろん本書のテーマから言えば戦争体験である。飯盒の底のスケッチは打たれる他ない。

  • Masa さん

    この本を読み始めた時に無言館設立に関わられた野見山暁治氏の訃報に接した。第3章は氏の「僕は確信がないな」という独白が「無言館」なのかもしれない、という言葉で終わる。「確信」ってどういう意味なのだろう。この美術館は時代に関わる芸術の価値という問題を投げかけている。

  • nori1104 さん

    兵士として太平洋戦争に従軍し、復員後に戦争や捕虜体験をモチーフにした作品を描いた画家や、従軍先で戦死した画家・画学生たちを遺された作品とともに紹介。前田美千雄や金子孝信(どちらも戦死)のモダンな風俗画などを見ていると、作品の明るさと作者の戦死したという現実の落差が際立っていっそう痛ましい。上田市にある戦没画学生の慰霊美術館「無言館」はいつかぜひ訪れたい

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人物・団体紹介

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野見山暁治

1921‐2023年、福岡県生れ。画家、エッセイスト、文化功労者。東京美術学校(現・東京芸術大学)油画科卒業、元東京芸術大学教授。『四百字のデッサン』(河出書房新社)で日本エッセイスト・クラブ賞、安井賞、芸術選奨文部大臣賞、毎日芸術賞を各受賞

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