クラシック名曲の条件 講談社学術文庫

諸井誠(1930-)

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784065177945
ISBN 10 : 4065177944
フォーマット
出版社
発行年月
2019年11月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
諸井誠 ,  
追加情報
:
224p;15

内容詳細

≪モーツァルトだからといって、ことごとくが「名曲」というわけではない≫

日頃、何となくわかっているつもりでも、よく考えてみると曖昧な点が多い、クラシック界「名曲」の条件。
傑作と呼び名の高いあの曲、シンフォニーは、果たして本当に「名曲」なのか。
「一度聴いたら忘れられない」曲には、どんな仕掛けがあったのか。
時も国も超えて、未来へと愛され続ける、楽曲の力はどこに秘められているのか。

ベートーベン研究家として名高い、文豪ロマン・ロラン(1866〜1944)、
フランスの大批評家クロード・ロスタン(1912〜70)、ブルックナー研究の大家ロベルト・ハース(1886〜1960)や、作曲家クロード・ドビュッシー(1862〜1918)、指揮者フルトヴェングラー(1886〜1954)などの楽曲的考察を採取。
「第九」「雨だれ」「ニーベルングの指環」など誰もが知る12曲を、創作エピソードや譜面から読み解きます。

名著『クラシックの条件』(1982年 中公新書)の復刊。

内容紹介
ショパンは、情緒に流されて構築の計算を忘れるようなタイプのロマンチストではない。それどころか、計算がまったく表に出ないほどに巧妙な、洗練の極みをいく絶妙のバランス感覚の持ち主なのである。≪雨だれ≫の中間部に認められた「膨張」。この膨張の計算の的確さに気づく時、ショパンの情緒のふくらみが、驚くべき感性の制御のもとにあることが見えてくるのである。――――「≪雨だれ≫の構造」より


名曲とは、「個性と技法の探求vs.公衆の支持」の間のぎりぎりのバランスに成功したものだったのだ。では一体どうして十九世紀にはそれが可能だったのに、二〇世紀に入って――「傑作」は数多あれど――「名曲」が生まれなくなってしまったのか? 「名曲」を十九世紀において可能にしていた存立基盤自体が崩れてしまったのだろうか? 一体名曲を生み出した条件とは何だったんだろう? ――本書の背後には、前衛作曲家としての諸井のこんな切実な問いが隠れている。―――「学術文庫版解説」より

[目次]
プロローグ モーツァルトに「名曲」を求めて
英雄の条件 ―― <英雄交響曲>と<英雄の生涯>
名曲が認められるまで―― チャイコフスキーの二大協奏曲
編曲の魅力を捉える ――ドビュッシーとラヴェル
≪雨だれ≫の構造 ――ショパンの省略法について
<指環>の構図 ――ヴァーグナーのライトモチーフとは…
≪トロイメライ≫をめぐって ――情緒か、構造か
改作の意味を探る ――ブルックナーの交響曲をめぐって
三つの未完成交響曲 ――シューベルト−ブルックナー ―マーラー
形式のコンプレックス ――<第九交響曲>を解剖する
エピローグ ――マーラー「復活の歌」
あとがき
学術文庫版解説 岡田暁生(京都大学人文科学研究所教授)

【著者紹介】
諸井誠 : 1930年東京生まれ。作曲家。音楽評論家。1952年、東京音楽学校本科作曲科を卒業。翌年、ベルギーのエリザベート王妃国際音楽コンクール入賞。27、29、32回、国際現代音楽協会世界音楽祭入選。彩の国さいたま芸術劇場初代館長。著書多数。2013年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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元は中公新書で出ていたものの再発。もう40...

投稿日:2021/06/26 (土)

元は中公新書で出ていたものの再発。もう40年前の本、著者も鬼籍に入られて久しいですが、独特の視点で様々な「泰西の名曲」(こういう言い回しももう死語ですよねぇ)を何故に名曲たり得るのか分析した著作です。作曲家であった諸井誠ですが、この本では楽曲分析というようなことはあまりないのですが、それでもその種の分析では何故かわかりやすいのが面白い。

Verdi さん | 神奈川県 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • trazom さん

    中公新書から出ていたものが、この度、講談社学術文庫で再販。再読だから、真新しさは岡田暁生さんの解説だけだが、この解説がいい。名曲を時代の現象と捉え、純粋芸術の側面だけでなく公衆にどう支持されてきたかを踏まえて説明しようとする諸井さんの意図を、浮き彫りにする。でも、私は、そもそも、この本のようなアプローチを好まない。誠さんのお父さんである諸井三郎先生のように、無味乾燥ともいえるほど徹底して客観的に楽譜を分解し、構造や和声を明らかにしてゆく中から見える音楽の絶対性の中にこそ、「名曲の条件」があると思うから…。

  • みっちゃんondrums さん

    学術文庫だもんね、固くて頭に入ってこなかった章もあった。1982年刊行だからか、取り上げている作曲家・楽曲も固い。ところどころは面白かった。プロローグの「モーツァルトだからといって、ことごとくが『名曲』というわけではない」に、だよねーっと。ここに取り上げた大家でさえ、意識するしないに関わらず、以前の作品をパクっていたという話に、ふむふむ。「編曲もまた、名曲たりうる条件の一つ」ポップスだってそう。岡田暁生さんの解説がわかりやすい。もちっとカジュアルなの読もう。

  • 汲平 さん

    1982年の新書の文庫化なので四半世紀以上前の作品。なぜ今文庫化?と思いながら読了。第九を協奏曲ソナタ形式で分析するのは以前どこかで読んだ記憶が・・・。やっぱりワーグナーは難しい。

  • もりちゃん さん

    諸井誠という音楽家が書いた本は、単なる評論でない世界観で面白かった。ただ共感できるかというと、少し物足りない面も。名曲の条件という固い言葉からかもしれないが、きちんとした評論家や作家でないから仕方ないのかも。でもクラシックを親しむ良いきっかけにはなった。

  • PapaShinya さん

    中公文庫の方が少し大きくて楽譜も読みやすかった。が、学術文庫になって、岡田暁生の解説がついた。コレが分かりやすい。岡田が出てきたころ、まーた吉田○○みたいに作曲家の才能も演奏家の才能もないやつがエラそうなこという時代が続くのかと思ったものだ。節人先生の息子がコレか?とも。しかし、クラシックに関する限り、岡田の音楽に対する距離感が絶妙で、この距離を保てるからこそ冷静な分析ができるのだと思う。本解説でも、諸井よりも諸井の内面というか気持ちを理解している。そして、前衛作曲家の諸井がなぜ”名曲”にこだわるのかも。

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