藤沢周平全集 第24巻 漆の実のみのる国・短篇拾遺

藤沢周平

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784163644400
ISBN 10 : 4163644407
フォーマット
出版社
発行年月
2002年05月
日本
追加情報
:
20cm,484p

内容詳細

著者の晩年のこころを最もよく伝える、日本への遺言というべき遺作長篇「漆の実のみのる国」を収録。加えて「岡安家の犬」「深い霧」など全集未収録の時代小説短篇をもれなく収めた決定版。

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読書メーターレビュー

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  • モトラッド さん

    ★★★★藤沢周平先生の遺作『漆の実のみのる国』は、1993年1月から「文藝春秋」に連載された、上杉鷹山を題材にした歴史小説の大作である。九割方、三十六章まで書かれたところで先生は病に倒れ、1996年4月号から連載中断。翌1997年1月26日ご逝去。先生の無念はいかばかりか。没後、最終回分に当たる、四百字詰め原稿用紙六枚を病床で書きあげ、編集者に渡されていた事が分かり、1997年同誌三月号に、遺稿として掲載された。先生は二階の書斎に上がれず、一階の食卓で書きあげたという。これらの事実に、ただただ圧倒される。

  • 星落秋風五丈原 さん

    幼名を直丸といい、のちに鷹山と号した米沢九代藩主上杉治憲は、日向高鍋藩三万石の秋月家から、八代米沢藩主上杉重定の養子に迎えられ、明和4年(1767)、17才で上杉家の家督を継いだ。治憲がまだ12の少年だった頃、江戸の上屋敷で素読師範の藁科松柏に、領国が人別銭という悪税を課さざるを得ないほどの窮境にある事を教えられ、「それでは家中、領民があまりにあわれである」と涙した。「ああ、何と心優しい名君だろう。」後で現実をくぐり抜けてきたこの大人は、やや皮肉な見方をする。あなたのその思いは子供の一時の感傷に過ぎない。

  • fseigojp さん

    まるでプロテスタンティシズムと資本主義のような、地味で勤勉かつ清廉な人生 藤沢の文章でなかったら、最後までたどり着けなかっただろう つかれました

  • 山内正 さん

    子はなくこのまま世の中を 下らんと暮らすのかと 美味そうな握り飯じゃのと 頭の上から 中老様が 儂に力をかせ竹中家老を落とす 間者の女を守るのだ一人で 目立たぬ様に 江戸の与田が帰るのが十三日かと それまで守だくれと そなたの五人抜きは今も覚えてる  六日が過ぎあと三日かと 夜に戸口に男が斬り込んできた  体を躱し一撃で倒した もう五十だ息が続かん よく見ろこれが無外流だと斬り込んだ 一年過ぎ竹中派の処分が終わり 五石の加増と孫が来た

  • キムチ さん

    藤沢氏晩年の作品とあって、実に静謐極まれり!と云った読後だった。冴えわたる剣の音は殆どなく。 治憲が父たる前藩主を思い起こすくだりに胸が熱くなる。暗愚と云われた事は「家臣か、民か、あるいは事実自分が見てもそうだったのか」が解明されていく。 そうでなくても男子の寡黙を良しとされた江戸時代、今で言うならコミュニケーション不能の状況で種々の情景描写で読み手に考えさせてくれた。

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人物・団体紹介

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藤沢周平

1927年山形県鶴岡市生まれ。山形師範学校卒業。業界紙勤務を経て71年「溟い海」でオール讀物新人賞を受賞し、本格的な作家生活に入る。73年「暗殺の年輪」で第69回直木賞、86年『白き瓶 小説長塚節』で吉川英治文学賞を受賞する。97年逝去

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