三井大坂両替店 銀行業の先駆け、その技術と挑戦 中公新書

萬代悠

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784121027924
ISBN 10 : 4121027922
フォーマット
出版社
発行年月
2024年02月
日本
追加情報
:
288p;18

内容詳細

元禄四年(一六九一)に三井高利が開設した三井大坂両替店。元の業務は江戸幕府に委託された送金だったが、その役得を活かし民間相手の金貸しとして栄えた。本書は、三井に残された膨大な史料から信用調査の技術と、当時の法制度を利用した工夫を読み解く。そこで明らかになるのは三井の経営手法のみならず、当時の社会風俗や人々の倫理観だ。三井はいかにして日本初の民間銀行創業へとつながる繁栄を築いたのか。

【著者紹介】
萬代悠 : 1987年大阪府生まれ。2015年、関西学院大学大学院文学研究科博士課程後期課程文化歴史学専攻日本史学領域単位取得退学。2016年、博士(歴史学)。大阪市史料調査会調査員を経て、現在、公益財団法人三井文庫研究員。著書『近世畿内の豪農経営と藩政』(塙書房、2019年、第62回日経・経済図書文化賞受賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • パトラッシュ さん

    銀行が舞台の小説やドラマでは、借り手の信頼性を調べる審査部門が大きなカギとなる。その審査システムの原型が、元禄期に生まれた三井大坂両替店ですでに機能していた。幕府の公金を資本に運用し利ザヤを稼ぐ商売だったので、確実な返済能力の有無が重視されたのだ。担保となる家屋敷の額や質は無論、何よりも真面目な働き者か否かがチェックされた。飲む打つ買うで融資を断られた面々の有様や、調査技術に長けた人員を育成する三井の人材養成法も現代と変わらない。明治に銀行制度がスムーズに成立したのも、こうした経験あればこそと納得できる。

  • KAZOO さん

    江戸時代における、金融業の歴史をある両替店に焦点を当てて説明してくれた著書です。もともと決済が中心であった両替店が現在の銀行業のもととなった経緯を書かれているとともにその信用分析の手法も示されています。「信用調査」の方法は現在でもかなり参考となります。最近はAIなどでの判断もあるようですが最後はやはり貸す相手の人物がどのようかがポイントと思います。それとともに江戸時代の法制度の役割もかなり重視されています。著者によるもう少し詳細な本も出ているようでそちらも気になります。

  • 遥かなる想い さん

    2025年新書大賞第6位。 銀行業の先駆けとも言える 三井グループの 金融史である。 担保の評価や 信用調査の方法など 銀行業の基本業務が 江戸時代にどうおこなわれていたのかの解明は 大変興味深い。 江戸時代に生きた人々の考え方はわからないが、 それなりの合理性にて 行動していたことが 伺え、地味な経済史ながら 新鮮に読める。

  • まちゃ さん

    江戸時代の政治・社会体制の下で、三井はどのようにして金融業で富を築いたのか。三井大坂両替店という一店舗の信用調査の技術と、法制度を利用した工夫に焦点を当てた江戸金融史。興味深く、面白かった。【1.事業概要】【2.組織と人事】【3.信用調査の方法と技術】【4.顧客たちの悲喜こもごも】【5.データで読み解く信用調査と成約数】

  • ゲオルギオ・ハーン さん

    江戸時代の三井の両替店について解説した一冊。江戸と大阪間の幕府公金の送金業務の他、個人への融資を行っていた。事業概要の時点で面白いのは幕府の送金業務を請負うと得られる債権保護(具体的には債権回収について幕府からも催促してくれるなど)が三井の事業に安定性を与えたことにある。他に三井に所属していた奉公人たちのキャリアを具体例や統計から解説し、当時の人々の仕事と私生活に対する考え方も考察している。長く勤める人もいるが、早く家庭を持ちたいという人は目処(のれん分けが認められるなど)がたてば独立していく。

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萬代悠

1987年大阪府生まれ。2015年、関西学院大学大学院文学研究科博士課程後期課程文化歴史学専攻日本史学領域単位取得退学。2016年、博士(歴史学)。大阪市史料調査会調査員を経て、現在、公益財団法人三井文庫研究員。著書『近世畿内の豪農経営と藩政』(塙書房、2019年、第62回日経・経済図書文化賞受賞)

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