新しい1キログラムの測り方 科学が進めば単位が変わる ブルーバックス

臼田孝

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784065020562
ISBN 10 : 4065020565
フォーマット
出版社
発行年月
2018年04月
日本
追加情報
:
246p;18

内容詳細

1889年のメートル条約決議以来、世界中のあらゆる「重さ」の基準であった「国際キログラム原器」がその役目を終えようとしています。なぜ新しい定義が必要なのか?単位を決めるとはどういうことなのか?数億分の1をめぐる計測の世界で展開されるメトロロジスト(計量学者)の挑戦を追えば、そこには「単位」と「科学」の深い関係が見えてきます。

目次 : 第1章 計測の基本―単位とは、測るとは/ 第2章 メートル法の誕生―すべての時代にすべての人々に/ 第3章 地球から光へ―メートル定義の変遷/ 第4章 原器から原子へ―キログラム原器の受難/ 第5章 メートル法から国際単位系へ―あらゆるものを測定対象に/ 第6章 量子力学と相対性理論の時代―宇宙をつらぬく法則/ 第7章 量子標準の時代―取り残されるキログラム/ 第8章 原器から光子へ―キログラムと光をつなぐ天秤/ 第9章 新しいキログラムへの道―動き出した国際プロジェクト/ 第10章 一気にゴールへ―メトロロジストたちの奮闘/ 第11章 定義改定がもたらすもの―すべての時代にすべての人々に

【著者紹介】
臼田孝 : 1962年生まれ。長野県出身。国立研究開発法人産業技術総合研究所計量標準総合センター長。1987年東京工業大学総合理工学研究科修士課程修了。新日本製鐵株式会社(現新日鐵住金株式会社)を経て、1990年通商産業省工業技術院計量研究所(現産業技術総合研究所)入所。振動計測、光波干渉計などの研究に従事。関心は力学量の動的計測。ドイツ物理工学研究所(PTB)招聘研究員(1998年)、フランス国立科学研究センター(CNRS)招聘研究員(2000年)、国際度量衡局(BIPM)招聘研究員(2010年)。振動加速度の国家標準開発に対して第43回市村学術賞貢献賞受賞(2010年)。2012年より国際度量衡委員。博士(工学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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  • こーた さん

    かつては王の腕が、長さの単位だった時代がある。単位は権力者と結びついて、また地域や物によって大いにばらつきがあった。転機はフランス革命。より平等な単位を。政治の市民革命は、単位の革命でもあったわけだ。距離と重さを精密に測り、定義を正確に現示した原器が生まれた。でも、まだ十分ではない。どんなに厳重に保管しても、原器には誤差が生じ、失われる恐れはつねにつきまとう。より普遍的で、未来永劫に亘って狂わない基準を。辿りついたのは物理定数。何桁もさきまで精密に測って、定数を決定する。それが新たな単位の定義となる。⇒

  • まーくん さん

    国際単位系の基本となる単位は長さ、質量、時間、電流、熱力学温度、物質量(モル)、光度の7つ 。長さは白金イリジウム合金でメートル原器が作られたが、種々問題や限界があり、現在は光の速さをクリプトン86の波長に基づいたメートルで測定し、光速を秒速2億9979万2458mと決定。以後はこの光速を基準に1mを定義。しかし「質量」は、「長さ」のように基礎物理定数で定義することが出来ず、依然、白金イリジウム合金の国際キログラム原器が質量標準となっていた。が、基礎物理定数を基準として定義できる技術条件が整ってきた。⇒

  • まえぞう さん

    再読しました。単位の理論的な定義は、普遍性を求めるがゆえに、科学的な知見が増すにしたがい人間の感覚から離れていく。一方で、その定義にしたがって如何に実際に測るかも新たな技術と根気が必要となる。単位に取り組む科学者の苦労がよくわかるお話しでした。

  • loanmeadime さん

    北極から赤道までの子午線の1000万分の1を1mと定め、その基準がパリに保管されるメートル原器だったのを、光の波長に今は置き換わっていると、高校生のころに聞きました。当時愛用の「親切な物理」の割と終りの方に出てくるので、名前だけ覚えとくか、という認識だったのがプランク定数ですが、大学入試本番にその応用が出題されて青くなった記憶があります。以来50年、そのプランク定数が今日ではキログラム原器に代わるという話で、ボーっと生きている間の世の中の移り変わりに驚いています。

  • bapaksejahtera さん

    2018年の国際度量衡総会第26回総会で7つの基礎物理定数のうちkg、アンペアA、ケルビンK、モルの4つの定義が根本的に改定され、国際キログラム原器は廃止と決定。国際単位系に大きな変更がなされた。本書はこれを機に、計量単位体系について一般への周知を図らんとして計量研究機関の所長が著した物。冒頭単位の起源からメートル法や計量標準器の歴史を述べた後、量子物理学の進展に計測技術の急速な発展が追いついた、単位を巡る新たな状況を説明する。中々難解。新たな定義の改善余地等、斯分野の残された課題も明らかにする良著である

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臼田孝

国立研究開発法人産業技術総合研究所執行役員、計量標準総合センター長。1987年、東京工業大学総合理工学研究科修士課程修了。学生時代の専攻は精密工学。新日本製鐵株式会社(現・日本製鉄株式会社)を経て、1990年、通商産業省工業技術院計量研究所(現・産業技術総合研究所)入所。振動計測、光波干渉計などの研

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