世界史としての「大東亜戦争」 PHP新書

細谷雄一

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784569852515
ISBN 10 : 4569852513
フォーマット
出版社
発行年月
2022年07月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
224p;18

内容詳細

本書は「大東亜戦争」を、日本史や日米関係史の視座、あるいはアメリカ政府の視座である「太平洋史観」から解放し、さらには戦前の日本が戦争の肯定を試みた「大東亜戦争史観」からも解放して、国際史の視点から再検討する試みである。日本史、米国史、英国史、中国史、ドイツ史、ソ連史、フランス史、インテリジェンス研究などの第一人者の論考を収録する。例えば中西寛氏は1890年を20世紀の起点に置く歴史観を提唱し、大木毅氏は当初日本よりも中国との関係を重視していたドイツが日本と手を結んだ経緯を綴る。重層的な視点から「複合戦争」の全体像を俯瞰する。グローバルな視点を持たなければ、先の大戦の本質を見誤る。各分野の第一人者による15編。

目次 : 「先の大戦」を総括する新しい歴史的視座(細谷雄一)/ 二十世紀史のなかの第二次世界大戦と日本(中西寛)/ 中国と英国の秩序を超えようとした日本(松浦正孝)/ 避決定を貫徹できなかった日本(森山優)/ ローズヴェルトの世界戦略と遺産(村田晃嗣)/ イギリスのなかの親日派と抗日派(アントニー・ベスト)/ 蒋介石の外交戦略と中国共産党史観―「外交は無形の戦争論」の再評価(家近亮子)/ ドイツの「転換」と三国同盟への道(大木毅)/ スターリンの対日戦略、軍事大国の陥穽(花田智之)/ ド・ゴールと第二次世界大戦―植民地帝国における戦後フランスの礎の構築(宮下雄一郎)/ 大日本帝国崩壊後も続く東アジアの激動(加藤聖文)/ インテリジェンス比較―縦割りの日本、情報集約の英国(小谷賢)/ 帝国の喪失がもたらした民主主義(リチャード・オヴァリー)/ ヨーロッパにおけるファシズムの浸透と競合(板橋拓己)/ 知識人たちの闘い―国際秩序の変動と国際協調という問い(森田吉彦)

【著者紹介】
細谷雄一 : 慶應義塾大学法学部教授。1971年千葉県生まれ。英国バーミンガム大学大学院国際関係学修士号取得。慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程修了。著書に『戦後国際秩序とイギリス外交―戦後ヨーロッパの形成1945年〜1951年』(創文社、サントリー学芸賞)、『倫理的な戦争―トニー・ブレアの栄光と挫折』(慶應義塾大学出版会、読売・吉野作造賞)、『国際秩序―18世紀ヨーロッパから21世紀アジアへ』(中公新書)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • skunk_c さん

    「大東亜戦争」をグローバルに捉えようという雑誌連載の論文にいくつか追補論文を加えたもの。森山優、大木毅など、かなり評判になった研究者のものも含んでいて、しかも論調にも幅がある。基本は波多野澄雄の「4つの複合戦争」という捉え方にあるようだが、イギリス人研究者の捉え方は少し違う面もあり立ち位置の差を感じた。そんなに目新しい話は出てこないが、森田吉彦の「知識人達の戦い」は知らない人も紹介されていたので、興味深かった。こうした各論を束ねた大きな総論を誰かがものしないかなどと、ついついないものねだりをしてしまった。

  • tamami さん

    本書は「先の大戦」の呼称から始まる。「太平洋戦争」でも、「アジア・太平洋戦争」でも、「15年戦争」でもなく、国際史としての性質を重視して「大東亜戦争」と呼ぶべきを諄々と説いていく。といって、所謂大東亜戦争史観を展開するのではなく、わが国が結果的に開戦に踏み切ったことの情勢分析とその是非を、15人の歴史家がそれぞれの視点から述べていて、大変分かり易い。近年、近現代史において、日本だけが世界にあったかのような視野の狭い研究とはおさらばする風潮が出てきて、大変心強い。雑誌『Voice』の掲載論文をまとめたもの。

  • すしな さん

    073-25.本書を通じて、大東亜戦争を日本史の一部ではなく、世界史の連続性の中で捉える視点を得ました。意外だったのは、アメリカの情報優位という通説が翻訳や伝達の誤りによって必ずしも盤石ではなかったこと、そして日本も暗号解読など優れた力を持ちながら活かしきれなかった点です。戦争を回避するために「あの時こうしていれば」という議論はよくありますが、複数の研究者がそれぞれの専門的視点から示すように、各国に固有の思惑があり、日本単独でできることとしての絶対の「正解」は存在しないのだと改めて感じました。

  • Isamash さん

    細谷雄一慶應大教授が編者の2022年発行著書。編者含め15名が寄稿。ごった煮の印象だが興味深い論説も存在。特に、英国は一枚岩ではなく抗日派と親日派が共存していた事実さえ把握できなかったことに象徴される他国反応の予測の欠如を指摘したアントニー・ベスト・ロンドン大教授、民主主義は繁栄している国のみで機能すると説いたリチャード・オバリー・英エクセター大名誉教授、日本に留学経験のある蒋介石の側から対日戦争を描写した家近亮子敬愛大教授、仏植民地や英亡命地からの抗独運動を記した宮下雄一郎法政大教授の論は新鮮であった。

  • 鯖 さん

    国内外の学者による世界史から大東亜戦争を振り返る本。総括できてない先の戦争を大東亜戦争と称してるけど別に右ではない。インテリジェンスや蒋介石ドゴール等、知らない視点ばかりでとても興味深かった。イギリスの親日派抗日派の論でなぜ日本は他国の反応を予期できなかったのかとアントニーベスト氏が述べられて、なんでファシストと結びつくのかなんで南部仏印駐印して他国から反発が起きないと思えるのかと純粋に疑問に思ってらして、それなってなる。しかもその輸送船の海上護衛を満足にすることもなく、ほとんど沈められちゃうしさ…。

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