アルバムを聴き終えたとき、不思議なほど爽快感があった。
折り紙つきの歌唱力やメロディの耳なじみやすさももちろんだが、大きいのはアルバムを通してストーリーになっていること、そのストーリーを彩るように楽曲のタイプを変えていること、そしてinstrumentalの存在だ。
アルバムの始まりはそのinstrumentalの「-再会-」から。
インストとはいえ単純に楽器の音だけで構成されているわけではなく、ナレーションのようなセリフが入る。
これによりアルバムが始まることへの期待が高まり、そこから流れる「君と世界エレジー」のハイテンポのロックナンバーが何倍にも映える。
エレジー(哀歌)で始まったストーリーは、「忘想花」の心地よいテンポで鳴らすギターロックナンバーで葛藤を、強烈なインパクトの電波ソング「擬態スマイル」で踏み出す試行錯誤し、ハードロックナンバーの「煉獄スカーレット」で自分自身を信じる強さを持ち、「ハートフル・ドリーマー」でその全てを受け止めて祈りを歌う。
そして、最後にinstrumentalである「-最初-」でこのストーリーに最高の余韻を残してくれる。
本来これだけ様々なタイプの楽曲が並ぶとバラバラになりがちだが、ストーリーがしっかりしていることに加え、インストとそのセリフが曲と曲を絶妙に繋ぐことで、全体を通してとてもまとまったアルバムになっている。
これは声優・米澤円だからできたコンセプト・アルバムといえるだろう。
また、実はこのアルバムの曲には一曲ごとにテーマとなる鳥が設定されていることにも注目したい。
アルバムを通して聴いてみて欲しいが、自分の好きな鳥がテーマの曲を聴いてみるのも楽しいアルバムだ。