五十鈴川の鴨

竹西寛子

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784901998789
ISBN 10 : 4901998781
フォーマット
出版社
発行年月
2011年08月
日本
追加情報
:
20cm,203p

内容詳細

淡い交りだった。静寂な川の流れに、生きては会えぬ人のおもざし。あたうかぎりの寡黙と忍耐にひめた原爆の影…。表題作を含め、「木になった魚」「雲間の月」など、人のあわいを繋ぐ8つの短篇を収録。

【著者紹介】
竹西寛子 : 1929年、広島県生れ。早稲田大学文学部卒業。編集の仕事に携わったのち、文筆生活に入る。1963年、初めての小説「儀式」を発表、評論「往還の記」の連載を始める。著書に、『管絃祭』(女流文学賞)、『兵隊宿』(川端康成文学賞)、『式子内親王・永福門院』(平林たい子文学賞)、『山川登美子』(毎日芸術賞)、『贈答のうた』(野間文芸賞)など多数。1994年、作家評論家としての業績により日本芸術院賞受賞。同年同院会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 新地学@児童書病発動中 さん

    小説を読む醍醐味の一つが、さまざまな人生を体験することだろう。小説を通して、他の人の悲しみや苦しみ、喜びを自分の糧にすることができる。それは本当に素晴らしい経験だ。ここに収録された短編は華麗なところはなくて、文章も抑制されている。それでも、一つ一つの短編を読むと、普通の人々のありふれた人生の中にあるいろいろな感情や想いが、胸の中に真っ直ぐに入りこんできて、深い余韻に浸ることができた。「雲間の月」が私のベスト。ちょうど月の光のように、闇の中で自分の人生を照らし出してくれる温かさに溢れた短編だ。

  • あつひめ さん

    竹西さん初読みだけれど、一気にファンになってしまった。世代はまったく違うのに人を看とる気持ちがひしひしと伝わってくるのだ。年老いた両親と離れて暮らす私からしたら、今後どのように心の準備をしながらお互いの距離を詰めたらいいのか。竹西さん独り言のような語り口は現代の慌ただしい日常とは少し違っていてとても懐かしい匂いがする。平成の便利な世界もいいが、少し頑固な日本人の心意気がまかり通っていた昭和時代も私には大事な時期でもある。他の作品も読みたい。

  • もりくに さん

    坪内祐三の枕にできるほど厚い「文庫本 宝船」を楽しみながら、少しずつ読んでいる。この本の紹介が、あまりにそそるので。そうでなければ、この著者には縁がなかった。とても簡潔な文章で綴られている。たぶん、相当刈り込んだのだろう。これが手練れの文章か。ちょっとした日常のあれこれが、淡々とした筆致で描かれている。表題作、主人公と岸部の淡い交わり。後日、彼のゆかりの人から聞く彼の出自。広島で家族全員を失い、自ら被爆者となった彼の生の不安。彼と訪れた五十鈴川。そこに泳ぐ鴨を「いいなあ」と。彼は人生を見事に生きた。

  • hasegawa noboru さん

    再読。大江健三郎が『親密な手紙』で、激賞していたことのつながりであるが、大震災の年二〇一一年八月刊のこの本はその年すでに読んでいた、大江の『図書』掲載のエッセイも目にしてのことに違いないが、すでにその中身を忘れていた。お恥ずかしい。抑えた筆致の短い言葉が行き交って、人物たちの生の実相が緊迫感を伴って、キラリとほの見える。その凄みと静かな余韻。冒頭表題作と最後の「氷の枕」三つの掌編中の「雨の日」には、泣けた。「五十鈴川の鴨」・主人公「私」に女客がもたらした知人「岸部」の死の報告とその最期のことづて。<いつか

  • kaoru さん

    美しい日本語で綴られた繊細な心情。「日本のウィリアム・トレヴァー」と呼びたいほど、ささやかな日常の描写を通じて人生の機微を感じさせる物語ばかりだ。慣れ親しんだ土地から立ち退かねばならなくなった男、職人と気脈を通じ合わせる若い教師、モデルハウスの抽選会場で知り合った二人の老人の触れ合い、ある秘密を隠して人生を閉じた男との淡い交流を描く表題作なと。どちらも初老から老年の人々が主人公でスマホやパソコンも登場しない本著は、ついこの間まで日本のそこかしこで見られたような人間模様を丁寧に丹念に掬い取っている。

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竹西寛子

1929年、広島県生まれ。早稲田大学文学部卒業。『管絃祭』で女流文学賞、『兵隊宿』で川端康成文学賞、『山川登美子』で毎日芸術賞、『贈答のうた』で野間文芸賞受賞。1994年日本芸術院賞受賞、同年より日本芸術院会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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