御家騒動 講談社学術文庫

福田千鶴

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784065402467
ISBN 10 : 4065402468
フォーマット
出版社
発行年月
2025年07月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
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内容詳細

「主従」とは闘争である。

時代小説や歴史ドラマなどでおなじみの、「家中のトラブルが幕府に露見して改易される」といった筋書きだか、実際にはそうした事例はほぼなかった。
有力大名家に勃発した鍋島騒動、黒田騒動、対馬の柳川一件、伊達騒動‥‥いずれも改易とはなっていない。
子細にその経過をみてみると、幕府が騒動に積極的に介入したというよりは、むしろ大名・家中の側から幕府に積極的に訴訟し、自ら幕府の介入を招いているような節がある。
では、大名や家臣たちはどうしてこのような危ない橋を渡ろうとしたのだろうか?

本書は、御家騒動を引き起こす当事者たちの行動の原理がいかなるものであったのかを探り、「忠臣が身命をなげうって悪臣を排除し、騒動の禍根を未然に絶って御家の危機を救う」勧善懲悪ストーリーとは一味違うリアリティを、幕藩制という時代相のなかから具体的に解き明かす試みである。

大名家のスキャンダルを歴史学の眼で徹底検証する、スリリングな歴史研究!

【本書より】
元禄以降の十八世紀には、主従不和や家中騒動が「公儀」に対する罪過である、という固定観念ができあがっているが、それ以前に生じた騒動に対してはそうした「色めがね」(固定観念)をはずして見直してみるべきではないか。家中騒動が「公儀」に対する罪過ではなかったからこそ、大名や従臣たちは将軍・幕府に騒動の調停を強く求めることができたのではないか、という逆の視点から騒動をみていくことが必要なのである。
そのためには、当時に作成された一次的な史料に基づいて騒動全体を見直すという作業が必要となるのはいうまでもない。

【本書の内容】
第一章 近世武士の主従観念と「御家」
第二章 主君を廃立する従臣たち
第三章 従臣を排除する主君たち
第四章 主君を選り好みする従臣たち
第五章 御家騒動の伝統化
補章 「御家騒動」のなかの女性たち

*本書の原本は、2005年に中公新書より刊行されました。

【著者紹介】
福田千鶴 : 1961年、福岡県に生まれる。九州大学大学院文学研究科博士後期課程中途退学。専攻は日本近世政治史。博士(文学)。現在、九州大学基幹教育院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • さとうしん さん

    これまで幕府に露見したら改易や天封は免れないとされてきた大名の御家騒動。その実相を江戸前期の事例を中心に探る。実際のところは幕府に露見するというよりも家臣の側が幕府に訴えているケースが多く、幕府は基本的に大名の家のことには不介入という方針だが、やむを得ず動くというパターンが多く、改易・転封も幕府が大名家の存続を願ったものの当の本人の不行跡や藩主の夭逝などにより結果的にそうなったという事例が多いようだ。本書はあるいは御家騒動から離れ、政府による「統制」一般を考える手がかりとなるかもしれない。

  • どん さん

    歌舞伎や浄瑠璃の演目というイメージのお家騒動。舞台になる前の実際の御家騒動が、時代とともにどう変わってきたかが史実に基づいて説明されている。主従の関係や幕府の介入の仕方、判断によりお仕置きは変わり、世間の捉え方も変わり、興味深い。幕府がいちゃもんをつけて取り潰すことはなかったよう。舞台は舞台、史実は史実。最初は少し読みにくかったが、途中からペースアップした。

  • 261bei さん

    江戸初期の御家騒動についての本である。露顕したら大名家に厳罰が下ると思われていたものの、どちらかといえば大名の家臣が幕府の介入を求めるのでやむを得ず口を出したという感じである。その中には柳川一件のように、宋氏の国書の偽造を暴露するという自爆攻撃的な訴訟を提起するものすらあった。御家騒動=改易というイメージは、むしろ安定化を志向した寛永年間に始まることで、越後騒動で将軍一門(だからこそ厳罰に処されたということに見えるが)が改易されてしまった結果、幕府に持ち込めば改易は免れないという衝撃が広まったのだという。

  • sovereigncountr さん

    「御家騒動」を手掛かりに中世/近世移行期の世情と心性を活写した良書。史料を丹念に読み解きつつ、そこから時代性を立ち上がらせる力量に脱帽。

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