日本蒙昧前史

磯ア憲一郎

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784163912271
ISBN 10 : 4163912274
フォーマット
出版社
発行年月
2020年06月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
248p;20

内容詳細

大阪万博、三島由紀夫の自決、五つ子ちゃん誕生、ロッキード事件、グリコ・森永事件、密林に二十八年身を潜めていた元日本兵―。もはや忘れ去られてしまった無数の「虚構ではない人生」を通じて、あの「蒙昧」の時代の生々しい空気が浮かびあがる。変幻自在の語りを駆使した芥川賞作家、会心の作。

【著者紹介】
磯〓憲一郎 : 1965年生まれ。2007年、『肝心の子供』で文藝賞を受賞しデビュー。『終の住処』で芥川賞、『赤の他人の瓜二つ』でBunkamuraドゥマゴ文学賞、『往古来今』で泉鏡花文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • trazom さん

    コンプラ研修では「差別語だから「蒙」という字は使ってはいけない」と教えられるのに、このタイトルは大胆だ。グリコ・森永事件、五つ子誕生、大阪万博、横井庄一さん生還など、1970年から80年代にかけて起きた数々の事件が回想されるが、視点はそれらの事件の背後にある社会の闇に当たっている。希望に満ちた時代に、すでに、メディアの傍若無人、拝金主義、虐げられた人への冷淡など、現代日本の蒙昧の前史があることが示される。登場人物が隠喩で貫かれること、読点ばかりの文章のリズムなど、この小説独特の雰囲気が、恐怖感を醸し出す。

  • いちろく さん

    紹介していただいた本。グリコ森永事件からはじまる昭和の時代に起こった出来事をモチーフにした内容。一文一文だけを見たら飾り気もなく特徴も希薄な内容。ただ、句点や段落が少なく繋ぎ目を意識させない文章を継続して読み進めるうちに、少しずつ独特な世界観に酔う。見通しの良い一本道を歩いているのに、永遠に続くような感覚に陥り、いつの間にか迷子になり沼にはまっているよう。実際の出来事が基にある現なはずなのに、虚を観せられている感覚が拭えなくなった。特定の海外作品でも出会う文体手法も意識させられた、不思議な世界観。

  • niisun さん

    日本が今の愚昧で暗愚な国に落ちていく様を“時の人”の目線で見つめた物語。誘拐された製菓会社の社長、角栄と対立した小柄な政治家、五つ子ちゃんの父、グアム島から生還した旧日本兵、大阪万博の目玉男。作者は1965〜1985年頃を日本の蒙昧前史と捉え、盲目的な大衆に抵抗を見せた人達を描いている。“東京”を擬人化して、自ら東京の歴史を辿る奥泉光の『東京自叙伝』に似たようなテイスト。私が生まれた1972年は田中角栄が首相になり、沖縄が返還され、横井庄一氏がグアムで発見されるなど時代の変わり目だったのだと気づかされる。

  • ぺんぎん さん

    グリコ森永事件から始まり、昭和に起きた様々な出来事を紡いでいく。事件、ニュースを通してマスコミのあり方が今に通じているなぁと。自分さえ良ければいいのかと、仕事だからと当事者の人権を無視して良いものか。なんとなくその辺が気になってしまった。続きも発行されたらぜひ読みたい。

  • yyrn さん

    戦後、人々の記憶に残る事件や出来事を次々と読点でつなげて延々と語り続ける文体は好き嫌いが分かれそうだが、私は十分楽しめた。社長が誘拐され、菓子に毒物が混入された「グリコ森永事件」、高度成長期の政治家の暗躍とキャバレー通いの醜聞、「五つ子誕生」で翻弄されるNHK社員の父親と家族、華やかな「大阪万国博覧会」の裏であった千里丘陵地買収の苦労と太陽の塔に籠城した若者の半生、戦後28年目にグアム島で見つかり帰国を果たした「元日本兵」の戦前戦中戦後の生きざま。その間に挟まれる三島由紀夫やスタルヒン、日航機墜落事故など

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