薔薇密室 ハヤカワ文庫JA

皆川博子

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784150310646
ISBN 10 : 4150310645
フォーマット
出版社
発行年月
2012年04月
日本
追加情報
:
640p;16

内容詳細

第一次大戦下のドイツ・ポーランド国境近く。脱走兵コンラートは古い僧院に身を寄せる。そこでは所有者のホフマン博士が、人間と薔薇を融合させる常軌を逸した実験を行なっていた。コンラートはある思惑のもと、博士に協力を申し出る…。そして十数年後、ナチス・ドイツの弾圧から逃れたポーランド人の少女ミルカが見た、僧院の恐るべき真実とは?戦争と美への欲求という人間の深い業を流麗な筆致で描く歴史ミステリ。

【著者紹介】
皆川博子 : 1930年旧朝鮮京城市生まれ。東京女子大学英文科中退。73年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ・幻想小説・歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁 旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞を、時代小説『恋紅』で第95回直木賞を、幻想小説集『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞を、歴史ミステリ『死の泉』(早川書房)で、97年の「週刊文春ミステリー・ベスト10」の第一位に選ばれ、第32回吉川英治文学賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • みっちゃん さん

    すごい。出会わせてくれた読友さんに感謝。瀕死の美青年を薔薇と融合させて生き永らえさせるという背徳的な場面に始まり、突然戦時下のポーランドに投げ出される。やっと悪夢から目覚めたと思ったらまた夢の中というような足下の定まらぬ不安と焦燥感に身を捩るような描写が続く。どこまでが事実でどこからが登場人物の妄想なのか。私も少女ミルカと共に混乱の海を泳いだ。読了後、痺れたような頭で冒頭に戻ったら…ああ…そうだったのか…胸がいっぱいになった。

  • naoっぴ さん

    いやいや凄い小説!寝る前に読んだら目がギンギン、寝不足でございます(笑) 第一次大戦〜ナチスドイツ敗戦までの、ある僧院でおきた出来事の物語。作中、重要な内容が書かれた謎の手記が度々挿入され、読んでいるうちにこれが現実なのか幻想なのかわからなくなる。さらにあちこちにとぶ時系列にも翻弄され、想像力を総動員させてのめり込むように読んだ。密度の濃ゆ〜い構成に思わず目眩!耽美な幻想小説でもあり、リアルな史実に基づく重厚な歴史ミステリでもあり。皆川さんの頭の中はどうなっているのか。この華やかさ、ため息しか出ません…。

  • あさひ@WAKABA NO MIDORI TO... さん

    すごい作品を読んでしまった・・・戦時下のポーランドを舞台に背徳的とも言える美への欲求、読者は美しい悪夢と現実との狭間で翻弄される。初めて読む皆川作品がこれっていうのは、慣らし運転なしでいきなりレッドゾーンまでぶちこむようなものだったのかも。他の作品どんなだろう?是非、読んでみなくては!

  • 財布にジャック さん

    7年程前に単行本でこの作品を読んだ時の衝撃が未だ忘れられず、文庫版で再読しました。しょっぱなのコンラートの生い立ちからエロティックでグロテスクで、ドキドキが止まりません。作中作を読めば読むほど迷宮に迷い込まされ、一体全体何が起こっているのか真実を知りたくて600ページ強の分厚さも全く苦になりません。人間と薔薇の融合だけでも充分に怪しくて耽美でクラクラしますが、異形、不老、梅毒、ナチスと皆川ワールドは言葉で言い表せない程凄いんです!何度読んでもショッキングで頭から離れない大傑作だと思います。

  • ももっち さん

    甘く濃厚な薔薇の香りに溺れ、荘厳で重厚で流麗な世界に浸り、その至高の美意識に酔う。ああ、本当に素晴らしかった!第一次大戦から第二次大戦時のポーランドとドイツ。倒錯的で耽美極まる狂気の研究、黴毒が昂める才能、美しき劣等体として集められた畸形の少年たち、劣悪化する占領下で引き裂かれる少女と少年。薔薇の僧院を舞台に、複雑に入り組んだ幻想と現実が交錯する。混沌とする時系列。読んでいると目眩と恍惚を覚える。爛熟とした頽廃の中、翻弄されながらも生き抜く者たちの力強さに光を見る。興奮がとまらない。これも大大大傑作!

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人物・団体紹介

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皆川博子

昭和4年(1929年)、京城に生まれる。1972年、少年向け時代小説『海と十字架』でデビュー。1973年、「アルカディアの夏」で第二〇回小説現代新人賞を受賞して本格的に活動を開始。推理小説、幻想小説、時代小説、西洋歴史小説の各ジャンルを横断して多彩な作品を数多く発表している。日本推理作家協会賞、直木

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