52ヘルツのクジラたち

町田そのこ

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784120052989
ISBN 10 : 4120052982
フォーマット
出版社
発行年月
2020年04月
日本
追加情報
:
260p;20

内容詳細

52ヘルツのクジラとは―他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラ。たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。そのため、世界で一番孤独だと言われている。自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる―。

【著者紹介】
町田そのこ : 1980年生まれ。「カメルーンの青い魚」で、第十五回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞を受賞。2017年に同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

総合評価

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聞こえない声、社会の中でマイノリティとし...

投稿日:2021/06/22 (火)

聞こえない声、社会の中でマイノリティとしてかき消されてしまう声を聞こうとする人のお話でした。愛されたいと願う純粋な気持ちとそれが叶えられない状況に胸が痛くなります。こうした声を拾い上げようとする本作のような作品があることが一つの救いの形になっているのではないかと思いました。一方でマイノリティのアイデンティティがドラマを盛り上げるための演出として安易に消費されているような印象も同時に受けました。感動した、の一言で済ませてはいけない題材だと感じます。

mori さん | 東京都 | 不明

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2021年本屋大賞受賞作とのことで、町田その...

投稿日:2021/04/28 (水)

2021年本屋大賞受賞作とのことで、町田その子さんの作品を初めて読んでみました。最初、主人公はなにか訳ありのような雰囲気を醸し出しつつ物語が始まっていきますが、自分の人生を犠牲にしてきたことが分かり、私自身が恵まれていることに改めて気づかされました。心が洗われたようで、読んでよかったです。

ねる さん | 埼玉県 | 不明

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親、恋人と、さまざまな信頼し愛する相手か...

投稿日:2021/04/17 (土)

親、恋人と、さまざまな信頼し愛する相手から受ける虐待は、読んでいてつらいくなる。そして、愛されていながら本当の自分を受け入れてもらえないこともまたある種の虐待なのだと感じられた。そうした傷を負った人たちが支え合い、自分の存在意義を感じて強く生きようとする姿はいいなと感じる。 ただ、親が読んでいたひどい呼び方をしたくないからと数字で呼ぶのも(子どもが興味を持ったことだったとしても)どうなのかと、呼ぶたびに何か居心地の悪さを覚えた。そして、アンさんを死なせる必要もあったのかという後味の悪さも残ってしまった。

taku さん | 東京都 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ろくせい@やまもとかねよし さん

    盛り沢山の辛さが詰まった物語。主題は社会的弱者。近親者からの唐突で、理不尽で、凄惨な暴力。それは徹底した人格攻撃で、そんな利己的行為で支えられる残念な自己意識。血縁ゆえと子供に暴力する親の意識。愛ゆえと恋人に暴力する意識。社会的地位ゆえと顕然に差別する意識。男女性ゆえとトランスジェンダーに不寛容な意識。心をすり減らしながらこれらを甘受する悲痛な声の行方を探す。本書は、このような悲痛な声を発せさせるのは「ひとの理をわかっていない」と喝破。「ひとは最初こそもらう側やけど、いずれは与える側にならないかん」と。

  • kou さん

    悲しみの涙、切ない涙、感動の涙、喜びの涙・・・読んでいて、何度、泣いたか分からないくらい、涙が溢れてきた。世の中、酷い人は存在する。出会った事を後悔してしまう人も沢山いる。でも、それと同じくらい魂の部分から救ってくれる存在に出会える事もあると思う。この本を読みながら、しみじみと思った。人に優しくでき、明日も頑張ってみようと思える一冊だった。ちなみに、大分県は、ここまで田舎では無いと思う・・・いや思いたい(笑)。

  • starbro さん

    以前から気になっていた町田 そのこ、初読です。虐待、愛、贖罪、非常に悲しく切ない感涙作です。最期に僅かな救いがあり、安堵しました。タイトルも哀しく美しく秀逸です。今年のBEST20候補、著者の他の作品も読んでみたいと思います。

  • さてさて さん

    人は”群れ”の中で生きる生き物です。しかし、その中には無意識のうちに聞き逃してしまう声もあるのだと思います。聞こうとしなければ聞こえてこない声もあるのだと思います。そして、ニュースとなって初めて、そこに”声なき声”を発していた人がいたことを知る私たち。”声なき声”の存在を『クジラ』という存在を象徴的に重ね合わせて描いていくこの作品。手を差し伸べられた過去を思い、手を差し伸べる側に回る貴湖。”ひとりじゃない”、と”声なき声”に光が当たるその結末に、”群れ”で生きる人間社会に救いの光を見た、そんな作品でした。

  • ヴェネツィア さん

    町田そのこは初読。この人の文体は、地の文までが口語話体に限りなく近い。したがって、読者の中には親近感と共感性を強く持つ人もいるだろう。すなわち私(読者)の語りに強く近接しているのである。内容的には2つの児童虐待を描いているのだが、その語りの方法もまたいたって卑近である。そうであるだけに、これも読者に共感されやすいと思われる。タイトルにも取られたクジラの歌は、大江健三郎の『洪水はわが魂に及び』に描かれていたが、町田がそれに触発されたものかどうかはわからない。あるいは全く別のソースであったのかもしれない。⇒

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