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52ヘルツのクジラたち 中公文庫

町田そのこ

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784122073708
ISBN 10 : 4122073707
Format
Books
Publisher
Release Date
May/2023
Japan

Content Description

2021年本屋大賞第1位。待望の文庫化。

52ヘルツのクジラとは、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く世界で一匹だけのクジラ。何も届かない、何も届けられない。そのためこの世で一番孤独だと言われている。
自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれる少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる――。
〈解説〉内田剛

【著者紹介】
町田そのこ : 1980年生まれ。「カメルーンの青い魚」で第15回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞を受賞。2017年に同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • 青乃108号

    俺がまだ読メの駆け出しだった、2021年の本屋大賞受賞作。当時はメディアでもかなり話題で、その様を眺めていた俺は「多分読む事はない」と決めてかかっていた。それから三年。まあ読んでみても良いか、ぐらいの気まぐれで予約してたら思いの他順番が回って来るのが早く人気作故に延長など出来ず、心の準備が。などと言ってる場合ではなく兎に角読み始めた。冒頭から心を鷲掴みされた。何だこれは。作品世界から抜ける事が出来ない程、没頭して読んだ。猛烈に感動した。泣いた。俺は妻の「魂の番」になれていない。俺の声も聴いてくれ、キナコ。

  • エドワード

    もし私の声の周波数が他の人と全く違えば、私の声は誰にも届かない。クジラは超音波で交信する。52ヘルツのクジラは他のクジラと交信できない。何と孤独な生命だろう。大分県の海辺の街。昔、祖母の住んでいた家へ、東京から移住してきた訳ありの女性、貴湖。ある日、身体中に痣のある少年を助ける。実母から<ムシ>と呼ばれ、声を出せない少年。家族から虐げられた貴湖と少年は「魂の番(つがい)」のごとく寄り添う。理不尽な人々。優しい人々。この社会はままならないことばかりだ。涙があふれてしょうがない。二人の明るい未来を祈る。

  • nonpono

     このクジラを「クジラたち」と表わす意味が、最後にぐっとくる一冊。こんなに泣いたのは久しぶり。何かがわたしの中に共鳴していた。そんな小説の世界に溶け込める幸せ。それぞれの魂のつがい、世界の中にきっといる。この本の中で展開していく人間模様の優しさ、孤独さ、残酷さ。ふと、自分の手の中で失ったものを、もうどうあげいても逢えない人を思い出した。性とか年齢なんて超越した、かけがえのない存在。理屈じゃないし理解もされない、あの人との関係。わたしたちにしか聞こえない音があったよね。出逢えたことを思い出せてくれた一冊。

  • しんごろ

    物語の中に、現代社会で起きてる様々な問題の課題要素が入り、虐待に重点を置いてるかな。キナコ(貴湖)が何もかも捨てて独りになりたくなった気持ち、よくわかる。自分も若い頃、似たような経験はしているから。アンさんのような大事な人、美晴という親友、守ってくれる人がキナコにいて良かった。アンさんは残念だったけど。村中もいつかキナコにとって大事な人になるだろう。そして、キナコと52(いとし)。二人は同志というか戦友だ。キナコが独りにならなくて良かった。自分にも何かに疲れたら、52ヘルツのクジラの声を聴かせてほしい。

  • ちゃあぼう

    過去に虐待を受け、そこから助け出され以前に祖母が暮らしていた場所へやってきた貴瑚と現在虐待に遭っている愛の暮らしを描いているが二人の虐待を受けている描写が悲惨で、何か救いようのない話を読んでいるようでちょっと憂鬱な気持ちになってしまった。しかし、貴瑚の周りの人たちの手を借り良い方向に進んで物語は終了するので最後はほっとできました。それでも、子供を保護するためには現実には困難なことが多くあることも描かれており、勉強にもなった。助けが必要な人に手を差し伸べられる人にならなくてはいけないなと思える作品でした。

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