禹王と日本人 「治水神」がつなぐ東アジア NHK BOOKS

王敏

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784140912263
ISBN 10 : 414091226X
フォーマット
出版社
発行年月
2014年12月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
王敏 ,  
追加情報
:
214p;19

内容詳細

日本各地で、暴れ川の岸辺に「禹」の顕彰碑が立っている。中国最初の王朝・夏の創始者がなぜ、日本で祀られてきたのか。禹王は『古事記』の序文に登場して以来、今日まで日本人の生き方に深い影響を与えてきた。千年の時を越えて庶民に親しまれる君主とは?指導者や詩人たちが尊崇してきた理想の統治者とは?日中の古典、伝承、美術からその人物像を多面的に描き出し、両国に共通する「教養のデータベース」の存在を指摘して漢字がつなぐ文化圏の実相を甦らせる挑戦的な試み。

目次 : 序章 「治水神」の渡来/ 第1章 禹王はいかにして日本の神となったか(日本の禹王との出会い/ 日本に現存する関連文物/ 禹王とは何者か/ 禹王はいかにして日本へ伝わったか)/ 第2章 なぜ、京都御所の襖絵に禹王が描かれたのか(日本の大禹戒酒防微図/ 天子と禹王/ 年号「平成」と天皇/ 『帝鑑図説』との関係/ 襖絵が描かれた背景)/ 第3章 なぜ、九尾狐は禹王にとりついたか(禹王のロマンス/ 東夷としての女嬌/ 九尾狐から玉藻前へ/ 禹王碑と「玉藻」あるいは「狐」との隣接)/ 第4章 どのように禹王は現代に生きているか(禹王に由来する日本語/ 空海が唐に求めたもの/ 禹王信仰の新しい効果/ 引き継がれる禹王)/ 終章 東アジアで共有される禹王

【著者紹介】
王敏 : 中国河北省生まれ。大連外国語大学卒、四川外国語学院大学院修了。国費留学生として宮城教育大学で学ぶ。2000年にお茶の水女子大学で人文博士号を取得。現在、法政大学教授。専攻は日中比較文化、国際日本学、東アジアの文化関係、宮沢賢治研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 志村真幸 さん

     著者は日中比較文化を専門とする研究者。  本書は、古代中国の治水の神として崇められる禹王が、日本でも信仰の対象となってきたことを明らかにしたもの。江戸期に酒匂川の堤がつくられた際に祀られた例や、20世紀の後半になっても各地で碑が設けられた例がとりあげられる。びっくりするほど数が多く、いかに日本人が治水に苦労してきたかがよくわかる。  さらに中国には禹王の子孫がいること、台湾や朝鮮半島では少し形を変えて信仰されていることも語られており、興味深い。

  • takao さん

    日本にもある禹王碑。古事記・日本書紀にも記載あり。

  • さとうしん さん

    日本と中国、そして分量としては少ないが朝鮮半島における禹王伝説の受容史。禹が活躍したとされる「夏」代の話になると途端に話が怪しくなるのは仕方ないのか……

  • 霹靂火 雷公 さん

    「治水」で高名な聖君・禹については知っていたが、日本において「治水神」として各地で祀られ、果ては九尾狐との繋がりもあったことに驚かされた。最後にチラッと宮沢賢治の名が出るが、(見落としたのか)唐突過ぎて消化不良。ちくま文庫『宮沢賢治全集 4』が挙げられているので、そちらも目を通したい。

  • けつ さん

    禹王に関する日本の遺跡が建立された時期が江戸期以降に集中している点、日本人の教養がいかに形作られたかを考えるうえで興味深い。また、禹王が中国では聖王、聖人といわば万能の神とされているのに対し、日本では治水の神にされている点も改造好きな日本人の特質を示したものとして興味深い。

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