定本 昔話と日本人の心 岩波現代文庫

河合隼雄

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784006003494
ISBN 10 : 4006003498
フォーマット
出版社
発行年月
2017年04月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
432p;15

内容詳細

「浦島太郎」「鶴女房」など日本人に古くから親しまれてきた昔話には、西洋近代流の自我の意識とは異なる日本人独特の意識が現われている!心理療法家河合隼雄が「女性の意識」に着目し、日本昔話を世界の民話や伝説と比較しながら読み解く。日本人の精神構造を昔話から解明した著者の代表作に、著者自身による解題「序説 国際化の時代と日本人の心」を収録し、定本とした決定版。

目次 : 第1章 見るなの座敷/ 第2章 飯くわぬ女/ 第3章 鬼が笑う/ 第4章 姉の死/ 第5章 二つの女性像/ 第6章 異類の女性/ 第7章 耐える女性/ 第8章 老翁と美女/ 第9章 意志する女性

【著者紹介】
河合隼雄 : 1928年兵庫県生まれ。京都大学理学部卒業。1962年よりユング研究所に留学、ユング派分析家の資格取得。京都大学教授、国際日本文化研究センター所長、文化庁長官を歴任。2007年7月逝去

河合俊雄 : 1957年奈良県生まれ。京都大学教育学研究科博士課程中退。チューリッヒ大学(Ph.D.)。ユング派分析家資格取得。現在、京都大学こころの未来研究センター教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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@昔話は人間の心の深層構造を物語るものだ...

投稿日:2021/07/19 (月)

@昔話は人間の心の深層構造を物語るものだとして、河合隼雄氏は日本人の心の在り方、生き方を探るべく、日本の昔話を全体で24の昔話の内20の日本の昔話を取り上げ、ユング派分析家としての分析を臨床経験を踏まえ行った。A昔話では登場人物は老人、父、母、継母、男、女、息子、娘、姉、妹、鬼、生き物、殿様、王様などが出てくるが、一つの話の中での登場人物はそれぞれ最大でも5〜6人程度で、この中で母11回、娘10回、父9回、息子7回、生き物6回の順で登場が多くなっている。それぞれ父-息子、娘、母-息子、娘の関係を中心に姉、妹、弟等のきょうだいの関係等と生き物のことも含めて、日本人の自我の構築過程を辿って行っている様である。B日本人の自我は女性像での表現がふさわしいと言っているが、「女性像」に注目することで、昔話の分析の中で日本人の心の在り方、生き方について分析し、結論つけたということだと思う。必然的に女性の登場回数が多くなっている。 C西洋との比較の中での日本人の自我へのアプローチは昔話だけではなく、キリスト教文化と日本神話との比較も含めて宗教的な背景やギリシャ神話と日本の神話の違いに由来する、それぞれの文化的、精神的な構造について歴史的な視点も含めて行われており、古事記や日本書紀やギリシャ神話についての改めての知識欲も掻き立てられた。元々河合氏がユングの分析派の資格取得の論文テーマとしていたのが日本神話であり、その流れからの昔話分析と思われます。その後「日本神話と日本人の心」の書籍が出版されています。D更にこれまでも河合氏は先に「母性社会日本の病理」「中空構造日本の深層」も出版しており、それらもベースに発展させた内容として、西洋の父権意識による自我の確立過程に対する日本における母権意識をベースとした自我の脆弱さを指摘しながらも、女性の意識は可変性なり老人・少年・男・女の意識を重層的に備えており、多様化する世界に向けては日本の方が対応力があるとも言っている。E日本人の自我の確立が曖昧で、中空的だとの指摘の背景に母性が支えてきた包容力、受容性があるとすれば、そのことが忍耐することと共に多様に対応していく力として新たに今後に向けて転用していける全体性というものを持ち備えているということを示唆されている様にも感じられる。F自我の成立過程を考えた時の補償の概念からは、逆に補償作用がなければ成立もできないということの裏返しでもある。

brian さん | 滋賀県 | 不明

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人物・団体紹介

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河合隼雄

1928年‐2007年。臨床心理学者。京都大学名誉教授。京都大学教育学博士。2002年1月から2007年1月まで文化庁長官。国際箱庭療法学会や日本臨床心理士会の設立等、国内外におけるユング分析心理学の理解と実践に貢献。『昔話と日本人の心』で大佛次郎賞、『明恵 夢を生きる』で新潮学芸賞受賞。1995年

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