ヴァイマル憲法とヒトラー 戦後民主主義からファシズムへ 岩波現代文庫

池田浩士

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784006004569
ISBN 10 : 4006004567
フォーマット
出版社
発行年月
2022年11月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
370p;15

内容詳細

第一次世界大戦後の戦後民主主義を体現するヴァイマル憲法の下で、ヒトラーは合法的に政権を獲得した。社会民主党と対立したローザ・ルクセンブルクらの虐殺、憲法の緊急事態条項による民主政治の機能不全などヴァイマル共和国の「影」の部分を冷静に描くとともに、ドイツの人びとを魅了したナチズムの本質を抉り出す。戦争への反省が失われつつあることを問う「後章」を新たに収録。

目次 : 1 もう一つの戦後民主主義とドイツのファシズム(一九三三年一月三〇日―ヒトラー内閣の誕生/ ナチスは合法的に国家権力を掌握した/ 革命運動としてのナチズム)/ 2 ドイツの敗戦、もっとも民主的な憲法(ドイツ革命からヴァイマル共和国へ/ ヴァイマル憲法と最初の戦後民主主義/ 匕首伝説の説得力)/ 3 戦争する国をボランティアが担う(国民はなぜナチズムを支持したのか?/ 自発性と社会参加―善意とやる気の組織化/ 「労働奉仕」の法制化と義務化)/ 4 死と政治(ヒトラー政権はまず最初に誰を抹殺したか?/ 国家儀礼から戦争国家へ―ファシズム政治の大道/ ボランティア労働からホロコーストまで)/ 5 遙かな国の遠い昔ではなく(ナチス・ドイツと歴史認識/ 二つの憲法、二つの戦後民主主義/ 「戦争のできる国」から「戦争する国」へ)/ 後章 憲法とヒトラーの一世紀後に

【著者紹介】
池田浩士 : 1940年生まれ。慶応義塾大学大学院博士課程修了。1968‐2004年京都大学、2004‐13年京都精華大学に在職。専攻は現代文明論、ドイツ文学、ファシズム文化研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • skunk_c さん

    ドイツ文学者の著。ヒトラーがいかなる手段で独裁的権力を得ていったかという事実なら、本書以外にも色々あるが、その時代の「空気」、さらにはヴァイマル憲法の先進性と限界についての記述が本書の価値だと思う。また、文学、演劇、映画、絵画などの芸術がナチスの政策、あるいは現代的な視点を得る補助として多く紹介されているのも興味深かった。著者の立場はある意味懐かしい雰囲気も漂っていて、「老いても黙っちゃいないぞ」と、考え、行動することの重要性を説く。1989年以降急速に減ったこの雰囲気をやんわりとだが醸し出す著作は久々。

  • ケイトKATE さん

    歴史上、民主的な憲法であったヴァイマル憲法がヒトラーを生み出したのか。原因は、大統領緊急命令条項という政治的混乱を収束させるための条項がヴァイマル憲法に存在していたからである。大統領緊急命令条項は民主主義憲法を代表するヴァイマル憲法が、民主主義国家として機能を失う欠点を持っていたからである。この本が発表されたのは2015年である。民主主義からファシズムが誕生することを詳しく解説しているだけでなく、右翼的(カルト)な日本の政治への危機感から書かれていることが読んで分かる。

  • nagoyan さん

    優。ヴァイマル憲法という当時最も民主的な憲法を有したドイツにどうしてヒトラーナチスが誕生したのかを問う。一つにはヴァイマル共和国を作った社民党らヴァイマル連合の「非民主」的な政治姿勢(スパルタクス団やレーテ共和国を排斥)。一つには社民党、共産党の相互の根強い相互不信と反目。また、ナチスの政治運動の文化大革命的な「人民」的平等主義と変革への期待。しかし、最大の原因は、ドイツ国民の人権、憲法体制の価値への無自覚にあったと説く。著者の主張には主観的・一方的な価値判断が目立つものの、心にとめておくべき点もあろう。

  • へけぇ!!! さん

    前半にはナチドイツが戦後民主主義において如何に合法的に政権についたか、後半にはその経験を踏まえてドイツはどう歩んだか、そしてそのドイツと多くの共通点を持つ我々はどう生きるべきなのか、についてかかれている。党派によって、その後半への評価はまちまちだとは思うが、読むべきに値する本なのではないなのだろうか(少なくとも前半部分は必見)。

  • Tomozuki Kibe さん

    「歴史を学ぶ」よりも「歴史で学ぶ」といった書。民主主義の衰えの危険性を、ナチズムとヴァイマル憲法の関係性から指摘する、という著者の意気込みを感じる。ただ、一応歴史学を学んだ人間から言うと、資料から結論を出すのではなく結論に応じて資料を集めている感はぬぐえない。例えば「ナチス時代は犯罪が少ないというが死刑数は増えている」「よってナチス下ではみな死刑にならないように本音を隠して生きていた」と論じるが、これは「死刑を増やせば犯罪は減る」という結論に持っていかれかねない。著者の目指す主張は賛成なのでそこは残念。

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