わたしは英国王に給仕した 池澤夏樹=個人編集 世界文学全集3

池澤夏樹

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784309709659
ISBN 10 : 4309709656
フォーマット
出版社
発行年月
2010年07月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
20

内容詳細

中欧文学巨匠の奇想天外な語りが炸裂する、滑稽でシュールな大傑作。給仕人から百万長者に出世した主人公の波瀾の人生を、ナチス占領から共産主義へと移行するチェコを舞台に描く。

【著者紹介】
ボフミル・フラバル : 1914年、ブルノ(現チェコ共和国)生まれ。幼少期をヌィンブルクのビール醸造所で過ごす。プラハの大学で法律を学び、博士号を取得するも、法律の道には進まず、駅員、訪問販売員、劇場の裏方など様々な職を転々とする。1963年、短編集『水底の小さな真珠』でデビューし、一躍、チェコの代表的な作家となる。1997年死去

阿部賢一 : 1972年、東京生まれ。東京外国語大学卒業、カレル大学、パリ第4大学に学ぶ。現在、立教大学文学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 遥かなる想い さん

    チェコの作家ボフミル・フラバルのよる ひどく残酷で シュールな物語である。 給仕ヤン・ジーチェの視点を通して、 東欧チェコの風景が読者に届けられる ..ドイツ人リーザとの関係も 第二次世界大戦時のチェコの人々のドイツへの 微妙な感情が読者に伝わる.. 信じられないことが現実に起こることを 見続けた「給仕」の 視点は戦争の闇を軽やかに描写し続ける、 風刺の効いた 物語だった。

  • ケイ さん

    フラバルはチェコの有名な作家だが、私は知らずにタイトルからノンフィクション的な話かと思って読み進めていて…、おかしいと気付いたのは半ば頃。そこで作家について調べてから後半を読んだ。書かれたのは1971年。プラハの春の3年後。1989年になるまで書いても出版されなかったために、読者は彼の友人だけだったそうだ。その上で読むと、強烈な社会風刺を笑いの中にもぐりこませ、悲劇や惨劇を冗談のように描きあげる作風に、凍り付くような思いがした。抑圧下で書いた作品が出版されるのを、彼がほぼ見届けることができてかったと思う。

  • 藤月はな(灯れ松明の火) さん

    生真面目なちっちゃなチェコ人による法螺話のような体験談。描写もお洒落で可愛いのに物悲しさが漂うのは人間の本質余りにも変わらないからか。映画『100歳の華麗なる冒険』や『グランド・ブダペスト・ホテル』のように階級差別・人種差別・ナチスによるチェコ人虐殺などのヨーロッパ文化が内包していた一種の暴力性によって衰退を迎えていたヘヴィーな状況下を持てる能力で流し流されで生き抜いて行くので唖然としながらクスクス笑いと苦さで困惑する。そして村上春樹作品のように女性にモテモテですぐ、懇ろになっちゃう所はやや、呆れもし。

  • 扉のこちら側 さん

    2016年83冊め。【113/G1000】チェコの片田舎出身の若者が百万長者になる夢を掲げ、給仕見習いから一流ホテル、ナチスの施設の給仕を勤め、戦後は百万長者になってホテルを手にするが政治体制が変わってしまい…という話。タイトルは『頭はもはや見つからなかった』の方がインパクトあるけれど、この章は悲劇的すぎる最後だからやっぱり『英国王』で。「信じられないことが現実となった」話の連作で、千一夜物語風に続く話。第二次大戦下におけるズデーテン地方の情勢は後で調べよう。

  • Shintaro さん

    面白かったです。何も見なかったし、耳にしなかったことにする給仕。しかしあらゆるものや秘密も見ている。そのようなエピソードをモデルのヤン・ジーチェを通じて読者は見聞きする。給仕の大河小説であるとともに、あるチェコ国民としての歴史を追体験します。オーストリア=ハンガリー帝国で生まれ、ナチス・ドイツに占領され、抵抗あるいは協力する。あらゆる職を経験したフラバルならではのエピソードは、あたかも自伝的小説であるかのようなリアリズムも感じさせる。終盤筆致が変わっていき、人生とは、運命とは何かという問いが提示される。

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