侘び然び幽玄のこころ 西洋哲学を超える上位意識

森神逍遥

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784434201424
ISBN 10 : 4434201425
フォーマット
出版社
発行年月
2015年01月
日本
追加情報
:
301p;20

内容詳細

究極の日本精神文化論
あなたは「侘び然(寂)び」について、説明できますか! ?
〈目次より抜粋〉
序 章 「わびさび」が説明できない
第1章 日本人を決定付けた梅雨
第2章 陰の幽玄/透き通る陽性の幽玄
第3章 「わびさび」の語源
第4章 陽性の「侘び」との出会い/デカルト・懐疑法より上位としての「侘び」/ カント純粋理性批判の所与ア・プリオリの未熟
第5章 再定義/美意識の結晶
第6章 中観と唯識/「侘び茶」の矛盾
第7章 鈴木大拙の孤絶/孤絶観と悟り
第8章 茶の始祖一休/一休の迷い
第9章 全てのものは枯れゆくもの/西洋的心理構造では悟れない
第10 章 侘びと悟り/人生の意味を問う/風情/侘び然びの完成
真実の歴史は、下層の民衆たちによって創られてきたことを人びとは忘れてしまっている。
曽てこんな「わびさび幽玄」本はなかった。
侘び然びをこうも明瞭に解説し得たものは他にはない。画期的な内容ということが出来る。
従来の学説を覆し、本物の侘び然び幽玄を語っている。
風は限りなく風らしく、光は限りなく光らしく、大地は限りなく大地らしく土の薫りを醸し出す。
その人生を癒やす為に日本人の魂に根付いてきた「侘び」観。
人々の苦悩を呑み込み、悲しみを和らいで日本人の精神性と人格とを高めてきた。
日本人の歴史そのものとしての侘びは、天皇から民衆までも隔たりなく同位に包んで現代に伝えられてきた。
禅の哲学を取り込み、無一物への志向を強めながら、人々の超越する想いを表象してきた。
日本史2670年の底辺に生きた民衆の悲しみとその忍耐性、そして1000年に及ぶエリートたちの然(寂)びとを追究する知的ロマンの旅である。 果たしてデカルトやカントにも勝る程の哲学性が有されているのか、その侘びの源流にも触れていく。
日本人の精神の支柱と言われながら、日本人の大半がその説明が出来ないという恥ずべき現実と「侘び然び」の不可解さ。
このままではこの国から絶滅危惧種化しそうな勢いで、忘れ去られようとしている。
いま、ここで立ち止まり、日本民族としての精神について、真正面から問いかけてくる斯書に読者は腕組みをして、真剣に思索への道を歩み出すだろう。 これは日本人としてのアイデンティティを確立する為の必須の知識である!

総合評価

★
★
★
★
★

5.0

★
★
★
★
★
 
4
★
★
★
★
☆
 
0
★
★
★
☆
☆
 
0
★
★
☆
☆
☆
 
0
★
☆
☆
☆
☆
 
0
★
★
★
★
★
美しく、印象的な本。  『わびさびを読...

投稿日:2015/02/04 (水)

美しく、印象的な本。  『わびさびを読み解く』を著した米国人編集者のレナード・コーレンが、 かつて自身の日本体験を通して、最早日本には「わびさび」を理解できる人間がいなくなっているのではないかと失望したという。  彼は次のように指摘している。  大抵の日本人が「わびさび」について問われても口ごもり、説明できない、  その「最大の理由は、たいての日本人が一度も知的な言葉でわびさびについて学んだことがないからである。  というのもそれを教える先生も書物もないのである。」  しかし、この書物こそ、日本人に「侘び然び」を教えてくれる書物だと言えよう。  コーレンの目の前にこの本を示したいくらいだ。  ひとつの学説や日本の伝統美を語るに終わるのではなく、 血の通った、大地の香が立つような生き様としての「侘び然び」を語っている。  著者は読み物としても読者を楽しませてくれるように配慮して書いたとあるが、本当にそうだ。  胸の奥が疼くような何とも言えない懐かしい思いにかられる。 日本人のDNAというものだろうか。  素晴らしい本だ! 

jiaoao さん | 東京都 | 不明

0
★
★
★
★
★
序盤は、懐かしい日本の風景が目に浮かんで...

投稿日:2015/02/04 (水)

序盤は、懐かしい日本の風景が目に浮かんできた。侘び寂び(本書には「然び」と述べられている)幽玄は特権階級の者だけのものでなく、むしろ庶民の中にこそ、大地に根付いた者しか分からないものだというところがとても興味を引いた。侘び寂びの色々な文献を目にしたが、この本は独自の視点で述べられており、ある種実践的な記述が随所に見られ、説得力もある。今まで誰もしたことのない(と思われる)竜安寺に侘びがあるかということの著者の意見は痛烈、痛快である。わびさびの違いが明確に述べられているのも、初めてなのではないだろうか。これが本流なれば、自分自身を誇れるものとなるだろう。一読を薦める。

1kanara さん | 所在地 | 不明

0
★
★
★
★
★
今まで、侘び然び(寂び)は日本固有の美意...

投稿日:2015/02/02 (月)

今まで、侘び然び(寂び)は日本固有の美意識・文化だからと片づけらていたから、考察が深まらなったのだろうか。 茶の湯のページのわびさび解説を読んで、ふと思った。 この本にあるように、ミレーの「落ち穂拾い」は寡婦たちの悲し気な生活、寂しさ、惨めさを表現している。この寡婦たちは農園主でも小作人でもなく、二宮金次郎さんのように落ち穂を拾って生をつないでいる人たちだ。拾った落ち穂を入れるかごすら描かれていない。確かに侘びていると思う。 侘び然び(寂び)は、様式、形式を示す日本固有の美意識・文化ではない。 もっと広く人ひとの精神性を示す文化なのだろう。

恕丙 さん | 東京都 | 不明

1

読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

powered by

  • 小木ハム さん

    美意識の凋落、鈍感化している日本人への警鐘。というかゴィンゴィン鳴らしまくっていて耳が痛い。禅と同じく体験的に得るものであり、アクセサリー感覚で語られる事へ苦言を呈している。質素清貧、閑寂枯淡の美。地に足つけた百姓の諦観。基本的に陰性だがジメジメしておらず乾燥していて聖なる気を醸し出す。興味深く読んだけど『甘いものを好む人は自分にも甘い』など断定的な言葉も多く手厳しい。農村の生まれ故か恵まれた環境で育った世代へのルサンチマンを感じる筆致。これも何とか固有哲学を風化させたくない気持ちの顕れでしょう。

  • フタ さん

    確かに西洋の古城とかもわびさび感あるねえ( 'ω')感性を豊かにしていきたいなあ

  • 桂離宮 さん

    10代の頃から水墨画、桂離宮に魅せられ、高校時代は「わびさび」への憧れから親に頼んで茶道のお稽古に通わせてもらっていました。もしかすると、自分は「わびさび」通かもしれないと思っていましたが、この本を読んで、そんな自分がものすごく恥ずかしくなりました。「わび」がこんなに深いものだとは思ってもみなかったです。老子の言葉、芭蕉の歌、備中国高松城主・清水宗治の辞世の句、ミレーの絵、限りなく美しい自然描写。著者の透徹した澄み切った確かな審美眼を通して、本物に触れたように感じました。これは読書の醍醐味です。

  • えんど さん

    わびさびはなんとなくも知ってなかったも知れないという知識レベルで本書を読んみましたが、とても深い。この深さを体現できてる人はいるか?!ってレベルでわびさびは深いですね。とても面白かったです。著者の毒気ある文章も終盤になるにかけて深み、憂いを感じてよかっです

  • Y さん

    侘び然び幽玄は西欧にも存在するというのは驚き。でも確かにミレーの落ち穂拾いは侘びだし、然びているヨーロッパの田舎町もある。侘びは肯定的な受け入れるような諦めに似た超絶感、然びは内から滲み出るもの、幽玄はそれらを包み込んだもの。

レビューをもっと見る

(外部サイト)に移動します

人物・団体紹介

人物・団体ページへ

森神逍遥

福岡生まれ。文筆家。思想家。実業家。中・高とミッションスクールに通い、キリスト教教育を通して西洋思想に親しむ。高校卒業後、しばらく精神の放浪にて見聞を広めた後、立正大学仏教学部入学。昭和54年度卒。卒論は『龍樹研究』で空観に於ける異蘊の解明を論じた。業界紙記者などを経て現在に到る(本データはこの書籍

プロフィール詳細へ

文芸 に関連する商品情報

おすすめの商品