【中古:盤質A】 & Jazz

実姉である、森田葉月と共に、ライヴ盤という形でリリースしたアルバム『Jazz Cover』はADLIB誌 AWARDS 2006 国内ニュー・スター賞を獲得。姉は一足早く2007年に、リーダー作をリリースしましたが、妹である森川七月がソロ・デビュー作を発表。歌声は既に前述のライヴ・アルバムで披露済みですが、改めてその声質の良さに引き込まれます。現在22歳という年齢とは思えない、心地良い中低域で少しだけハスキーな声質のもと、堂々とした歌唱は、まさに大人のシンガーとしての香り、魅力を放っています。安定した歌唱と共に、シンガーとして必要な要素である表現力、説得力も感じられます。

オープニングで、ベース一本だけをバックに歌い始める＜Lullaby Of Birdland＞を始め、ノスタルジックなスイング感満載な＜All Of Me＞、＜It’s A Sin To Tell A Lie＞、＜Lover Come Back To Me＞、＜Stardust＞など、前半は往年の女性ジャズ・ヴォーカリストが歌い継いで来たスタンダードを伝統的な4ビート・アコースティックで聴かせます。多くの女性シンガーが魅了したラテン・アプローチな＜Love Me Or Leave Me＞を挟んでいるのもこだわりとリスペクトからでしょうか。

後半ではマイケル・フランクス、キャロル・キング、エルトン・ジョン、カーペンターズといったSSW達の名曲を独自のアプローチにて表現。ここでは、現代的なフィーリングも取り込み、ジャジーなポップス的要素もあり、幅広い層にアピールできる視点も持ち合わせています。

「歌」への愛情を、ジャズというバックグラウンドをしっかりと通り、なおかつ良いメロディーを保守感や先入観なく自分のものとして「自然」に表現した作品と言えます。