ほんとうの花を見せにきた

桜庭一樹

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784163901275
ISBN 10 : 4163901272
フォーマット
出版社
発行年月
2014年09月
日本
追加情報
:
308p;20

内容詳細

植物性吸血鬼バンブーとの許されぬ友情物語

竹から生まれた吸血種族バンブー。固い掟で自縛し、ひっそりと暮らすバンブーが、ある日、人間の孤児を拾った。禁じられた絆の物語。

【著者紹介】
桜庭一樹 : 1999年「夜空に、満天の星」(『AD2015隔離都市ロンリネス・ガーディアン』と改題)で第1回ファミ通エンタテインメント大賞に佳作入選。2003年開始の(GOSICK)シリーズや、翌04年刊行の『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』で多くの読者を獲得する。06年刊行の『赤朽葉家の伝説』で第60回日本推理作家協会賞を、08年『私の男』で第138回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 風眠 さん

    よろこびと哀しみを知り、命の火を燃やして燃え尽きるまで生きる、それが人間なんだな。いつか必ず終わるから大切で、成長し歳をとるからこそ愛しい命。死の淵にあった少年を助けた、竹から生まれた吸血鬼バンブー。少年が子どもから老人になるまでのバンブーとの心の繋がり、その時の流れの描き方が、たまらく切なくて、とてつもなく美しい。老人になった少年が「ムスタァ、ぼくのバンブー!」と子どもに還るラストシーンに泣いた。バンブーにまつわる連作小説集だけれど、ひとつの大河小説のようなスケールの大きさに酔いしれた。装幀も美しい。

  • 優愛 さん

    吸血鬼が育てた人間でさえこんなに優しく立派に生きていけるなら、現実は相当汚れてしまった。だってそうでしょう?溢れんばかりの残酷なニュースが毎日流れている。殺されてもいい命なんかない、そんな風には私はきっと一生思えない。奪われた命に値するのはやっぱり命だもの。僕を愛してくれた洋治の命を奪ってしまった。最後には洋治を犠牲にしてまで守ったはずのムスタァ、あなたまで行ってしまうんだ。だけどね、火は永遠に受け継がれていく。善良で邪悪な命へと。明日も明後日もその灯火が、二人の愛で育った僕の迎える最期が見えるように。

  • めろんラブ  さん

    嗚咽が漏れる読書体験は久しぶりでした。今年の最涙作品です。本書は桜庭さんお家芸のゴシック小説。おどろおどろしくグロテスクな世界で生きる者たちの生き様が、これ以上ないほどピュアで涙。今を生きる少年少女への、”生き残れ、そして存分に生き抜け”という渾身のメッセージに涙。悠久の血脈と異種への希求にまた涙・・・。時代や世界というものにはあらかじめ不条理がインプットされているけれど、それでも生きていくことを投げ出さなかった、だからこそ私たちは此処に在るのでしょう。この自明が、今とても愛おしく思えます。

  • starbro さん

    個人的には嫌いじゃないけど、あまり一般受けして売れる気は全くしません。人間の寿命の約1.5倍で植物系ヴァンパイアてどうなんでしょうか?

  • kishikan さん

    桜庭さん3冊目の読了本。強烈な印象はないけど、オカルトファンタジーというか、青少年の心の揺れや友情とか愛情を描きながら、成長していく物語だったという記憶がある。この作品も吸血鬼バンブー(竹族)という妖怪?と少年との暮らしを通し、少年の成長を描いた「ちいさな焦げた顔」、少年の死後の話「ほんとうの花を・・・」、そして竹族が日本にやってきた起源の物語「あなたが未来の・・・」の3編で構成されている。ムスタァという名のバンブーと少年との友情・愛情、少年の成長と心の揺れそして別れ、少し怖くてでも美しくて儚く、哀しい。

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