基本情報
内容詳細
第2回(1964年) 野間児童文芸賞 受賞
1964年に第1巻が発売されてから第6巻で完結するまで、ほぼ30年を要した「モモちゃんとアカネちゃんの本」シリーズ。その第1巻となる本書ではモモちゃんが生まれた日から3歳までが描かれる。働きながら懸命に子どもを育てるママの姿には、著者自身の姿が反映されている。
初めてしゃべった日のこと、およめさんのまねをしたこと、みずぼうそうになって注射をうったこと…。日々のエピソードが丹念に積み重ねられ、ひとりの女の子が読者の前にだんだんと浮かび上がってくる。
その何気ないエピソードに独特の味付けがしてあるのが楽しい。モモちゃんが生まれた日「ほんのおいわいのしるし」にカレーを食べてもらおうと、じゃがいもやにんじんが駆けつける場面。ママがミシンで「たったかたあ」と30枚ものパンツを縫う場面。帰りが遅いママのことを怒ったモモちゃんが口をきかずに夜道を歩く場面。身につまされたり、涙ぐんだり、笑ったり…読み手それぞれが一番心をゆさぶられるお気に入りの場面がきっとあるはず。モモちゃんの大事な相棒、黒ネコのプーもこのお話になくてはならない存在。
本書に続く第2巻ではアカネちゃんという妹が生まれ、モモちゃんもお姉さんに。さらに巻がすすむにつれ離婚や死を扱う機会も出てくるが、著者はごまかしたり逃げたりせずに、効果的に比喩を用いながらきちんと語っていく。子どもへの真摯(しんし)な姿勢が感じられる名作。成長にあわせて、読んであげたい。(門倉紫麻)
東京に生まれる。1951年、『貝になった子供』で日本児童文学者協会の第1回児童文学新人賞を受け、以来、『龍の子太郎』(1960年、第1回講談社児童文学新人賞、1962年、国際アンデルセン賞優良賞)、『ちいさいモモちゃん』(1964年、第2回野間児童文芸賞)、『モモちゃんとアカネちゃん』(1975年、第5回赤い鳥文学賞)と数々の賞を受けている。全集に『松谷みよ子の本』全10巻(講談社)がある。
【画家紹介】
1936年、青森に生まれる。武蔵野美術大学西洋画科卒業。児童出版美術家連盟会員。作品に『ちいさいモモちゃん』『モモちゃんとプー』『モモちゃんとアカネちゃん』『ちいさいアカネちゃん』(講談社)『るすばん先生』(ポプラ社)等のさし絵や、絵本『ジャックと豆の木』(小学館)他がある。1982年没。
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はらぺこ さん
読了日:2011/09/01
くぅ さん
読了日:2021/07/21
ベーグルグル (感想、本登録のみ) さん
読了日:2014/09/18
ヒラP@ehon.gohon さん
読了日:2020/06/04
たぬ さん
読了日:2024/10/14
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人物・団体紹介
松谷みよ子
1926年東京生まれ。夫とともに民話採訪を行ううちに「民話」にひそむ民衆の思いに関心を寄せる。「現代民話」の第一人者。日本を代表する児童文学作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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