闇の女たち 消えゆく日本人街娼の記録 新潮文庫

松沢呉一

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784101204567
ISBN 10 : 410120456X
フォーマット
出版社
発行年月
2016年04月
日本
追加情報
:
16

内容詳細

「お兄さん、お兄さん…」暗闇から小さな声が染み出す。路上に立ち客を引く。声の主は街娼である。焼け跡の時代、彼女らは「闇の女」と呼ばれ街に溢れた。だが現在その姿を探すのは難しい。日本各地で長年に亘りこの商売を続ける者たちから聞き取った貴重な肉声。なぜ路上に立ったのか?その実像を描き出す。闇の中で生きる女たち、男たちに光を当てる傑作ノンフィクション。

目次 : 第1部 街娼インタビュー(鴬谷―娘たちを育てるために外に立った/ 神戸―この仕事しとって、男欲しいかあ?/ 上野(一)―私たちの人生はヤクザよりひどいの/ 横須賀―進駐軍がまだいた頃だからね/ 天王寺―食べていくのに精一杯や/ 京都(一)―嫁はんのおる男には惚れんことや/ 京都(二)―どっちみち私はこうなっていたやろけどね/ 渋谷―お客を幸せな気分にさせてあげたい/ 上野(二)―主人からお客を紹介されて/ 広島―男に億は使うどるじゃろ/ 別府―それから私はずっと“雪”です/ 博多(一)―みんな流れてきた人たちね/ 博多(二)―人生、涙あり笑いありよ/ 札幌―泣き寝入りしてたまるか)/ 第2部 日本街娼史(戦前編/ 戦後編)

【著者紹介】
松沢呉一 : 1958(昭和33)年生れ。早稲田大学法学部卒。フリーライター、古本蒐集家。社会問題、政治、宗教など幅広いジャンルで活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 扉のこちら側 さん

    2016年780冊め。前半部の各地の街娼へのインタビューは、それこそ戦後の赤線時代から街角に立つ人たちの声を集めるという目的を見事に達成されている。当然はじめは警戒していても、「聞いてほしい」「わかってほしい」という彼女達の思いは堰を切ったように溢れたのだろう。第二部の日本史における街娼を辿っているが、公娼制度の始まりと言われるのが鎌倉幕府公認の遊女制度であり、「排他的、永続的な婚姻制度が成立するまで、婚姻関係はゆるやかであり、婚姻と売春の間に明確な線を引くことができにくい」(P.430)も頷ける。(続

  • yoshida さん

    長らく積んでましたが読了。第一部は多くの方々のインタビューを収録。第二部は戦前からの歴史。第一部を読んで様々な人生があるなと実感。景気の良い時代を経験していない私としては、そこまで稼げたのも実感がなく。稼いでは豪快に使う方もいれば、ビルを建てたり子供を大学まで出す方もいて様々。危険な事も勿論ある訳で読み応えがある。第二部は言葉の由来等初めて知る。昭和20年代のアンケートではより豊かな生活への憧れも選択の理由にあり、食べていけない為という認識は後世に強調されたものとも感じた。まだまだ知らない事があると実感。

  • gtn さん

    90年代末から2000年代初頭、既に消滅寸前だった街娼、男娼、客引きへのインタビュー集。彼女たちの多くは、自分の生き様を肯定している。諦観していると言い換えてもいい。

  • fwhd8325 さん

    人類最古のビジネスは、かたちを変え、今も残っている。この著書は、少し前の、このビジネスに、文化的な薫りが感じられた頃の記録です。民俗学、社会学と言っても良いものだと思います。もちろん、合法ではないので、嫌悪される面もあるのでしょうが、社会の側面を感じさせるものと思います。闇のという形容詞が似合った時代の記録です。現代はかたちを変えていますが、こうした形容では括れないものだと思います。彼女たちがいた街かども、景色を変えて、あれは幻だったのかなと思います。

  • にゃりか さん

    男娼を含む14のインタビューの一部と、街娼の歴史について簡単にまとめた二部の構成。とても興味深い。稼いだお金は男に貢いだ、使ってしまったというやっぱりな人がいれば、旦那公認で何千万も貯めて自分を騙して逮捕した警察と裁判でやりあったひとまでいる。時折下卑た用語も入るが、俗にいう立ちんぼを考察し記録した良書だと思う。自分の知らない世界はここにも拡がっている。

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松沢呉一

1958(昭和33)年生れ。早稲田大学法学部卒。フリーライター、古本蒐集家。社会問題、政治、宗教など幅広いジャンルで活躍中。性風俗関連の著作は特に多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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