閉じた海 社会派推理レアコレクション

松本清張

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784120057809
ISBN 10 : 4120057801
フォーマット
出版社
発行年月
2024年04月
日本
追加情報
:
320p;20

内容詳細

ジャンルの始祖・清張にとって、「社会派推理」とは何だったのか?

『或る「小倉日記」伝』(1955)で芥川賞を受賞し、『点と線』(1958)でブレイク、『小説帝銀事件』(1959)で現実の事件に取り組み、『日本の黒い霧』(1960)でノンフィクションへ――と、松本清張はデビュー以来、瞬く間に新たな領域を開拓し、のちに「社会派推理の祖」と称された。
1950〜60年代の日本を背景に、本格派/社会派、純文学/エンターテインメント、フィクション/ノンフィクション‥‥といった複数のジャンルの枠を超えて成立した「社会派推理」の実像は、清張没後30年を経てなお、いまだ広く知られていない。
本書では、その「社会派推理」をテーマに、初書籍化となる中篇(表題作)はじめ、これまで単著・全集未収録だった貴重な小説・トーク・エッセイを中心にセレクトした。
本人およびその同時代作家たちによる証言を通して、「社会派推理」が求められた原点、そしてその展開の軌跡と可能性の中心をさぐる。


【目次】
[小説]
閉じた海(1973)
よごれた虹(1962)
雨(1966)

[対談・座談]
私小説と本格小説――対談・平野謙(1962)
推理小説の作者と読者――座談・高木彬光/水沢周(1962)
作家と批評家――対談・権田萬治(1973)

[エッセイ・インタビュー]
広津和郎(1968)
石川達三(1985)
白の謀略(1977)
世界が激動しても、人間は変わらないんだよ――生前最後のインタビュー(1992)

解説・藤井淑禎

【著者紹介】
松本清張 : 1909年、福岡県小倉(現・北九州市)に生まれる。50年、“週刊朝日”主催の“百万人の小説”で「西郷札」が三等に入選。53年「或る『小倉日記』伝」で第28回芥川賞を受賞。55年、短篇「張込み」で推理小説に進出し、56年に作家専業となる。58年に刊行した初の推理長篇『点と線』は大ベストセラーになり、一大推理小説ブームを引き起こす立役者のひとりとなった。70年『昭和史発掘』で第18回菊池寛賞、90年朝日賞受賞。92年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • パトラッシュ さん

    収録の小説3作は未単行本化の理由がわかる。表題作は長編の前半部分のみ発表し、後半が書かれず尻切れトンボに終わった感だ。本来なら会話体になる部分が地の文のままだったり説明記述が多く、書きかけの作品を強引に掲載してしまったのでは。「よごれた虹」と「雨」も短編として成立してはいるが、長編向け素材を無理に短くまとめたようだ。むしろ資料編で「現代文学の行き詰まりを打開する方法としての推理小説」を提唱したり、志賀直哉を「才能がない」と公言するなど刺戟的発言が多い。自分は単純な娯楽小説作家ではないとのプライドがにじむ。

  • やも さん

    中編1話と短編2話+対談集。対談集はごめんなさい、スルーしました!【閉じた海】火災保険会社の社員が海外駐在中に亡くなった。表向きは何事もなく惜しまれて終わった葬儀だったが、違和感を感じた同級生は死の真相を探る。これがまた地道ーーな作業、ちょっと読んでて飽きたぜ。ラストの着地点は、いかにも現実にありそう。【よごれた虹】ある男が講談調で語る不祥事。男の正体は最後に判明。これ面白かった!【雨】昔起きた母親が子供を殺して縊死した事件。あの事件って本当は…。うむ、これも面白かった!

  • 藤月はな(灯れ松明の火) さん

    大手保険会社が新金属の技術特許などの独占に絡む企業人の心理戦を描いた表題作はサスペンス性に富み、やはり、面白い。特に名取の死の一端を知った後に海外出張を命じられてからは何か起こるのではないかと肝を冷やした。ラストは窮鼠、猫を噛むとなったのか。残りの2篇はある種の復讐劇として一貫している。特にミステリーとしても素晴らしいのは「雨」である。動機面・証言などを考慮しても一見、齟齬のない犯罪。奇妙な点は確かにあったにも関わらずである。その真相は連句によって暴かれる様はまさに圧巻。

  • 雪月花 さん

    没後33年を経てもなお色褪せない松本清張氏の社会派推理小説、初書籍化の中篇1作と短篇2作、そして貴重な対談とエッセイを収めた本書は私にとっては永久保存版。表題作の『閉じた海』はこれぞ社会派推理小説の真骨頂。1973年に書かれたのに、まるで古さを感じさせない。『よごれた虹』も『雨』も最後のオチの部分でゾクッとさせる。読了後「ああ、やっぱり松本清張最高!」と呟いていた。対談では、私小説や本格小説に対する考えや推理小説の文学性などが語られ興味深い。他作家の様々な作品が列挙されていて読みたい本が増える一方。

  • 竹園和明 さん

    未発表の中・短編3作品と対談、インタビューを収載したレアな一冊。表題作は損保会社と役所の癒着に殺人事件を絡め、さらには日本と英国の鉄鋼・軽金属の業界を巻き込む大きなうねりを湛えた松本清張らしい作品。損保会社社長のあざとく汚いやり方がかなり詳細で、それを紐解く記者の分析に引き込まれる。「汚れた虹」は地方の相互銀行が朝鮮動乱に絡んだヤミ資金を提供し見返りを得ていた事を告発する手紙文という形式を取ったもの。生々しいマネーロンダリングだ。この2作が今まで発表されなかった理由は何なのか。リアルな裏話が隠れていそうだ

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人物・団体紹介

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松本清張

1909年生まれ。福岡県企救郡板櫃村(現・北九州市小倉北区)出身。1953年「或る『小倉日記』伝」で第28回芥川賞を受賞。1956年、朝日新聞社広告部を退職し、作家生活に入る。1967年吉川英治文学賞、1970年菊池寛賞、1990年朝日賞受賞。1992年逝去。北九州市に「松本清張記念館」がある(本デ

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