慟哭の谷 北海道三毛別・史上最悪のヒグマ襲撃事件 文春文庫

木村盛武

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784167905347
ISBN 10 : 4167905345
フォーマット
出版社
発行年月
2015年04月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
224p;16

内容詳細

1915年12月、北海道苫前村の開拓地に突如現れた巨大なヒグマは、一軒の民家に押し入り、太田マユとその息子・幹雄を惨殺。村人たちは恐怖に震えながらも、ヒグマ退治に乗り出すが、冬眠しそこねて穴持たず≠ニなり凶暴化したヒグマは、悪魔のような知恵を働かせて、村人たちを次々と牙にかけていくーー。
死者8名という世界的にみてもヒグマによる食害事件としては類をみない最悪の惨劇となった「三毛別(さんけべつ)事件」の全貌を、生存者たちへの貴重な証言をもとに描き出す戦慄のノンフィクション。文庫化にあたり、著者の『ヒグマそこが知りたい 理解と予防のための10章』より、著者自身のヒグマとの遭遇事件、さらに福岡大学ワンゲル部の日高山系におけるヒグマ襲撃事件、写真家・星野道夫氏の事件など別のヒグマによる食害事件を検証した二章を特別収録!

【著者紹介】
木村盛武 : 1920年札幌生まれ。1939年小樽水産学校卒業、1941年北海道庁林務講習修了、林務官となり道内2営林局、7営林署4担当区に勤務。苫前村の担当となった際に、三毛別事件の取材を始める。1980年退官。野生動物研究のかたわら、執筆活動に入る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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「三毛別羆害事件」関連の本では吉村昭「羆...

投稿日:2021/04/11 (日)

「三毛別羆害事件」関連の本では吉村昭「羆嵐」が有名であるが、こちらは「羆嵐」のベースとなった本で、今から約100年前に北海道で実際にあった国内最大のヒグマの食害事件「三毛別羆害事件」について、著者が林野庁の技官として現地に赴任した際に関係者から聴きとり調査を行った記録をまとめて出版したものであり、小説では省略されている貴重な検証記録も多いので「羆嵐」と併せて読むとヒグマの生態や事件の検証などもより深く掘り下げてかかれており、「羆嵐をより深く理解することができる。 毎年、ヒグマやツキノワグマにまつわる事故が後を絶たないが、こちらの本を読むと、地球は人間だけのものではなく、他の生物との共存の上に成り立っており、偶発的な事故はあるとしてもヒグマの生息域に不用意に立ち入ってしまった人災的要素もあることを考えさせられる。

I.O.U さん | 北海道 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • パトラッシュ さん

    三毛別のヒグマ襲撃事件は吉村昭の小説でも有名だが、その素材となった林務官の事件研究書は文学的修飾を抜きにした生々しさに満ちている。女子供まで食われ地獄と化した開拓地の悲惨さや通夜の場を襲われた恐怖、遺体を囮にするまで追い詰められる村人の心情まで、現代人には想像するのも難しい。北千島でヒグマに襲われかけた経験の持ち主だけに、描写ひとつにも説得力がある。星野道夫氏の死など近代以降の著名な獣害事件も取り上げ、日本人はクマの隣に住む事実を突きつける。人と動物の共生は可能か考える上で、1世紀前の事件はまさに原点だ。

  • おしゃべりメガネ さん

    ここ最近、自分の中でちょっとしたブーム?になっている「羆」関連の作品です。主に『羆嵐』の原点となるべくして書かれたノンフィクションですが、正直『羆嵐』を読んだあとに、こちらを読んだからか、ちょっとインパクトが薄くなってしまいました。ノンフィクションだから、リアルは当然なのですが、ヒヤヒヤする臨場感や恐怖感を味わうならば、個人的には『羆嵐』を読むほうがズッシリとくるのかなと。それにしても、改めてこちらを読むと北海道は本当に熊に関連する事件が多いんだなと。クマに対する間違った認識も、決して少なくはないですね。

  • モルク さん

    吉村昭さんの「羆嵐」の原点の本である。前半は巨大羆が三毛別の開拓地を襲った事件を生存者の証言などをもとに詳細な事実を語る。「羆嵐」での恐ろしさが再燃する。後半は著者が若い頃遭遇した羆害体験や他の羆害事件について書かれている。この中では、1970年の福岡大ワンゲル部の事件が有名であるが、羆の執着心や復讐心の深さに改めて恐怖を覚える。近年もヒグマに限らずツキノワグマが人を襲う事件が数多くある。山菜取りなど夢中になっているときは特に危険、山に入るときには油断せず十分な注意を!

  • takaC さん

    自分ならヒグマに太刀打ちできるとは全く思えない。襲われたら一巻の終わりだろう。

  • Bugsy Malone さん

    吉村昭さんの『羆嵐』を読みこの本を知る。第一部は三毛別羆事件ドキュメント。絶大な破壊力を持つ羆の凄惨極まる襲撃場面は、『羆嵐』同様、いやそれ以上に只々恐怖し圧倒されるばかりだ。第二部は著者の羆との遭遇体験や他の羆害事件を紹介し、この様な羆害が如何に多く、また何故起きたのかを検証している。三毛別羆事件は決して過去のものでは無く現在でも起こっている。著者はそう言う、そして回避する為には羆の生態を知り、より良い共存を目指す事だとも。

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