禁断の進化史 人類は本当に「賢い」のか NHK出版新書

更科功

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784140886892
ISBN 10 : 4140886897
フォーマット
出版社
発行年月
2022年12月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
更科功 ,  
追加情報
:
251p;18

内容詳細

人類は他の生物より、知能が高く、そのために文明を築き、成功することができた、と思われている。果たしてそうだろうか。生物の繁栄と知能の高さは直結しているのか?なぜ知性だけでなく、意識が進化したのか?脳の大きいネアンデルタール人が滅んだのはなぜか?人気の古生物学者が、人類史最大のミステリーに挑む!

目次 : 第1部 智慧の実はどこにあったのか(存在の偉大な連鎖/ 樹上生活の始まり/ 木の上で知性は育った/ なぜヒトはよく眠るのか/ 直立二足歩行の真実 ほか)/ 第2部 進化にとって意識とは何か(不可解な脳/ 意識を見つける/ デジタルカメラは生きているか/ ヒトと機械の違い/ 進化最大の謎に迫る ほか)

【著者紹介】
更科功 : 1961年、東京都生まれ。東京大学教養学部基礎科学科卒業。民間企業を経て大学に戻り、東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。博士(理学)。専門は分子古生物学。現在、武蔵野美術大学教授、東京大学非常勤講師。『化石の分子生物学―生命進化の謎を解く』(講談社現代新書)で、第29回講談社科学出版賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • tamami さん

    人類進化の歴史を書いた本と言えば、以前は、やれ約700万年前のアフリカにいたサルが、現代のヒトを始めとする霊長類の共通の祖先であるとか、その間には絶滅してしまった多くの仲間がいたり、現代人はネアンデルタール人と共通するDNAを持っている等々、結果のみを総括するような記述が多かったように思う。本書がそれらと一線を画すのは、ヒトを含めた現代の霊長類が、その存在がどうして現在のような場所や状況に置かれるようになったのか、また何故ヒトが取りわけ巨大な脳を獲得するに至ったのか、考古学や人類学、古生物学などはもちろん

  • チャーリブ さん

    本書は、人類の進化の道のりを概説しながらなぜ意識が生まれてきたのかを進化論的に推論しています。人類は地球上でもっとも賢い生き物だと自負していますが、案外そうでもなかったかもしれません。ヒトよりも大きな脳を持っていたネアンデルタール人は滅んでしまいましたが、それは知能でヒトが優位だったのではなく、むしろヒトのほうが劣っていたために「血も涙もない」行動がとれて生き延びたのかもしれません。意識は、人類の専有物ではなく、動植物の一般的特性の1つに過ぎないという「不都合な事実」が将来確定するかもしれませんね。○

  • ホークス さん

    2022年刊。本書の後半は人間の「意識」について、脳の何処にあるのか、どうやって出来たのか、生き残りに役立ったのか、最近の学説を交えて考えている。これほど分かりやすい(それでも難しいが)考察は初めてかも知れない。素朴な疑問に応える事で、進化に対する幻想を打ち消し、新たな好奇心を掻き立てる。「意識」の全てが解明される日はまだ先らしい。前半の人類進化の話も面白い。我々の祖先より前に、直立二足歩行する類人猿がヨーロッパに、しかも数種類いたらしい。彼らがアフリカに渡り、我々の祖先になった可能性もあると言う。

  • 特盛 さん

    評価4/5。前半パートでは二足歩行や火の使用、脳の発達など、人類の進化の歴史の振り返りがなされる。後半パートは主に脳と意識の関係や進化的意味合いが論じられる。後段のパートから面白さが加速した。特に、植物状態でも意識がある可能性や、進化のプロセスおける意識の不都合さについての議論は興味深い。生き物の生存に対する意識の位置づけは、手段として、そして目的として、の二つの意味合いがある。我々の意識は人生の意味を問うたり、死に恐怖したりするが、その行為自体をメタに俯瞰する体験となった。

  • ゆき さん

    チンパンジーと私たちが共通祖先から離れてヒトとして誕生した歴史の「絶滅の人類史」を経て、私たちはどうやって海から陸地へ生息し出したかの身体的構造の「残酷な進化論」の次に、ヒトがヒトたらしめる脳についての進化の経緯を今回の「禁断の進化論」で語っています。知的に進化したから意思が生まれたけど、進化するにあたって自我の意思は必要だったのか?について私も疑問に思いました。もしホモ・サピエンスが地球の頂点に達していなかったらどんな世界だったのか?考えることがおもしろく感じます。

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