学校に入り込むニセ科学 平凡社新書

左巻健男

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784582859256
ISBN 10 : 4582859259
フォーマット
出版社
発行年月
2019年11月
日本
追加情報
:
246p;18

内容詳細

『水からの伝言』、EM菌、ゲーム脳、親学、右脳型と左脳型、白砂糖有害論……。一見科学的な装いをしながら、実際には科学的な根拠はなく、教員や生徒の「善意」を利用して勢力拡大を目論むニセ科学。そのオカルトまがいの言説はいま、学校教育の土台を揺るがすところまで来ている──。ニセ科学の危険性に警鐘を鳴らし続けてきた第一人者が、学校に侵入する怪しげなニセ科学を一刀両断。


《目次》
はじめに

第1章 ニセ科学はなぜ危険か
1 科学を学ぶことの意味
理科を学ぶ重要性/学校は文化の総体を次世代に伝えるところ
2 ニセ科学と教育
ニセ科学にだまされないことも理科教育の目的/戦後教育の出発点
3 ニセ科学と教員
ニセ科学に引っかかりやすいタイプの人/ニセ科学にだまされる教員たち
4 人間ピラミッドに見る感動主義
組体操による事故/組体操事故に対する国の対応

第2章 ニセ科学に危機感を持った『水からの伝言』
1 言葉で水の結晶が変わる?
『水からの伝言』との出会い/「水伝」のでたらめな内容/国会議員や教育者にも浸透する「水伝」/どのように結晶写真を撮ったか?/「水伝」への科学者の対応/教育現場がおかしくなっている/「水伝」授業の例
2 「水伝」を否定的に扱ったテレビ
VOICEの「水伝」ご飯バージョンの実験/ミヤネ屋の「校長が教える仰天科学」/田崎晴明さんの“「水からの伝言」を信じないでください”

第3章 学校や環境活動に忍び込むEM
1 EMとは?
2 EM利用中止を求める署名活動
3 文部科学省の見解は「補助教材」
4 EMの三大危険性
5 EMの授業例
TOSS代表・向山氏のEMの授業例/EMが原発事故に成果ありという指導案も/スーパーサイエンスハイスクールの事例
6 EM信者の校長によるEM使用例
7 比嘉氏のEM神様説を支える科学者
「EMの本質的な効果は縦波重力波」/電波工学の世界的な権威/光の何十桁も速い「念波・天波」/関氏に影響を与えた人々/関氏の宇宙構造論/「太陽の表面は26℃で人が住んでいる」/関氏を信じた比嘉氏、比嘉氏を信じた向山氏

第4章 学校にニセ科学を持ち込んだ右翼教育団体
TOSSの前身「教育技術の法則化運動」/教育技術の法則化運動の理科に注文/向山氏は自分を教祖化していた/教育技術の法則化運動はTOSSに衣替え/TOSSから離れた教員/向山氏は教育系右翼

第5章 脳をめぐるニセ科学
1 脳についての知識
人の大脳皮質の領域マップ/脳波とは?/脳を調べる新しい技術の進展
2 「神経神話」に注意
神話1「私たちは脳の10%しか利用していない」/神話2「右脳型の人と左脳型の人がいる」/神話3「脳に重要なすべては3歳までに決定される」
3 「親学」の「脳科学」はニセ医学・ニセ科学
4 ゲームをやりすぎると「ゲーム脳」になる?
ウソだらけの「ゲーム脳」/TOSSランドのゲーム脳の授業
5 「ヘビの脳 ・ネコの脳 ・ヒトの脳」といじめ
6 「悪いこと」で「脳から毒」?
7 『脳内革命』に影響された授業
8 「脳トレ」は効果があるのか?

第6章 食育をめぐるニセ科学
世界で長寿トップグループの日本/食生活が寿命をのばした!/「粗食」を勧める授業/日本は病気大国、肉食が原因と脅す授業/和食を勧めるために腸の写真で子どもたちを脅す/白砂糖有害論/天然物、無添加食品でもかかえる4つのリスク/「無添加」は安全か?/天然農薬の存在と「奇跡のリンゴ」/根拠のない話で脅かす食育

第7章 子どもたちを原発の旗振り役に──エネルギー・環境教育
福島第一原発事故/回収された小・中学生向け原発副読本/国民の原発アレルギーをなくすための原子力教育/民間でも原子力教育を推進/原子力ポスターコンクールで安全神話を洗脳/TOSS向山洋一氏座長のエネルギー教育全国協議会/TOSSランドにあった原発推進の指導案例

第8章 他にもいろいろニセ科学
現代人が創作した「江戸しぐさ」が「道徳」の教材に/副教材に改ざんグラフを使った文部科学省/オオカミに育てられた少女?/学校で未習の答えだと×/理科入試問題の正答が間違っている/かけ算の順序強制問題

第9章 ニセ科学にだまされないようにするために
ニセ科学は科学への信頼を利用してだます/問題は教育の土台を崩すこと/問われる科学リテラシー/「私たちはだまされるのが普通である」ことを知る/認知バイアスの中でとくに知っておきたい「確証バイアス」とは?/日ごろからニセ科学にだまされないセンスを!

あとがき

著者プロフィール
左巻 健男 (サマキ タケオ) (著/文)
1949年、栃木県生まれ。千葉大学教育学部卒。東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程修了。専門は理科教育。東京大学教育学部附属中学校・高等学校教諭、京都工芸繊維大学教授、同志社女子大学教授、法政大学教授などを歴任。「RikaTan(理科の探検)」編集長。著書に『水はなんにも知らないよ』(ディスカヴァー携書)、『病気になるサプリ』(幻冬舎新書)、『面白くて眠れなくなる理科』『面白くて眠れなくなる化学』(以上、PHP文庫)、『水の常識ウソホント77』『暮らしのなかのニセ科学』(平凡社新書)など多数。

【著者紹介】
左巻健男 : 1949年、栃木県生まれ。千葉大学教育学部卒。東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程修了。専門は理科教育。東京大学教育学部附属中学校・高等学校教諭、京都工芸繊維大学教授、同志社女子大学教授、法政大学教授などを歴任。「RikaTan(理科の探検)」編集長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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「え、本当にそんなこと教育されてるの?」...

投稿日:2021/06/19 (土)

「え、本当にそんなこと教育されてるの?」という偏向した教育が行われている事実に身震いしました。学校現場は閉鎖的で子供にとっては考え方を形成するのに学校の影響は大きいですからね。

watatak さん | 兵庫県 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • absinthe さん

    恐ろし。ニセ科学はこんなにも教育現場を荒らしていたのか。暴かれるニセ科学の実例を読んでいるともうあの『トンデモ本の世界』を思い出す。EM、脳科学、水伝。なんとなく子供の情操のためという言い訳が用意されていてかえって気味が悪い。中には不衛生を奨励するかのようなうっかり信じてしまったでは済まない事例まである。迷信をすっかり排除するのは難しいがかんたんな努力で防げることはありそうだ。

  • ふみあき さん

    懐かしの『水からの伝言』やEM菌など、教育現場に持ち込まれたニセ科学のほとんどがTOSSの悪行だという話。EM菌を開発したのは世界救世教で、それだけでアウトだろう。偽史に基づく「江戸しぐさ」はACジャパンのCMは見たことあるが、道徳の教材で採用されていたとは。文科省は何をやっているのか。脳科学者の澤口俊之は発達障害は後天的な要因によると主張しているらしい。やはりマスコミ学者は眉唾だ。いわゆる「奇跡のリンゴ」も与太話で、無農薬栽培はむしろ毒性を高めることもあるし、添加物は食中毒のリスクを抑えるためには必須。

  • きみたけ さん

    著者は同志社女子大学教授や法政大学教授などを歴任、「RikaTan(理科の探検)」編集長の左巻健男氏。「科学っぽい装いをしている」あるいは「科学のように見える」にもかかわらず科学とは呼べないものを「ニセ科学」と言うが、学校に侵入する怪しげなニセ科学について警鐘を鳴らしています。マイナスイオン、水からの伝言、EM菌、ゲーム脳、親学、右脳型と左脳型、オオカミに育てられた少女など。関係各署の副教材のチェックと先生の科学リテラシーの向上を願います。(日本の大人の科学リテラシーは先進国の中で群を抜いて低いそうです)

  • 修一朗 さん

    水からの伝言とか奇跡のリンゴなどはサイエンスの雰囲気を纏って情感に訴えると道徳の教材にはうってつけなのだろう。情熱的な先生が採用して自発的に教育技術を紹介し合うことで伝播していくのだ。こんな先生は一定数いるのだと思う。教師の素養にも関わることで根が深い。個別団体や個人への攻撃が多くてトンデモ食育への問題提起を期待していたのでちょっと違ってました。あまたあるダイエット法はまぁいいとして,ダイエット法とごっちゃになって錯綜していると思う糖尿病対策/高血糖対策についてもっと糾弾して欲しいな。

  • ☆よいこ さん

    反TOSS(https://land.toss-online.com/ )本。ニセ科学の「科学的でない」部分を指摘し、それを安易に道徳や人権教育の授業に使うことに警鐘を鳴らす。現実学校図書館にはまだ”水伝”や”江戸しぐさ”の本が所蔵ある。何を持って「情報リテラシー」か▽一般には健康系・医療系が問題。がん治癒サプリ/飲料水/ホメオパシー/経費毒/デトックス/ゲルマニウム・チタン・トルマリン製品/神経神話/EM菌/インテリジェントデザイン説など▽だまされない為の科学リテラシーは必要。2019年発行

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左巻健男

東京大学非常勤講師 元法政大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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