基本情報
内容詳細
一九世紀、ヴィクトリア朝を代表する詩人、デザイナーであり、社会主義者でもあったウィリアム・モリス。彼の壁紙や織物のデザインは自然の成長の感覚に満ち、いまも色あせない魅力を放つ。染色やタペストリーの「職人」としても一流だったモリスは、その本業のかたわらで韻文・散文で物語(ロマンス)を多く執筆。晩年にはケルムスコット・プレスで「理想の書物」造りに打ち込んだ。英文学者であり、『ユートピアだより』などモリス作品の代表的な翻訳者でもある著者による、モリスとその時代に関する論考・エッセイを集める。多彩な活動の全貌を追いながら、一見別々な仕事に通底するモリスの思想と仕事の流儀を探り、さらに柳宗悦、宮澤賢治らモリスに影響を受けた日本の芸術家・思想家たちの軌跡をたどる一五章。
目次 : 1 タペストリーの詩人(「この硬い、宝石のような炎で」―モリス/ペイター/ワイルド/ ファンタジー作家としてのウィリアム・モリス―『世界のはての泉』をめぐって/ ウィリアム・モリスと書物芸術/ ウィリアム・モリスとプリンティング/ 「奇妙な二人組」―ウィリアム・モリスとE・B・バックスの協働作業/ タペストリーの詩人)/ 2 日本への波動(大槻憲二とモリス誕生百年祭/ 御木本隆三とラスキン文庫の日々/ 宮澤賢治と羅須地人協会/ 柳宗悦とウィリアム・モリス―我孫子時代とレッド・ハウス時代/ 小野二郎のウィリアム・モリス研究)/ 3 ヴィクトリア朝と現代―アナーキー、そして美(ヴェネツィアの石の重み―ジョン・ラスキン『ゴシックの本質』をめぐって/ ヴィクトリアン・モダニズム―レイチェル・テューコルスキー著『審美眼』を読む/ 「最後のラファエル前派」―フィオーナ・マッカーシーのバーン=ジョーンズ伝を読む/ モリス的ユートピアの諸変奏―フィオーナ・マッカーシー『アナーキーと美』をめぐって)
【著者紹介】
川端康雄 : 1955年生まれ。明治大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。現在、日本女子大学文学部教授、イギリス文学、イギリス文化研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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