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美しい日本の私 講談社現代新書

Kawabata Yasunari

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784061155800
ISBN 10 : 4061155806
Format
Books
Publisher
Release Date
January/1977
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
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Book Meter Reviews

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  • やすらぎ

    今宵の月を見上げれば、昨夜の月を思い出す。照らされている。日々の姿を変えて私たちと同じように。四季折々の美と共に喜び、花愛でることで我を知り、影遠くなり秋の音。静まれば雪が舞う。目を瞑れば夢に覚め、野辺水辺の息吹にまた我を知る。森羅万象、こころとは何処にあるのだろう。あらゆるものを見つめ、ここにはない山水を感じ入る。百輪の花よりも一輪の花を人は求め、蕾のほころびを待ちわびる。感情は雲のように流れ、また雲立ちのぼる。私たちは有明の空に今何を思う。この世に何を見いだす。陽光に月あかりを忘れてしまうことはない。

  • mukimi

    四季を知る日本人特有の「もののあはれ」。豪奢で目まぐるしい刺激溢れる現代を生きる私の心を、美しく無駄のない、しかし血の通った言葉で書かれた筆者の心象風景は癒してくれた。親を亡くし祖父と二人暮らししていた幼少期に1人で山のふもとへ見に行った日の出の記憶、膝下だけ川に浸り河原で昼寝をした記憶、ハワイのホテルで見たガラスのコップの清らかな光、敗戦間近の列車で源氏物語に没入した記憶、どれもなぜだか泣けてくる。「生涯で知られる美は極めて微量だ」という筆者のこの随筆は、間違いなく私の人生で出会う美のひとつになった。

  • nobi

    K.イシグロ、O.パムクに次いでノーベル文学賞受賞講演録3冊目。先の二人と全然違う。これは最早スピーチではない、徒然なる想いを綴っていて耄碌の兆しもあるかも、と一読目は感じた位。ただ読み返す毎にその印象は払拭されて行く。美しさを支える勁さが三十頁足らずのうちに凝縮されている。連歌のように一首の感興に誘われて次首が生じ二首の拡がった世界からさらに次首が生まれるよう。平安から鎌倉そして“私”へと連なる文学の系譜、その華麗さと哀愁は、道元、明恵、西行等に見る死と戦乱に立ち向かう覚悟を伴って美しい日本を象徴する。

  • アキ

    冒頭に鎌倉時代の道元禅師と明恵上人の2首の歌を引いて、日本美術の特質を詩語「雪月花の時最も友を思う」に約められるとする。良寛の辞世の句に芥川龍之介の遺言にある「末期の眼」を見て、自殺について一休禅師のエピソードから禅宗の教えに至る。日本の美を確立した平安時代の和歌集・小説から美の伝統は続き、日本の象徴的な哀愁あるいは東洋の虚無は四季の美から禅に通じたものとしノーベル賞講演を終える。日本の美の真髄を語った。英語版「Japan, the Beautiful, and Myself.」サイデンステッカー訳も載る

  • 佐島楓

    途中で芥川の末期の眼という言葉を引いているが、芥川の考え方、亡くなり方も日本的なるものと認めての引用だったのだろうか。川端自身は否定しているが、その後の川端の人生を思うとなにか考え込んでしまう。

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