溺レる 文春文庫

川上弘美

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784167631024
ISBN 10 : 4167631024
フォーマット
出版社
発行年月
2002年09月
日本
追加情報
:
16cm,204p

商品説明

二人で何本も徳利を空にして、ゆらゆらと並んで歩く暗い夜の情景「さやさや」。ちょっとだめな男とアイヨクにオボレ、どこまでも逃げる旅「溺レる」。もっと深い仲になりたいのに、ぬらくらとすり抜ける男「七面鳥が」。
恋愛の過ぎて行く一瞬を惜しむ、傑作短篇集。女流文学賞・伊藤整文学賞受賞。

内容詳細

二人で何本も徳利を空にして、ゆらゆらと並んで歩く暗い夜の情景―「さやさや」。ちょっとだめな男とアイヨクにオボレ、どこまでも逃げる旅―「溺レる」。もっと深い仲になりたいのに、ぬらくらとすり抜ける男―「七面鳥が」。恋愛の過ぎて行く一瞬を惜しむ、傑作短篇集。女流文学賞・伊藤整文学賞受賞。

【著者紹介】
川上弘美 : 1958(昭和33)年、東京都生まれ。お茶の水女子大学理学部卒業。94年、「神様」で第1回パスカル短篇文学新人賞を受賞。この賞は筒井康隆氏らが中心となって創設され、応募から選考までパソコン通信で行われた。96年、「蛇を踏む」で第115回芥川賞を受賞。99年、『神様』でBunkamuraドゥマゴ文学賞、紫式部文学賞、2000年、『溺レる』で伊藤整文学賞、女流文学賞を受賞。2001年、『センセイの鞄』で谷崎潤一郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • ミカママ さん

    官能的なタイトルに惹かれて手に取ったこちら。作中もカタカナ多用で独特なスタイル。それぞれの短編に出てくる人物たちがどこか頼りなく貧乏くさい。貧乏を貶めるものではない、貧乏くさいのがイヤなのだ。『百年』がよかった。死しても残る相手への想い。わたしもそんなふうに貫けたらな、などと詮ないことを思った。

  • ヴェネツィア さん

    8組の男女が「逃げてゆく」短編集。いずれも飄飄とした奇妙な味わいの物語。いかにも川上弘美の小説という感じだ。そして、どこか淋しく哀しい。フェリーニの『道』に似ているようにも思う。篇中の女たちは、いずれもジェルソミーナみたいだ。なお、「百年」は、漱石の『夢十夜』の第1夜を想起させる。

  • さてさて さん

    つかみ所のない内容が次から次へと読者を襲うその物語世界が読者の想像力を試しているかのようにさえ感じさせるこの作品。しかし、これこそが万人におもねらない川上弘美さんの何よりもの魅力であり、その作品世界に読者も一緒に「溺レる」ことこそ、この作品を読む醍醐味なのかもしれません。言葉の表現の魅力と、印象的なシーンの魅力、そしてつかみ所のない場面設定の中にいきなり放り込まれ、作品に「溺レる」ことが一番の魅力のこの作品。その独特な作品世界に一度はどっぷりとハマってみたい、そう感じさせてくれた不思議感の漂う作品でした。

  • ❁かな❁ さん

    川上弘美さんは平仮名や片仮名の使い方が上手い。「アイヨク」「ミチユキ」名前も片仮名など川上さんのふわふわした独特の空気感に似合う。大人になった今だからこそ、この愛欲に溺れる男女の物語を存分に堪能できた。川上さんの作品らしく、女性は優しくどこか諦めている。私が読んだ川上作品の中では1番艶めかしい。静かなエロスを感じた。お互い想い合ってても心の底で孤独、寂しさを感じている。その穴を埋めるように愛欲に溺れていく。「アイシテルンデス」それだけのことが言えなくて…。女流文学賞・伊藤整文学賞W受賞の大人の恋愛短編集。

  • ケイ さん

    女たちの意図は、男の意思に委ねてしまうこと。男の意のままになるため自らの思考を停止させる。身体も委ねる。自分の頭の中に気づかないふりして、したいことがあるのにぼんやりして、その欲望を男の欲望に変えてみせる。心の中で舌を出しているくせに、自分自身にさえそれを隠し通す。別れさえ相手に委ねる。情を交わす。愛欲に溺れる…。ああいやだ。私は好きな男の横でぼんやりとすごしたりなんかしない。共感できないのに、8つの短編の最後の数行を何度も読み返す。きれいな終わりの文を書く人だ。

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