文人悪食 新潮文庫

嵐山光三郎

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784101419053
ISBN 10 : 4101419051
フォーマット
出版社
発行年月
2000年09月
日本
追加情報
:
16cm,562p

内容詳細

「何か喰いたい」臨終の漱石は訴え、葡萄酒一匙を口に、亡くなった。鴎外はご飯に饅頭を乗せ、煎茶をかけて食べるのが好きだった。鏡花は病的な潔癖症で大根おろしも煮て食べたし、谷崎は鰻や天ぷらなど、こってりした食事を愉しんだ。そして、中也は酒を食らって狂暴になり、誰彼構わず絡んでいた。三十七人の文士の食卓それぞれに物語があり、それは作品そのものと深く結びついている。

目次 : 夏目漱石―ビスケット先生/ 森鴎外―饅頭茶漬/ 幸田露伴―牛タンの塩ゆで/ 正岡子規―自己を攻撃する食欲/ 島崎藤村―萎びた林檎/ 樋口/一葉―ドブ板の町のかすていら/ 泉鏡花―ホオズキ/ 有島武郎―『一房の葡萄』/ 与謝野晶子―一汁一菜地獄/ 永井荷風―最後に吐いた飯つぶ〔ほか〕

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • yoshida さん

    文士の食を知ると作品の関係性が見えてくる。漱石から三島。明治から昭和中期。文士37名の食を通じて作風と生涯を知る。知的好奇心が刺激され私は好みでした。樋口一葉の哀しい貧困、才気と恋心。樋口一葉の章を読んでから「にごりえ」を再読すると、ヒリヒリと心に沁みるだろう。泉鏡花は狂騒であるが、鬼灯と喀血の赤はあまりに美しい。永井荷風の豪快さ。たどり着いた人生の完結に唸る。高村光太郎の詩「梅酒」や、北原白秋の三人の夫人について知れたのも収穫であった。島崎藤村の狂気に絶句。新しい発見や視点を得れる作品。繰返し読みたい。

  • おくちゃん🌸柳緑花紅 さん

    あぁ!!面白かった。一番笑ったのは夏目漱石の最後の言葉「何か喰いたい」!!好物は砂糖まぶしのピーナッツ、私と一緒だ。少食で美食家の川端康成、おお飯食いの種田山頭火、37人の文豪達の食欲(偏食)著者があとがきで文士の嗜好を料理で辿ってみれば、今まで漠然と考えてきた作品の別面がみえる。と、書いている。面白いと思う。それにしても参考文献の多いこと、嵐山光三郎さんありがとうございました。

  • めしいらず さん

    ずっと読まなきゃと思ってるのに、実はそれほどは読んでいなかった近代作家の作品群。「食」をキーワードに作品を読み解き、彼らの実像に迫った大名著。名声にビビっていたのじゃ勿体無い。誰も彼も親近感を覚えるほどに目茶苦茶な人生だ。酒に乱れ女色に溺れ、借金を踏み倒し意地汚く食い散らかす。どんなに酷い境遇や生き方の中からも、そこに詩を感じ、文学へと昇華させた彼らは、やはり生来の作家だろう。病的な潔癖症で大根おろしすら煮て食べた鏡花が面白すぎる。それにしても著者の恐るべき読書量。参考文献だけで700冊超ってどんだけ〜!

  • アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯 さん

    生きることは食べること。明治から昭和にかけて生きた文士たちの食にまつわるエピソード、生い立ちを、その著者や家族の残した文献から紐解いていく。変わった癖を持つ人あり、快楽主義的美食家あり、質素な食事を指向する人あり。食べ物にこだわりがあり、健啖家な人が多いのには驚いた。小説を書くということは体力勝負なのだな。偏執的な泉鏡花や、潔癖症の森鴎外、独特のこだわりを持つ内田百閨A食と生に強烈に執着する正岡子規が面白かった。

  • 奥澤啓 さん

    食から見た近代文学。嵐山氏自身が食と料理に強いこだわりを持つ作家だからこそ、こういう作品を書きうるのだろうが、超人的な読書量がこの作を支えている。深沢七郎のエピソードがいちばんおもしろかった。牛蒡の話が楽しい。日本人は世界でも珍しい牛蒡食民族である。小林秀雄の嫌味なほどの一流好み。池波正太郎の料亭料理嫌い。種田山頭火を評して、「句がなければ、ただのごろつき」は至言である。ああいう破滅型人間が存在しうる時代があったのである。文章が濃密。人間と食、食と文学がどれほど密接なものかを 知るにはうってつけの大傑作!

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人物・団体紹介

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嵐山光三郎

1942年、静岡県生まれ。『素人庖丁記』により講談社エッセイ賞受賞。『芭蕉の誘惑』によりJTB紀行文学大賞受賞。長年の薀蓄の末に到達した芭蕉像を描いた『悪党芭蕉』で、泉鏡花文化賞、読売文学賞をダブル受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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