ピアニストになりたい! 19世紀もうひとつの音楽史

岡田暁生

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784393931837
ISBN 10 : 4393931831
フォーマット
出版社
発行年月
2008年10月
日本
追加情報
:
279p B6

商品説明

ピアニストになりたい! 19世紀 もうひとつの音楽史
岡田暁生著
四六●304頁

◆春秋社創業90周年記念出版◆
クラシック音楽の驚くべき裏面史。
世俗超越の精神性をあれほど重んじた「ロマン派の世紀」は、同時に、「これさえやれば誰でもできる」と謳った膨大な数のマニュアル(バイエル、ハノン、ツェルニー)、大リーグボール養成ギプスばりの手指強化器具、大人数を同時に教えるスパルタ音楽教室などが続々と生まれた時代でもあった。
今日へと続くピアノ教育がどこから生まれ、何を志向し、その過程で芸術がどのように変質していったのか、緻密な文献調査と圧倒的な筆力で描きだす好著。
装幀:中山銀士

目次
第1章 「よい演奏」とは何か……19世紀以前への一瞥
音楽を正しく読む 18世紀の演奏美学
ツェルニーが教える「正しい朗読法」虎の巻
シュナーベルはシューベルトをどう弾くか

第2章 勝ち組になるのは誰?……ピアニストの誕生と演奏美学の変貌
「ピアニスト」はいつ生まれたか
サロンの虚栄と香水 鍵盤のラスティニャックたち
真面目な曲を弾いても儲けにならない?
コンクールの始まり
拍手がもらえればそれでいいのさ ブリリアントに弾く秘訣
演奏の場の解体 香具師としてのヴィルトゥオーソ?

第3章 毎日ドレドレミレミレ……指体操が始まるとき
「これさえやればあなたも出来る!」 マニュアルの誘惑
練習「曲」ではまだ甘い? 指ドリルの誕生
10本の指は平等になるべき? 均質化と強化の思考
オン/オフ操作と均質思考

第4章 指強化器具と人体改造の思想
「上げて下げて、上げて下げて!」 指練習と軍隊教練
ヨハン・ベルンハルト・ロギールという男
指矯正器具狂詩曲
究極の「人体改造」

第5章 聞くも涙、語るも涙の音楽院
公務員供給機関としての音楽学校
ピアノ・レッスン小史
音楽学校の実態?
血と汗と涙の音楽学校ピアノ科

第6章 体操と指ドリルとロマン派と……19世紀音楽の根本原理について
身体訓練史としての19世紀ピアノ教育史
体操の歴史への一瞥
ピアノを弾く少女たち
「分解・反復・強化」という深層構造
精神の解放という夢/悪夢

付論 ピアノはどんな手で弾かれてきたか
ツェルニーやフンメルの時代
モシュレスからリストへ
19世紀アカデミズム
いわゆるハイフィンガー・タッチ?
シュナーベルとフェイの証言
疲労するほど鍛えられる?
世紀転換期におけるアカデミズム批判
ブライトハウプトの自然奏法
ゴドフスキの体験


あとがき
略年表
人名索引

内容詳細

目次 : ■第1章  「よい演奏」とは何か / ■第2章  勝ち組になるのは誰? / ■第3章  毎日ドレドレミレミレ / ■第4章  指強化器具と人体改造の思想 / ■第5章  聞くも涙、語るも涙の音楽院 / ■第6章  体操と指ドリルとロマン派と / ■付論  ピアノはどんな手で弾かれてきたか

【著者紹介】
岡田暁生 : 1960年、京都生まれ。大阪大学文学部博士課程単位取得退学。ミュンヘン大学およびフライブルク大学で音楽学を学ぶ。現在、京都大学人文科学研究所准教授。文学博士。『“バラの騎士”の夢』(春秋社、1997年)でデビューし、『オペラの運命』(中公新書、2001年)でサントリー学芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • こくーん さん

    図書館本。19世紀のロマン派の時期に、ロマンとは真逆な、軍隊のような機械的な練習がもてはやされていた。機械的、というか、事実、様々な練習マシーンが発売され、売れていたのが面白い。笑えるくらい滑稽なもの多数。また、ピアノの練習法が時代の流れに影響されている、という点が詳しく説明されており、興味深い。現代の練習法も今の時流に影響を受けているのか気になる。何が現代の練習法かわからないけど💦最後はピアノ奏法の変遷。脱力奏法に至るまで。リストも脱力してたんだなあ。

  • ほしぎつね さん

    数年前に読んだ本を再読。著者は、19世紀におけるピアノ学習の様子とその特徴を、同時代の社会背景(特に産業革命)と関連させて明らかにしている。数年前に読んだ時も目から鱗だったけれど、再読してもやはり学ぶことは多かった。さらに、今読んだことであとがきの素晴らしさにも気づくことができた。

  • BsBs さん

    ピアニストの端くれとしては様々な示唆に富む本だった。練習曲と教育法に注目した近世近代のてんやわんやが書かれた本。大雑把には、チェルニーがまとめた練習法が不幸にもピアノの構造変化、ピアノブームと重なって世に伝わった結果、現在も禍根を残すさまざまな歪み/悪弊が生み出されてしまったということらしい。ツェルニーはむしろ被害者で、もし存命なら真のヴィルトゥオーゾたちの脱力奏法に理解を示した側だろうというのが著作からもうかがえて面白かった。

  • quabex さん

    「どんな楽器にも増してピアノは、……筋肉強化の技術と密接に結びついている」という考えに基づく「もうひとつの音楽史」。「楽器を弾く」ことが「機械を操る」ことと表裏一体であることに、改めて気づかされる。第4章「指強化器具と人体改造の思想」が圧巻。ここで紹介されている薬指を解放するために薬指と小指をつなぐ腱を切る手術が可能だったのは、能力を拡張するための身体改造に抵抗がない人の存在があってこそだ。本書の次に乾緑郎『機巧のイヴ』を読むことにしたのは、身体改造と、人と機械との融合に関連を感じたからかもしれない。

  • suiu さん

    難しかったよ〜。 専門用語とか全然わからなかった。。。どんな人向けに書いた本なのかしら? 付論はなんとか理解できたので、その流れで近現代の奏法について、と日本での奏法の流行とか書いてくれてたら読みたかったかも。

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岡田暁生

1960年、京都市生まれ。音楽学者。大阪大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。京都大学人文科学研究所教授。『オペラの運命』でサントリー学芸賞、『ピアニストになりたい!』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、『音楽の聴き方』で吉田秀和賞、『音楽の危機』で小林秀雄賞受賞

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