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壱人両名・江戸日本の知られざる二重身分 Nhkブックス

尾脇秀和

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784140912560
ISBN 10 : 4140912561
Format
Books
Publisher
Release Date
April/2019
Japan

Content Description

江戸時代の「身分」は、世襲で、固定されていたといわれる。しかし実際には、自在に身分をまたぐ人々が全国に大勢いた。百姓が、ある時は裃を着て刀を差し、侍となって出仕する―周囲はそうと知りながら咎めず、お上もこれを認めている。なぜそんなことが、広く日本各地で行われていたのか?本書は、名もなき人々の言動を生き生きと再現しながら、「融通を利かせて齟齬を解消する」ことを最優先する江戸時代特有の秩序観を浮かび上がらせていく。近世日本の知られざる実態を巧みに描き出す瞠目の書!

目次 : 序章 二つの名前をもつ男/ 第1章 名前と支配と身分なるもの/ 第2章 存在を公認される壱人両名―身分と職分/ 第3章 一人で二人の百姓たち―村と百姓の両人別/ 第4章 こちらで百姓、あちらで町人―村と町をまたぐ両人別/ 第5章 士と庶を兼ねる者たち―両人別ではない二重身分/ 第6章 それですべてがうまくいく?―作法・習慣としての壱人両名/ 第7章 壊される世界―壱人両名の終焉/ 終章 壱人両名とは何だったのか

【著者紹介】
尾脇秀和 : 1983年、京都府生まれ。佛教大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)。現在、神戸大学経済経営研究所研究員、佛教大学非常勤講師。専門は日本近世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • kawa

    「壱人両名」とは、江戸時代に様々な理由から、一人で二つの名前と身分を使い分けたことを言い、それは決して珍しいことではなかったというのだ。極めつけは、武士身分売買に公定価格の定めがあったのだそうで、出自・名前不詳の者が、金貸しをしながらその財力で与力、そして将軍御目見え格の旗本株まで買収して、江戸城に出入りしていたという驚愕の事実も紹介されている。江戸の世と言えば「士農工商」の堅固な階級社会と思っていただけに、それを覆すびっくり事実がとても興味深い。

  • うえぽん

    江戸期の壱人両名(1人が2つの名前と身分を使い分ける形態)と明治期における消滅について、古文書から多くの実例を見出し解説した力作。@両人別(二重戸籍状態)、A秘密裏の二重名義使用、B身分(町人等)と職分(医者等)による別名使用のうち、@Aは非合法とされたが、いずれも縦割りの支配の管轄を保ちつつ、支配を跨ぐ活動を表向き問題なく実現するための方策だったと評価。建前と実態のずれの黙認も知恵だったと思うが、それより公平性を求める感覚が、壬申戸籍からマイナンバーに至る壱人両名的存在の否定に繋がっているのではないか。

  • 樋口佳之

    身分制は“建前"… ピラミッド型の「士農工商」…こんな“常識"はもう古い! ある時は侍、ある時は百姓、と自在に身分を変える…彼らはなぜ別人に成りすますのか? お上はなぜそれを許容したのか? /アマゾンのコピー通り大変面白い内容でした。でもこのコピーは内容への誤解も誘うと感じました。確固とした身分制支配(この内実について本書に蒙を啓かれました)を前提として、現実に逸脱があった場合、治者被治者それぞれ「うまいこと」事なきを得るために広がった、故に明治近代国家によって厳しく禁止された現象だったのだと読めました。

  • きいち

    一つの組織に埋め込まれた昭和から、個人を主に複数のアイデンティティをパーパスでつないでいくこれからの時代のキャリアにとって、すごいヒントがある本なのではないか?とドキドキしながら読んだ。近代の国家ー組織ー個人の一所懸命な関係が、ムラ社会とか言われながら全く日本古来の伝統でもなんでもなかったという幻想外し、創られた伝統の暴露。枠組のなかで身分や所属を空気読みながら使い分けていた、ということ。資料も記録もとうに失われてしまったけど、百姓やりながら大坂で商人やってたウチの先祖もこれやってたのかもと思うと楽しい。

  • HMax

    見事に覆されました。江戸時代の身分制度の常識、私が子供の頃は士農工商に縛られた不自由な時代と習いましたが、一人で武士であり町人である、なんてことが公然と行われていたというのは驚きです。「真実なるものは、平穏な現状を犠牲にしてまで、白日の下に曝す必要はない。荒立てることなく穏便に推移させることを優先する」江戸時代も和を以て貴しとなすだったんですね。同じ罪を犯しても身分の高い者は重い罰というのも発見です。示談させようと努力してもしない年寄りの話し等々の裁判例が多く楽しめます。乙訓の裁判例があったのが嬉しい。

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