レダの靴を履いて 塚本邦雄の歌と歩く

尾崎まゆみ

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784863853744
ISBN 10 : 4863853742
フォーマット
出版社
発行年月
2019年08月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
200p;19

内容詳細

塚本邦雄の短歌をやわらかく、わかりやすい言葉で紐解く、塚本の薫陶を受けた著者ならではの一冊。塚本ファンはもちろん、塚本初心者の読者にこそ届けたい。塚本邦雄の短歌の魅力「美しい空白」を味わうために―。

目次 : プロローグ 美しい空白―短歌への扉/ 見えない心を言葉に―魂のレアリスムと句跨り/ 少女を詠んだ歌―甘くなくて怖い/ 言葉遊びの復活―エキスを搾り出し掬い取る/ 哲学辞典「、」と「。」とメリハリ―見立ての技法/ 読者への贈り物―省略された動詞がもたらす歌の魅力/ 積み重ねられた言葉の魅力―広義の本歌取り/ 詩歌の魅力―本歌をたどるたのしみ/ 花と眼の歌―鮮烈なイメージ/ 生き生きと甦る日常―世界を知る喜び〔ほか〕

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 吉田あや さん

    <ゆきたくて誰もゆけない夏の野のソーダ・ファウンテンにあるレダの靴>「水葬物語」- 寄港地 - 一読で意味を求めずとも、読むままに心をきらめく夏へと放り投げてくれる優しい解放感に溢れた有名な一句。ギリシア神話でスパルタ王の妻として登場するレダ。その彼女に恋をした主神ゼウスは白鳥に姿を変え、惑わし、王の手の届かない場所へと恋する人を連れ去ってゆく。しかし連れ去られたレダの真意はどうだったのか。

  • ゆう さん

    とても面白くかつ難しかったです塚本邦雄の歌。妙な物言いかもしれませんが、この歌はどこで歌われているのだろうかという疑問が最後まで頭を去りませんでした。言語空間が異質だということなのだと思う。読み終えたばかりの「三四郎」の評論集に出てきた、野々宮くんの実験装置についての言葉が通奏低音のように響いていたのは、塚本邦雄の言語空間が自然には見えないものを見るための、人工的な装置であるという読解が可能だという誘惑があるってことだと思うんだけど、まだちょっとよく分からない。

  • tom さん

    なんと難しい俳句。パッと本を開いたら「アヴェ・マリア、人妻マリア 八月の電柱人のにほいに灼けて」「ディヌリパッティ紺青の楽句絶つ 死ははじめ空間のさざなみ」などはまだまし、「木犀少女うつろう影は硝子越し古今集恋よみびとしらず」「使途一切不明なれど一瓶の酢をあがなえり妖精少女」「芍薬置きしかば真夜の土純白にけがれたり たとうれば新婚」なんだ、これは。と思いながら読んだ塚本邦雄の歌。訳わからず読んだのだけど、こうやって書き写してみると、よい句に思えてきた。もう少し読んでみようか。でも、難解だから注釈が必要。

  • テイネハイランド さん

    先日、塚本邦雄の選集を読んだ際に、読書メーターでこの本を知り、図書館から取り寄せて今回読みました。自身も歌人の尾崎まゆみさんが、塚本の歌を紹介しているのですが、紹介の仕方が柔らかくかつ丁寧で、味があります。実用性ゼロの詩の場合、無粋な紹介だとその価値が台無しになるためうまく書くのは力量が要りますが、その点で基準を満たしている本ではないでしょうか。例えば、P.46 「海底に夜ごとしづかに溶けゐつつあらむ。航空母艦も火夫も」の丁寧な鑑賞文を読めば、そのあたりはわかってもらえるのではないかと思います。

  • かふ さん

    「ゆきたくて誰もゆけない夏の野のソーダ・ファウンテンにあるレダの靴」短歌の扉はそこにない神話世界を開いてくれる言葉の暗証番号のようなものなのかもしれない。秘密のキーワード。「レダの靴」でギリシヤ神話に誘いソーダ・ファウンテンという当時のモダニズム(現代性)の出会いが生み出すデートのような気分を感じ取れればいいのか。塚本短歌に織り込まれている言語世界を解き明かす(漢字の旧字もその入口として呪術の世界なのだ)入門書だろうか?古典和歌の雅な言語遊戯の系譜(藤原定家とか)なのだろうか?すぐれた塚本短歌の入門書。

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