基本情報
内容詳細
明治三十七年東京帝国大学医科大学を卒業後、病理学教授になった長与又郎は、伝染病研究所長、医学部長を経て、昭和九年東大総長に就任する。さらに、癌研究所長をつとめ、また公衆衛生院の設立や結核予防会の発展に関与するなど、わが国の衛生行政を拓いた父専斎(せんさい)の遺志を継承したかにみえる社会的活動をつづける。長与又郎の生きた時代は、関東大震災、金融恐慌のあと、昭和六年の満州事変に始まり、七年の上海事変、五・一五事件、十一年の二・二六事件を経て、十二年には日中戦争が、そして総長を辞任した直後の十四年には第二次世界大戦が勃発するという、まさに“戦争への道”であった。長与又郎は太平洋戦争の始まる直前の昭和十六年八月にこの世を去っているが、この間、病臥中の代筆を含めて日記は連綿と書きつづけられ、ファシズムの抑圧に抗う大学の内情をつぶさに伝えている。
目次 : 総長に当選/ 大学の運営/ 総長身辺雑記―(付)中耳炎による入院/ 学内外の人事/ 美濃部達吉名誉教授の天皇機関説/ 二・二六事件/ 教学刷新と大学/ 日中戦争/ 中国関係の文化・医療・防疫事業/ 経済学部の内紛と矢内原忠雄教授の辞職/ 教授グループ事件/ 荒木貞夫文部大臣による大学自治への干渉/ 総長辞任と平賀粛学/ 医学への復帰/ 結核対策を主宰/ 日本癌学会の設立/ 日中戦争/ ヨーロッパに第二次世界大戦の勃発/ 近親・知己との別れ/ 肝癌による長逝
【著者紹介】
小高健 : 昭和4年(1929)埼玉県に生れる。昭和29年3月東京大学医学部医学科卒業。昭和34年3月東京大学大学院生物系研究科第三基礎医学博士課程修了(医学博士)。昭和35年2月東京大学伝染病研究所助手(癌研究部)。昭和37年8月フンボルト奨学生として西ドイツ、マックス・プランク・ウイルス研究所に留学(〜39年7月)。昭和41年7月東京大学伝染病研究所助教授(制癌研究部)。昭和49年11月東京大学医科学研究所教授(細胞遺伝学研究部)。昭和58年4月東京大学医科学研究所所長(〜62年3月)。平成2年(1990)3月東京大学を停年退職、東京大学名誉教授(5月)。平成2年4月埼玉医科大学客員教授。平成4年7月埼玉医科大学教授(細菌学教室)。平成9年4月埼玉医科大学図書館長。平成11年(1999)3月埼玉医科大学を退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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人物・団体紹介
小高健
昭和4年埼玉県生まれ。昭和29年東京大学医学部医学科を卒業。昭和34年より東京大学伝染病研究所(後に東京大学医科学研究所に改組)にて永年研究生活を送る。大学院生、助手、助教授、教授を経て、平成2年退職。その間、同研究所長を4年務める。ライフワークの研究はマウスにおけるウイルス性白血病感受性遺伝子の解
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