近代日本と軍部 1868‐1945 講談社現代新書

小林道彦

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784065187449
ISBN 10 : 4065187443
フォーマット
出版社
発行年月
2020年02月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
546p;18

内容詳細

「近代理性の象徴」のはずであった組織はなぜ暴走したのか? 明治維新から太平洋戦争敗戦による崩壊まで、一人で描ききった超力作!

戦前日本の歴史とはある意味において、相次ぐ戦争の歴史でした。といって、日本が明治維新以来一貫して軍国主義路線を取っていたわけではありません。しかし結果として、後世の目から見るとそうみなさざるを得ないような「事実」の積み重なりがあることも、やはり否定することはできないでしょう。
では、このような「意図」と「結果」との大きな乖離は一体なぜ起こったのでしょうか。
明治憲法体制とは、極論すれば大急ぎで近代国家の体裁だけをこしらえた、「仮普請」にすぎませんでした。そのことは伊藤博文をはじめとする元勲たちもよくわきまえており、伊藤などは折を見て、より現状に即した形での憲法改正にも取り組むつもりでした。
著者によれば、明治憲法体制の改正が唯一可能だったのは、その起草者である伊藤が憲法改革に取り組もうとし、また軍部自体もその必要性を認めていた日清戦争後の時期しかなかったということです。しかし日露戦争での奇跡的な勝利により、この改革への機運は急速にしぼんでしまいました。またその後、桂太郎、児玉源太郎、宇垣一成、永田鉄山といった近代軍の「国家理性」を体現したリーダーたちがあるいは早世し、あるいは失脚し、暗殺されるという不運もありました。そしてついには軍が政治を呑み込み「国家」自体となるまでにいたります。東条英機が首相のまま複数の大臣を兼任し、さらには陸軍相、参謀総長を兼任するまでに至ったことは、まさにその象徴と言うことができるでしょう。
「仮普請」でしかなかったはずの明治憲法体制が、政治リーダーの世代交代を重ねるに従って「デフォルト」となり、次第に硬直化してゆく。当初、政治の軍事への介入を阻止するために設定されたはずの「統帥権」が逆に軍が政治をコントロールする道具になってしまったことなどは、それを象徴する事例でしょう。組織としての宿命とはいえ、改革の機を逸した代償はあまりにも大きかったとやはり言わざるを得ません。
本書では、歴史を後付けではなく、極力「リアルタイム」で見ることを目指し、近代日本最大のパラドクスである「軍部」の存在の謎に迫ります。

目次
はじめに
第1章 「非政治的軍隊」の創出
第2章 政党と軍隊ーー自由民権運動と士族
第3章 日清戦争の勝利ーー徴兵制軍隊の確立
第4章 「憲法改革」と日英同盟
第5章 日露戦争と山県閥陸軍の動揺
第6章 政党政治と陸軍ーー軍縮の時代
第7章 「憲政の常道」の終焉と軍部の台頭
第8章 軍部の崩壊と太平洋戦争
おわりに 明治憲法体制と軍部
あとがき

著者プロフィール
小林 道彦 (コバヤシ ミチヒコ) (著/文)
1956年生まれ。中央大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(法学、京都大学)。現在、北九州大学基盤教育センター教授。 専門は日本政治外交史。『政党内閣の崩壊と満州事変』(ミネルヴァ書房)で平成21年度吉田茂賞受賞。著書としてそのほかに『桂太郎』、『児玉源太郎』(ともにミネルヴァ書房)、『大正政変』(千倉書房 )がある。

【著者紹介】
小林道彦 : 1956年埼玉県生まれ。中央大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。京都大学博士(法学)。現在、北九州市立大学基盤教育センター教授。専門は日本政治外交史。『政党内閣の崩壊と満州事変』(ミネルヴァ書房)で2009年度吉田茂賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • かんがく さん

    もう一度、自分が近代史に興味を持つきっかけになった軍部について復習しようと気軽に手を取ったが、思わぬ面白さだった。タイトルの通り、軍部を主軸に近代日本を見事に描き切っている。伊藤博文が目指した行政権による統帥権の抑制を根本におきながら、外交と内政の因果関係が極めてわかりやすく詳述されている。保守的なイメージの強い山県、桂、寺内、田中などの再評価と、あまり目立たない児玉を重視している点が特徴。改革が可能であるとすれば日清-日露の戦間期であったという主張には納得。

  • パトラッシュ さん

    ある時代に有効だった法規や制度が時勢の変化に対応できなくなると、日本人は「祖法」に手をつけず運用や解釈変更で乗り切ろうとする。明治の権力層は軍部大臣現役武官制や統帥権独立などで、軍部が政治的混乱に影響されないよう図った。しかし時代が下ると、明治の「祖法」により政治が統制できなくなっていた軍部は勝手に動くようになり、これに未成熟で腐敗した政党政治と閉塞感に苦しむ世論の反発が加わり政府は軍を統制できず戦争へ突き進む。近代日本が制度的改革ができない欠陥ゆえに、失敗国家への道をたどるプロセスを見事に解剖していく。

  • バルジ さん

    近代日本の政治と軍部を扱った政軍関係を軸とした通史。こういった視点での手軽な概説書は存在しなかったので極めて有用。本書では明治維新後から太平洋戦争敗戦に伴う軍部の消滅までを描く。近年高まりを見せる「政治からの安全」を図る軍隊組織の構築という視点を全面に出し、伊藤や桂・児玉・寺内といった軍民双方の軍部に留まらない統治機構改革構想も視野に入れる。彼ら亡き後は田中義一・宇垣一成等政党との協働を重視する軍人が出るが、彼ら「政治化」した軍人は一部で強烈な忌避反応を惹起する。(続く)

  • onepei さん

    山県有朋の印象が変わった。 時代下って都合のいい時に持ち出される「統帥権」

  • wuhujiang さん

    日本政治と軍の関係に焦点を当てて維新〜終戦まで書ききっており、新書にしてはややボリュームが多いがお勧めできる 長い期間を扱っているため、多岐に論点がわたっている。 個人的にまとめるとしたら 前半は「伊藤・山縣・児玉・桂ら明治〜大正初期の政治家が軍の権力縮小・非政治化を図った理由とその過程」 後半は「大正後期〜昭和期に問題が露呈し、政治の軍に対するコントロールが効かなくなった過程」 といったところか? 政軍関係というと、大正後期あたりから触れられる本が多い中、明治初期からの通史は貴重であると思った

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