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「国民主義」の時代日本の夜明けをつくった人々(仮)

小林和幸

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784047035737
ISBN 10 : 4047035734
Format
Books
Publisher
Release Date
February/2017
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

明治時代、国民の困難を見ず専制的な政治にかたよる藩閥政府に対峙すると共に、民権派や政党の利己的な行動を非難する政治勢力があった。陸羯南が「国民主義」と称すこの政治勢力には、国民の利益を守ろうとする政治家や軍人、思想家、新聞記者、時には宗教家や探検家などさまざまな人々が連携、結集する。いま、忘れ去られようとしている国民主義が担ってきた役割を検証し、近代国家建設期の日本の多様な姿を描き出す。

目次 : 序 天皇と群臣の誓い―「天皇親政」「公議輿論」/ 1 “結集”民権、藩閥政府との対峙―「中正不偏」/ 2 “模索”条約改正反対運動―「和而不同」/ 3 “構築”帝国議会の開設―「至公至平」/ 4 “対峙”条約励行問題と日清戦争―「正論〓(とう)議」/ 5 “連携”千島・沖縄問題と足尾鉱毒事件―「日月無私燭」/ 6 “拡散”それぞれの日露開戦―「至誠憂国」/ 結 明治の終焉―「不羈独立」

【著者紹介】
小林和幸 : 1961(昭和36)年、長野県生まれ。86年青山学院大学大学院文学研究科博士前期課程修了。89年同大学院文学研究科博士後期課程満期退学。青山学院大学文学部助手、宮内庁書陵部主任研究官、駒澤大学文学部助教授などを経て、青山学院大学文学部教授。博士(歴史学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • バルジ

    再読。ここ数年で大きく政治状態が変わり国際情勢も変転を極めているが、やや排外主義的な語気を含む「国民主義」の評価は明治日本を通して今改めて再検討する余地があるように思える。本書で躍動する「国民主義」者達は時に対外硬的な政治行動を取るも守旧的な排外論者ではなく、西洋の制度を是としながらあくまで「国民」に視座を定め、漸進的かつ広範な世論を背景とした政治を求めていた。彼らの前では国民は「陛下の赤子」として平等であり、アイヌや琉球等明治以後に国民統合の対象となった人々への眼差しも、また内地同様である。

  • お抹茶

    明治新政府における立憲政治・議会政治の運営に寄与した自由民権派と,国家と国民全体の利益を守る国民主義を考察する。建白書の公表は,それまで政治とは無縁だった人々に国民としての政治的な自覚を促すことになった。足尾鉱毒事件の被害民も「陛下の赤子」であり,平等に取り扱う責任が政府にあるという論理が新聞や帝国議会で見られ,国民の共感を得た。日露戦争後の積極的な対外進出に対し,国民主義だった谷干城は,国民を慮り,軍備縮小と財政緊縮を訴えた。

  • 際皮

    明治の政治は、専制的な藩閥と、それに対する民権的な政党という対立軸で解説されることが多い。しかし、明治において、選挙権のある人は地主など極一部に過ぎず、政党を民意の代表として見做すことには無理があった。そこで、国民全体のことを慮り政治を行うべきだという主張が出てくる。それが谷干城や陸羯南らが中心となった「国民主義」だ......といった流れで解説が進んでゆく。こうした、国民主義者らの記録は、イデオロギー間の分断の進む現代で、何かしらのヒントを与えてくれるように思えた。

  • ぐんちゃん

    藩閥政府vs民権派という二極構造で語られがちな明治政治史の中に、両派に与しない第三極の「国民主義」と呼ばれる人々を措定し、特に谷干城を中心に彼らの様々な動きを描き出している。スローガンが指し示す主義が原理・原則であるが故に、かえって広範な政治勢力を結集でき運動として短期的な力を発揮できるという構造は、政変において稀だが定期的に能動性を帯びかつ「国民主義」と呼ばれる人々の一定数が議席を持っていた貴族院の政治的動きを想起させるものでもあり興味深い。

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