抱擁家族 講談社文芸文庫

小島信夫

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784061960084
ISBN 10 : 4061960083
フォーマット
出版社
発行年月
1988年02月
日本
追加情報
:
16cm,295p

読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • こばまり さん

    ナンダナンダ、このオッカナクてオカシクてカナシイ小説は。家を建てても家族が居ても実に寄る辺ない。笑みが出ては引っ込みの繰り返しでした。恐るべし講談社学芸文庫。小島信夫といい以前読んだ藤枝静雄といい、私には一筋縄ではいかない作家だらけです。

  • touch.0324 さん

    妻の不貞を発端に崩壊してゆく家庭の物語。いわゆる"寝取られ"であるが、ただの悲劇で終わらないところがこの物語の面白さである。家長の俊介が「家の中をたてなおさなければならない。」の一念で奔走する様は喜劇だ。間男の若い米海兵を呼びだし「ゴウ・バック・ホーム・ヤンキー。ゴウ・バック・ホーム・ヤンキー。」と喚く場面などは苦い笑いを禁じ得ない。戦後日本の典型的な中流知識人階級の"アメリカ的なものへの劣等感"が多分に盛り込まれている。なす術なく繰り返す悲喜劇に次第に自己を喪失してゆく俊介──。第一回谷崎賞作品。

  • ころこ さん

    戦後、アメリカが流入していくのを、生活の向上と日本的な良さの衰退という両義性を持って感じていた時代に書かれていると捉えれば、家族に社会を投影するのは不自然な読みとはならないでしょう。本作には、郊外の生活が描かれているにもかかわらず、自然の描写が出てきません。それは、母・時子が自然だからです。ジョージに寝取られた俊介が時子と和解して、その乳房に手を掛けた時に、自然が破壊されたことを発見します。西洋風で冷暖房完備の家を郊外に建てて塀を高くしたこととは、すなわち自然を破壊したことに他なりません。時子の乳癌は進行

  • ハチアカデミー さん

    A 寝取られ男の生活と意見。コキュされた夫が妻を病気で亡くすという極めて悲劇的なストーリーにも関わらず、一切悲しみが伝わらない点が凄い。主人公俊介は、自らの生活や思考、行動、発言に対して常に自信を持てず、それゆえ責任を他者に転嫁する人物として描かれる。徹底的に自己を放棄する主人公は、「これが私の妻です。ああいうことがあった私の妻です」などと他者に告白する事で、他者の言葉や視線で承認されることでしか、己の姿も妻との関係も、認識出来ないのだ。家庭を守る=家を強固なものとするという安易さも鋭い風刺となっている。

  • ぷるいち さん

    いい小説は多様な読み方ができると言いますが、だとしたらこの小説は割と傑作だと思います。大橋健三郎の解説の通り、「アメリカ的な合理主義を受容できない日本の家庭の崩壊を書いた」とか当時だと言われてたんでしょうけど(その先にアメリカナイズされた日本をやんわりと書く村上春樹が見える)、今読むと「家族」という絶対的価値を持っているとされる言葉に振り回される家族の話にも読めるんです。一例ですが、妻を亡くした夫に、息子は「主婦を連れてこい」というのです。グロテスクすぎません?

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人物・団体紹介

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小島信夫

1915年(大正4年)2月28日‐2006年(平成18年)10月26日、享年91。岐阜県出身。1954年『アメリカン・スクール』で第32回芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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