穴 新潮文庫

小山田浩子

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784101205410
ISBN 10 : 4101205418
フォーマット
出版社
発行年月
2016年07月
日本
追加情報
:
207p;16

内容詳細

仕事を辞め、夫の田舎に移り住んだ私は、暑い夏の日、見たこともない黒い獣を追って、土手にあいた胸の深さの穴に落ちた。甘いお香の匂いが漂う世羅さん、庭の水撒きに励む寡黙な義祖父に、義兄を名乗る知らない男。出会う人々もどこか奇妙で、見慣れた日常は静かに異界の色を帯びる。芥川賞受賞の表題作に、農村の古民家で新生活を始めた友人夫婦との不思議な時を描く二編を収録。

【著者紹介】
小山田浩子 : 1983年広島県生れ。2010年「工場」で新潮新人賞受賞。’13年『工場』で織田作之助賞受賞。’14年「穴」で芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • パトラッシュ さん

    ヒロインが落ちた穴から出たら、いつもの日常のはずが非日常世界へ引きずり込まれていた恐怖。文学ではよく見られるが、本書はむしろ怪談として読める。血と内臓をぶちまけるモダンホラーではなく、少しずつ不気味さを高めていき最後に異常さがあらわになるM・R・ジェイムズ風の古典的スタイルで。その異常は悪鬼や魔性ではなく人だ。過疎の田舎に多くの子供たちがいて、ひとり息子のはずの夫の兄を名乗る男が現れ、義祖父の葬儀に見知らぬ老人があふれる。その儀式を通じて主人公は姑そっくりになり異世界へ取り込まれてしまった結末に総毛立つ。

  • hit4papa さん

    日常に入り混じる些細な不可思議を描いた作品です。いわゆるマジック・リアリズム的(?)、方向(?)でしょうか。夫の転勤に伴い会社を辞めて、姑の持ち家に越してきた主婦 。日常にちょっとずつ違和感が生じ始めるのは、道端で一匹の黒い獣を見かけてから。後を追うように付いていくと、穴にすとんと落ちてしまいます・・・。うん、うん、良いですね。非日常のために破綻をきたすようでは文学としの面白味はありません。本作品は、日常と非日常が緩やかなに融合しており、主人公と一緒に夢か現かの感覚を楽しむべきものです。【芥川賞】

  • 扉のこちら側 さん

    2016年767冊め。表題作は芥川賞受賞作品。田舎に引っ越した主婦が日常の中に潜む異界を、「穴」の存在に気付く。現実と非現実との境目は陽炎のようにぼやけ、いつしかその境の存在もわからなくなっていくのかもしれない。「いたちなく」と「ゆきの宿」は続き物。著者の描く田舎というか自然の描写は味わい深いと思う。ただ初読のこの作品ではあまり好みとはいい難い。

  • アキ さん

    英語圏で日本の女流作家の小説が注目を集めている。その理由は日本における女性に関する社会的慣習に疑問を投げかけているからと『文芸ピープル「好き」を仕事にする人々』にあった。そのリストの中の1冊。「穴」2014年芥川賞受賞作。女性目線で、日本での女性の生きにくさを穴に落ちることで表現した。自ら穴に落ちに行く義祖父がいい味出していた。読みながら日本の田舎の独特な風俗を思い出した。「いたちなく」「ゆきの宿」は逆に男性目線で妻という存在の不可解さを描いた連作。次はデビュー作「工場」も読んでみようかな。

  • (C17H26O4) さん

    まとわりついてくる不気味さ。いつまでも正体の見えてこない何か。にゅるにゅるした不快感。夫の田舎の家族、景色、地域の住人、全てがどことなく且つ明らかに変。喋り捲る姑。庭に水を巻き続ける義祖父。馴れ馴れしい世羅さん。数を増す河原の子供。弔問の無数の老婆老爺。存在を隠されていた義兄。お嫁さんとしか呼ばれない私。そして謎の獣、そして穴。義兄が最も気味悪く思えた一方、案外この人だけ普通だったりして。とも考えたが、住居の小屋は電気もつかずムカデと埃が…。会話文がとても自然で妙に生々しく、物語の穴に落ちて未だ出られず。

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小山田浩子

1983年広島県生れ。2010年「工場」で新潮新人賞を受賞しデビュー。’13年『工場』で織田作之助賞、’14年「穴」で芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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