希望のゆくえ 新潮文庫

寺地はるな

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784101049519
ISBN 10 : 4101049513
フォーマット
出版社
発行年月
2024年02月
日本
追加情報
:
304p;16

内容詳細

誰からも愛された弟には、誰も知らない秘密があった。突然姿を消した弟、希望【のぞむ】。行方を追う兄の誠実【まさみ】は、関係者の語る姿を通し弟の持つ複数の顔を知る。本当の希望【のぞむ】はどこにいるのか。記憶を辿るうち、誠実もまた目をそらしてきた感情と向き合うこととなるーー。痛みを抱えたまま大人になった兄弟が、それぞれの「希望【きぼう】」を探す優しいエールに満ちた物語。文庫化にあたり、書下ろし短篇を収録。

【著者紹介】
寺地はるな : 1977(昭和52)年佐賀県生れ。2014(平成26)年『ビオレタ』でポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。’20(令和2)年『夜が暗いとはかぎらない』が、山本周五郎賞候補。’21年『水を縫う』が吉川英治文学新人賞候補となり、同年同作で河合準雄物語賞を受賞する。’23年『川のほとりに立つ者は』が本屋大賞9位に入賞、『わたしたちに翼はいらない』が大藪春彦賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • おうち時間 さん

    父親から母親へのDVが日常的に行われている家庭で育つとやはりこの柳瀬兄弟みたいな性格になってしまうのかもしれない。兄である誠実は見て見ぬふりが得意。見なかったことはなかったことに出来ると思っている。一方弟の希望は相手の要求を何でも「いいですよ」と受け入れてしまう。でも放火犯かもしれない女性に一緒に逃げてと言われて手を取り合って逃げるのはちょっと度を越してるかな。文庫化するにあたり書き下ろした短編を読んで希望の前向きな姿を見られたのは良かった。性格て簡単には変えられないけれど変えたいという気持ちはわかるな。

  • よっち さん

    誰からも愛されながら、放火犯の疑いをかけられた女性とともに失踪した弟の希望。兄である誠実のもとに母から突然連絡が入り弟の行方を追う物語。希望が高校時代の恋人、誠実自身の状況、仕事の後輩、幼稚園の先生、保育園の保育士、そして希望と一緒に失踪した女性。関係者の語る話を通して弟の持ついくつもの顔を知っていくうちに、相手を受け入れる希望の本当の姿が分からなくなってゆく展開でしたけど、弟を探し求める中で誠実自身もまたずっと目をそらしてきた感情と向き合ってゆくその結末が印象的でしたね。書き下ろしの短編も良かったです。

  • mayu さん

    居心地の良くなかった家庭と仲が良いとはいえなかった弟。弟の失踪をきっかけに元恋人や同僚を訪ねて弟がどういう人間なのかを知ろうとする兄。希望という存在を通じて自分と向き合わざるおえなくなる人達。人の目が気になって本当の気持ちから目を逸らす部分には胸がチクリとなる。そして希望が自分自身に対して思っている事を知った時、驚きと痛みとで泣きそうになる。あぁ、こんなものを抱えていたのか…と。文庫書き下ろしの「光」もとても良かった。痛みを感じるのにきっと私はまたこの本を手に取るだろう。そんな一冊だった。

  • 新田新一 さん

    この本は題が面白いです。『希望のゆくえ』とは小説というより、自己啓発本だと感じました。読み始めて、『希望』は人の名前だと分かり、納得。急に失踪してしまい、兄の誠実が彼を探すことになります。周りの人を通して、希望の性格が見えてくるという構成が斬新です。決して立派な人というわけではなく、その場の空気を読まなかったり、他人の頼みを聞き入れてしまうところがあります。でもなぜかそんな性格の男が、人を救い癒していくのです。人間の癒しは、人と人とつながりであることを実感させてくれる、素晴らしい物語でした。

  • イシカミハサミ さん

    登場する人物たちがロクでもなさすぎて読み進めるのに苦労する。 そして、失踪した弟・希望(のぞみ)に対する兄・誠実(まさみ)の勘違いが 最初の段階で読み取れたので、これがクライマックスなのか?と不安感もあったり。 それでも読み切ると読んでよかったと思える作品。 内容的に重くて次に寺地さんの作品を読むまで間隔がいるかな、 と思いながら読んでいたけれど、 最後まで読み切った今、次の作品を探している。

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寺地はるな

1977年佐賀県生まれ。2014年『ビオレタ』でポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。2021年『水を縫う』で河合隼雄物語賞受賞。2023年『川のほとりに立つ者は』で本屋大賞九位入賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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