基本情報
内容詳細
今日、人間は地球規模の暴力(ヒュブリス)に見舞われている。アウシュヴィッツやFUKUSHIMAに象徴される暴力は、アフリカ地域の争乱、中近東の荒野や諸都市、福島の森林農地、化学物質による汚染など、至る所でその猛威を振るっている。そこには人間中心主義という傲慢(ヒュブリス)が伏在している。ヒュブリスとは古来、暴力と傲慢を意味し、古代神話やヘブライ・キリスト教の伝統では人間が「神の如くなる」傲慢不遜と理解され、すでに古代の知恵は現代文明を予見していた。著者はニュッサのグレゴリオスやアウグスティヌス、そしてトマスなどのテキストを通して暴力を突破する恊働の道を探る。現代の根源悪である人間の虚無的暴力と自己神格化を超克する思想的地平を開くために、著者は生成と他者への自己解放の思想エヒイェロギアを構想し、自同性の解体と新たな恊働態の構築を試みる意欲作である。
目次 : 第1部 暴力とペルソナ的協働態(暴力と理性―テキスト(textus)の解釈をめぐって/ 「反=志向的」理性が披く「在るもの」の地平―トマス・アクィナスの能動知性論を手がかりに/ 協働態的公共圏の諸相とペルソナ―トマス・アクィナスの共通善思想を手がかりに/ 身体を張る(extendere)アウグスティヌス―『告白』におけるdistendere,continere,extendereと協働態の誕生)/ 第2部 神の似像「男・女」の協働と根源悪―暴力にも拘らず(神の似像としての「男・女」協働態―「創世記」(一〜三章)の物語り論的解釈/ 花婿と花嫁との無限な協働―ニュッサのグレゴリオスの『雅歌講話』から/ 愛智的ペルソナと協働的エチカの成立―ニュッサのグレゴリオスの『モーセの生涯』と『説教集』を手がかりに)/ 第3部 暴力の只中で―エヒイェロギアとエヒイェ的人格(文明史の終末論的転換期とエヒイェロギア/ マカリオス(幸い)の地平とエヒイェ的人格―苦難と安楽の彼方/ 相生の旅人・シャルル・ド・フーコーの生涯―イスラム教・キリスト教・ユダヤ教の間に生きた人)
【著者紹介】
宮本久雄 : 1945年新潟県生まれ。東京大学卒業、同大学院修士課程修了。パリ第4大学等を退学後、東京大学大学院総合文化研究科教授を経て、上智大学神学部教授(専攻:聖書思想、教父神学、哲学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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人物・団体紹介
宮本久雄
1945年新潟県高田(現上越市)に生まれる。東京大学、同大学院修士課程を経て、カナダ・ドミニコ会哲学神学大学、エルサレム・フランス聖書考古学研究所、パリ・カトリック大学神学部博士課程を遊学後、東京大学大学院総合文化研究科教授、上智大学神学部教授を経て、東京純心大学教授(聖書思想、教父学、哲学)。ドミ
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