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独ソ戦 絶滅戦争の惨禍 岩波新書

大木毅

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784004317852
ISBN 10 : 4004317851
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2019
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:
大木毅 ,  

Content Description

これは絶滅戦争なのだ」.ヒトラーがそう断言したとき,ドイツとソ連との血で血を洗う皆殺しの闘争が始まった.日本人の想像を絶する独ソ戦の惨禍.軍事作戦の進行を追うだけでは,この戦いが顕現させた生き地獄を見過ごすことになるだろう.歴史修正主義の歪曲を正し,現代の野蛮とも呼ぶべき戦争の本質をえぐり出す.

[目次]
はじめに 現代の野蛮
 未曾有の惨禍/世界観戦争と大祖国戦争/ゆがんだ理解/スタートラインに立つために

第一章 偽りの握手から激突へ

第一節 スターリンの逃避
 無視される情報/根強い対英不信/弱体化していたソ連軍
第二節 対ソ戦決定
 征服の「プログラム」/想定外の戦局/三つの日付/陸軍総司令部の危惧/第一八軍開進訓令
第三節 作戦計画
 マルクス・プラン/ロスベルク・プラン/「バルバロッサ」作戦


第二章 敗北に向かう勝利

第一節 大敗したソ連軍
 驚異的な進撃/実情に合わなかったドクトリン/センノの戦い/自壊する攻撃
第二節 スモレンスクの転回点
 「電撃戦」の幻/ロシアはフランスにあらず/消耗するドイツ軍/「戦争に勝つ能力を失う」/隠されたターニング・ポイント
第三節 最初の敗走
 戦略なきドイツ軍/時間は浪費されたのか?/「台風」作戦/二度目の世界大戦へ


第三章 絶滅戦争

第一節 対ソ戦のイデオロギー
 四つの手がかり/ヒトラーの「プログラム」/ナチ・イデオロギーの機能/大砲もバターも/危機克服のための戦争
第二節 帝国主義的収奪
 三つの戦争/東部総合計画/収奪を目的とした占領/多元支配による急進化/「総統小包」
第三節 絶滅政策の実行
 「出動部隊」の編成/「コミッサール指令」/ホロコーストとの関連/餓えるレニングラード
第四節 「大祖国戦争」の内実
 スターリニズムのテロ支配/ナショナリズムの利用/パルチザン/ソ連軍による捕虜虐待


第四章 潮流の逆転

第一節 スターリングラードへの道
 ソ連軍冬季攻勢の挫折/死守命令と統帥危機/モスクワか石油か/「青号」作戦/妄信された勝利/危険な両面攻勢/スターリングラード突入/ネズミの戦争
第二節 機能しはじめた「作戦術」
 「作戦術」とは何か/「赤いナポレオン」の用兵思想/ドイツ東部軍の潰滅を狙う攻勢/解囲ならず/第六軍降伏/戦略的攻勢能力をなくしたドイツ軍
第三節 「城塞」の挫折とソ連軍連続攻勢の開始
 「疾走」と「星」/「後手からの一撃」/暴かれた実像/築かれていく「城塞」/必勝の戦略態勢/失敗を運命づけられた攻勢/「城塞」潰ゆ


第五章 理性なき絶対戦争

第一節 軍事的合理性の消失
 「死守,死守,死守によって」/焦土作戦/世界観戦争の肥大化/軍事的合理性なき戦争指導
第二節 「バグラチオン」作戦
 戦後をにらむスターリン/「報復は正義」/攻勢正面はどこか/作戦術の完成形
第三節 ベルリンへの道
 赤い波と砂の城/「共犯者」国家/ドイツ本土進攻/ベルリン陥落/ポツダムの終止符
終章 「絶滅戦争」の長い影
 複合戦争としての対ソ戦/実証研究を阻んできたもの/利用されてきた独ソ戦史

 文献解題
 略称,および軍事用語について
 独ソ戦関連年表
 おわりに


大木 毅(おおき たけし)
1961年生まれ.立教大学大学院博士後期課程単位取得退学(専門はドイツ現代史,国際政治史).千葉大学ほかの非常勤講師,防衛省防衛研究所講師,陸上自衛隊幹部学校講師などを経て,現在,著述業.
著書─『 「砂漠の狐」ロンメル』(角川新書,2019),『ドイツ軍事史』(作品社,2016)ほか
訳書─ エヴァンズ『第三帝国の歴史』(監修.白水社,2018─),ネーリング『ドイツ装甲部隊史1916─1945』(作品社,2018),フリーザー『「電撃戦」という幻』(共訳.中央公論新社,2003)ほか

【著者紹介】
大木毅 : 1961年生まれ。立教大学大学院博士後期課程単位取得退学(専門はドイツ現代史、国際政治史)。千葉大学ほかの非常勤講師、防衛省防衛研究所講師、陸上自衛隊幹部学校講師などを経て、現在、著述業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • mitei

    近代戦で国家と国家が総力を挙げて広い国境線を巡って、戦うとこうなると言う貴重な事例だなと思う。日本は狭い島嶼戦になるしイメージしづらいが、中々大陸上の戦いって海という隔たりがないから悲惨なものになると知った。にしても悲惨と言うしかないレベルで犠牲者が多過ぎるし、今後は核兵器による戦争中心になるので、こういう事が起きにくいとは思うが、こういう戦争が第二次世界大戦であったことも忘れてはならない。

  • 旅するランナー

    その規模の大きさ、戦闘の激しさ、被害者の多さがつかみきれない、人類史上最大にして、最も血生臭い戦争。血で血を洗う皆殺しの収奪戦争・絶滅戦争・絶対戦争。ヒトラーの狂気vsスターリンの強権だけでなく、ドイツ国防軍の加担・国民の共犯、ソ連による共産主義イデオロギーとナショナリズムの融合、両国の選民思想による他国民の蔑視などがルール無視でぶつかり合い、空前絶後の暴力を生み出す。他人事では済まされない実態を見るにつけ、この未曾有の殺戮戦争を人類の体験として理解し反省し繰り返さないことが大切なのだと感じます。

  • 岡本

    Kindle。本書を読む前の独ソ戦のイメージは、奇襲にも近い開戦から一気呵成に独軍がモスクワ近辺まで攻めるも冬将軍の到来と無茶な命令で兵站が延びきった事による攻勢限界が重なり、準備の整ったソ連軍に押し戻され、連合軍のノルマンディーとイタリア上陸で戦線が増えて、ズルズルと敗戦というものだった。しかし、実際には独ソ両軍も指導者によるデバフもあり順調ではなく、反転攻勢からはソ連軍が長期的な作戦術に優れた点が勝利に繋がった。ヒトラーが全部自分で進めようとしたのも失敗に繋がり、その辺りはスターリンの方が上手か。

  • rico

    本書によれば第二次大戦の国別の死者は次の通り。日本 人口約7100万人→死者約300万人(4.2%)。対して、ドイツ6930万人→死者800万人(11.6%)。ソ連 1.89億→2700万人(14.3%) 日本もさることながら、ドイツ、ソ連の犠牲者の数は凄まじい。作戦の展開や意思決定のプロセスなどを丹念に追いかけ、両国の戦いが何故こんな結果をもたらしたのか、読みといていく。ヒトラーとスターリン、2人の特異な世界観を持った独裁者が同時代に存在した不幸。1つ1つの事実の向こうに地見える地獄。読むのが辛かった。

  • 読特

    沖縄戦、特攻隊、東京大空襲、原爆・・。日本人の死者は300万人。しかし、それを遥かに上回ったのが独ソの死者。特にソ連は桁違い。先の大戦の結果である。一体何が起きたのか。「バルバロッサ」の奇襲攻撃。「ドイツ軍は強かったが、冬将軍に負けた」という漠然としたイメージ。もちろんそんなに単純なものではない。初めは勢いがよかった。しかし所詮は勝ち目がない戦い。そこは真珠湾と共通する。なぜ始まってしまったのか?戦後の秩序を決めた経緯は?200ページ強の丁寧な解説。もっと知りたい、もっと考えたい、よいきっかけになる。

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