小さな藩の奇跡 伊予小松藩会所日記を読む 角川ソフィア文庫

増川宏一

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784044001421
ISBN 10 : 4044001421
フォーマット
出版社
発行年月
2016年09月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
256p;15

内容詳細

城もなく武士はわずか数十人。人口一万人ほどの伊予小松藩には、江戸時代で唯一、150年以上も書き継がれた日記がある。互いに顔の見える小藩だからこそ、代々の幹部たちは誠実に藩政に取り組んできた。不作の兆しを把握し、大飢饉には一人の餓死者も出さなかった。領民の命を守ることが優先された、類をみない善政が日記から読み取れる。天災や参勤交代の過大な財政支出を乗り越えたもう一つの江戸時代がわかる貴重な記録。

目次 : 第1部 武士の暮らし(小松藩のなりたち/ 小松藩の概略/ 会所日記/ 小松藩の財政状況/ 古証文 ほか)/ 第2部 領民の暮らし(駆け落ち/ 不倫と情死/ 不思議の記述/ 女性と子供/ 領民 ほか)

【著者紹介】
増川宏一 : 1930年長崎市生まれ。旧制甲南高等学校卒業。以来、将棋史および盤上遊戯史を研究。大英博物館リーディングルーム・メンバー、国際チェス史研究グループ会員、チェス史研究支援財団名誉会員、チェス・コレクターズ・インターナショナル会員、遊戯史学会会長、日本将棋連盟将棋歴史文化アドバイザー。第17回将棋ペンクラブ大賞特別賞、第21回大山康晴賞受賞

北村六合光 : 1929年京都市生まれ。大阪外事専門学校卒業。商社勤務を停年退職後、神戸大学で日本史・古文書学を受講。伊予小松藩会所日記の解読に携わる。兵庫歴史研究会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • KAZOO さん

    小さな政府の運営方法の典型的な話だと思われます。矢張り小さいからすべて機動的に対応できるし意思決定も早いからなのでしょう。それでも民衆は当時としては普通の生活をしていた様子が描かれています。このようなさまざまな文献が今でも埋れているのでしょうね。

  • 羊山羊 さん

    伊予小松藩という、現愛媛県西条市小松町という、山の麓にあった小藩の記録から当時の生活史を伺おうという試み。この小松藩、藩とは言えども今でいう町村レベルの小さな所で、城もなければ武士も数十人、海に面しているのもごくわずか。弱小を体言したかの様 な藩である。 そんな藩だけあって、実に胃の痛い運営が続けられていたことが知れる。私自身が東予に強い影響を受けている地域の出身なので、そういったことが知れるかと思ったけど分かりませんでした。どっちかというと、江戸時代のガチ田舎のリアルを知りたい人向け。

  • gogo さん

    江戸時代の地方に生きた人々の生活を描く。本書の舞台である伊予小松藩は石高1万石の小藩だったため、領内の把握が行き届いていた。人々が何を食べ、何に喜怒哀楽を感じ、どんな暮らしをしていたかが詳らかにされ、大変興味深い。また、小松藩は飢饉時に武士の俸給を8割カットし、備蓄米を領民へ分配して餓死者を出さなかったといい、この善政は特筆に値する。外様ならではの譜代の隣藩への気配りも興味深い。これらが明らかになったのは、小松藩が150年間にわたり、毎日記録を残していたからである。先人の努力に感銘を受けずにはいられない。

  • kawasaki さん

    10年以上前に読んだことのある『伊予小松藩会所日記』(集英社新書、2001年)の増補改訂版との由。集英社新書版をどこかにやってしまったので逐次対照していないけど、増補以上の新編集なのではと思うくらい、新鮮な内容に思われた(※肝心の記憶は曖昧です)。「日本の大きな歴史の流れ」や「記録の多い江戸に偏った江戸時代描写」(それらが悪いとは言わない)では省略されがちな、地方の町レベルの小さな世界(実際平成の大合併前の「小松町」に相当)の、行政を担う人、そこに暮らす人、通過していく人々の様子が生き生きと浮かび上がる。

  • はちがみっつ さん

    四国の一万石の小規模大名ながら、改易も転封もなく、無事に明治を迎えた小藩の記録。 財政も厳しく、武士も少なく、最後は戊辰戦争にまで駆り出される。それでも人々は逞しく生き、飢饉でも餓死者を出さず、善政であった。 今も子孫の方からお便りがあるという。地方の資料を守る方、解読される方に敬意を表したい。

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