ただの文士 父、堀田善衞のこと

堀田百合子

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784000612951
ISBN 10 : 4000612956
フォーマット
出版社
発行年月
2018年10月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
224p;19

内容詳細

隣のおじさんのことのように毎晩ゴヤの動向を伝える父、バルセロナで藤原定家の日記に呻吟する父、サルトルや武田泰淳や愛犬の死に打ちひしがれる父、田植えのように夜中トントンと原稿用紙の升目を埋めていく父…。『時間』『インドで考えたこと』『方丈記私記』『ゴヤ』『路上の人』などの作品で知られる堀田善衞。「ただの文士」であろうとした作家の生きた姿を―その創作への情熱、社会に開かれた魂、少しユーモラスな日常を、娘の目から追想する。

目次 : サルトルさんの墓/ 芥川賞と火事/ モスラの子と脱走兵/ ゴヤさんと武田先生の死/ スペインへの回想航海/ アンドリンでの再起/ 埃のプラド美術館/ 夢と現実のグラナダ/ バルセロナの定家さん/ 半ばお別れ

【著者紹介】
堀田百合子 : 1949年、神奈川県生まれ。堀田善衞長女。慶應義塾大学卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • しんすけ さん

    堀田善衞は我儘なところがあるが、家族にとっては憎めない人だったのでないか。 善衞の長女百合子さんが父の思い出を語ったこのエセー集から、それが読み取れる。 繊細で美しい文章を綴る善衞だが実物は結構ズボラだったようだ。 善衞とれい夫人は互いに二度目の結婚だった。れい夫人は前夫との離婚手続きを済ませていたのに、善衛はまだやっていなかったという。善衞の離婚は、れい夫人が芥川賞で得た金を使い奮闘した結果成立したらしい。 こういう話を聞いても堀田善衞へ愛想が尽きることはない。 憎めない人間には、こんな人が多いからだ。

  • 浅香山三郎 さん

    歿後30年の2018年刊。この年に、堀田善衛展が富山県高志の国文学館で開催されたり、同館の編になる『堀田善衛を読む』(集英社新書)が出たりした。娘の眼からみた作家の仕事ぶりを記す。私は、堀田さんの随筆ばかり読んでゐるが、定家や方丈記、作家同盟、ゴヤ、スペインといつたこの作家のときどきのテーマや仕事の舞台裏がよく分かるのがよい。著者の文体が堀田善衛譲りのユーモアのセンスに富んでゐることに加ヘ、ベトナム脱走兵を匿つた体験のことなど、作家堀田善衛の全体像を知る証言としても面白く読んだ。

  • 波 環 さん

    随筆や紀行にたまに出てくる『娘』さんの回想。文豪の子供たちが親を語る文はたくさんあるけれど、これは時系列に書いてあるので、堀田善衛の本をこれから読む人のガイドとしていいと思う。ベタベタしてないのでいいです。フランス語、スペイン語、英語、晩年はラテン語も学び原書資料を精密に読めたのに、レストランでは思ってたのもと違う料理が出るというのもチャーミングです。ゴヤを書き始めたのが55歳。体力の問題があるから始めなさいと奥さんに強く言われたとのこと。私はやりたいことの体力的限界を55歳でとケリをつけて会社をやめた。

  • moyin さん

    武田百合子ー武田泰淳という延長線で、自然に堀田善衛の上海日記を読んだ。堀田さんの娘が書いた回顧で、中国関係の本だけでなく、もっと大きな世界に身を投じた文学者の姿を眺めた。その姿、その気骨に感動する。堀田善衛のほかの作品も読んでみよう。

  • FK さん

    読みやすかった。私はわずかに三冊しか読んでいない。『路上の人』『19階日本横丁』『時代の風音』。そろそろこれから本格的に読んでいこうと思う。小説には、その作家の生き方・人生観というものが色濃く反映されるはずだ。氏は基本的にリベラルで、しかもその行動において勇気のある人だったようだ。/「作品の善し悪しは、編集者の善し悪しで半分方決まる! 大事だ」/父の極秘内輪話です。(P.197)【何でもひとりでやっていけそうに思えてしまうが、実際には陰の立役者がいっぱいいるということ。それぞれに役割というものがある。】

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堀田百合子

1949年、神奈川県生まれ。堀田善衞長女。慶應義塾大学卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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